グレープ 1stアルバム
「わすれもの」

1974年8月25日発売

1. 精霊流し   5. 蝉時雨   9. 告悔
2. もしかしたら君は空を飛ぶんじゃないかな   6. 春への幻想   10.哀しみの白い影
3. 紫陽花の詩   7. 雪の朝   11.しおれた花
4. ひとり占い   8. 魔法使いとフリージア   12.あこがれ
 
 賑やかな街の喧騒と爆竹の音で幕をあげる「1.精霊流し」からこのアルバムはスタートします。悲しい旋律のイントロ、残された
人々の想い、その賑やかさに何も知らずにはしゃぐ子供ら・・・彼らの代表曲であるとともに、今聴いてもジーンと来る、時代を超
えた”人のこころ”を題材にした名曲です。「2.もしかしたら君は〜」はほんわかした雰囲気を持つ楽曲。”あんまりにも君がすてき
なものだから、ひょっとしたら君は空を飛んで僕に会いに来るんじゃないかな”という少々非現実的な歌ですが(笑)、それも人の
心の心象風景なんだと思います。「3.紫陽花の詩」は彼らの故郷である長崎市の市花。そんな紫色の花からインスパイアして書
かれた楽曲。「4.ひとり占い」は若者のどっちつかずの心情を歌った曲。何をやってもつまらない。ただトランプの占いの結果に
一喜一憂する青年の心がそこに。「5.蝉時雨」は夏の陽射しの中でただ一言「君が好きだよ」と告げる男のラブソング。小刻みな
メロディーが時代を感じさせるなあ(笑)。「6.春への幻想」は、幸せというのはいつまでも続くものではなく、君を僕から奪い去った
真冬が来て、僕はまた君と過ごした春の日を想っているよ、と歌われた悲しい楽曲。「7.雪の朝」は彼らのデビューシングル曲。そ
う、雪国の方には失礼なことかもしれないですけど、朝起きたら雪が降っていたっていう状況って何だかうれしくなったものです。
別に生活が変わるわけじゃなく、同じ一日がまた始まるだけなのにね。「8.魔法使いとフリージア」はファンタジー色あふれたポッ
プな歌。初期の彼らには多い特色ですね〜(笑)。「9.告悔」はさださんではなく、吉田さんがボーカルをとったしっとりとした肌触り
のバラード曲。心のままに嘘をつかずに生きてきた。でもその度に人を傷つけ、そして自分も傷つけてきた・・・”人のこころ”って
いうものは本当に難しいものだよな。「10.哀しみの白い影」は君と別れてしまったのがこんなにも悲しいものなのだとしたら、きっ
と僕らは会うべきじゃなかったんだ・・・と歌われた哀しみ100%の楽曲。ゆらりゆらりとしたメロディーが涙を誘う。「11.しおれた花」
は明るい曲調で歌われているけど、やはり恋人たちの別離を描いた楽曲。「12.あこがれ」はいつも普通に接していた人が目の前
からいなくなって初めてその人の大切さに気がついた女性の心情を綴った壮大で美しいバラード曲。1stアルバムながら、若いの
にこうも”人のこころ”をテーマに繰り広げられる彼らは当時から只者じゃなかったんですね。このタイトルどおり、これらの楽曲は
”人のこころ”を忘れがちになってしまった当時の世の中への警鐘だったのかもしれませんね。ちなみにボクは当時2歳弱(笑)。

さだまさし TOPページへ