ソロ 30thアルバム

「恋文」

2004年9月23日発売

1. 愛     5. やさしい歌になりたい     9. 遥かなるクリスマス
2. 決心 〜ヴェガヘ〜     6. ローズ・パイ     10.ちいさなおばあさん
3. 恋文     7. 春爛漫     11.愛 〜エピローグ〜
4. 黄昏坂     8. ふたつならんだ星 〜アルビレオ〜      
 
 『最後に恋文を書いたのはいつですか?最後に恋文を貰ったのはいつですか?』・・・文明の利器はデジタルでもいい。でも人間
はいつまでもアナログであるべきだと思いました。いやアナログなのにデジタルになろうとするから無理が生じるような気がする・・・
このキャッチ・コピーからこんなこと感じました。オープニングを飾る「1.愛」は”あなたに会いたい”をキャッチフレーズに書かれた壮
大な楽曲。一生かかっても成就しない恋もあれば、たった2分でその人にとっては一生分に値する恋もある・・・確かに!(笑)「2.決
心」は、駅から希望を胸に都会へ出てゆく若者に向かって歌った応援歌。”どんな人も昨日の過ち正すために未来はある”・・・ホン
トそうだよなあ。「3.恋文」は恋人たちの別れを”恋文”を通して描かれた曲。君から貰った最後の悲しい恋文。僕は君と行った誰一
人知る人のないあの町で君への最後の恋文を書こう・・・何とも悲しい余韻を残す作品です。「4.黄昏坂」は自分の心の中の葛藤を
歌ってる気がします。待つ自分と待たせる自分。その葛藤こそが生きてゆくということなのかもしれませんね。「5.やさしい歌になり
たい」は文字通り誰かの心のそばにいつもいる、そんなやさしい歌のような人間になりたいという願いがこめられた曲。「6.ローズ・
パイ」は、かの名曲パンプキン・パイとシナモン・ティー』の続編。あれから25年経った喫茶店・安眠(あみん)の様子が描かれてま
す。しかし若いって羨ましい。いや、誰にでも平等に若かりし頃というのは与えられてるわけだ。っていうか、そんなこと言ってる時
点でもう若くないってことを露呈してるんじゃない?アポロくん(笑)。「7.春爛漫」は、どんな人にも幸運は巡って来る。だから絶対に
諦めちゃダメだ!ってことをテーマにした曲。同じ出来事でも人のとらえ方によって良くも悪くも感じるわけだから、悪いことばかり
続いたからって諦めちゃだめなんだよね、きっと。「8.ふたつならんだ星」は恋人たちが夜空の星を眺めながら、自分たちを星と重
ねた想いを綴ったロマンティックな楽曲。そしてこのアルバムのクライマックスともいえる「9.遥かなるクリスマス」。誰もが幸せそうな
顔で街を歩くクリスマスの日。でも同じ星の裏側では毎日続く爆撃に生命を落とす人々、そして大切な人が生命を落としやり場のな
い悲しみに暮れるしかない人々が同じ日同じ時を過ごしている。気づいているのに気づいていないふりをしてバカ騒ぎする日本人。
今幼い子供たちに輝ける未来は来るのだろうか?・・・そんな切なる想いをぶつけた問題作。あの国の人々はあんなに不幸なのに
なぜこの国の人々は我関せずという顔をして幸せな顔をしていられるのだろう?そして自分も・・・そんな想いが痛いほど伝わって
きます。「10.ちいさなおばあさん」は誰でも若い時があるように、生きていけばおのずと老人になるんだよということを気づかせてく
れる曲。老人をバカにしてる若者だっていつかは年老いる。老人を大切にしよう・・・そんな標語、ある方がおかしいんだよね。老人
って自分の未来への道標なんだ。そんなことこの曲聴いて感じました。この11篇は彼からボクらへの恋文のような気がしてきます。

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