2ndアルバムの発表からわずか半年で発表された3rdアルバム。がしかし、グレープとしては最後のオリジナルアルバムになって |
しまったこの盤はバラエティに富んだ、皮肉にも三枚のうちで一番完成度の高いアルバムになっています。「1.朝刊」は理想の嫁姑 |
関係を描いたのほほんとした楽曲。おっちょこちょいな花嫁と、それを温かく見つめる義父、義母を若旦那の視点で歌った曲。これ |
はある意味かなりの名曲!「2. 19才」はまさに”19才”という大人でも子供でもない中途半端な年齢に揺れ動く女の子の心情を綴っ |
た歌。だけど彼女はあることを決めて胸に秘める。それは・・・。「3.哀しきマリオネット」は軽いタッチの曲調で歌われたものなんです |
けど、なんだか当時の彼らの心のうちを表しているような、そんな気がするんですよね。「4.絵踊り」は吉田さん作の、童話的な世界 |
を歌ってるんだけどどこか大人の雰囲気を持つ不思議な歌。「5.かなしいうた」は、淋しがりやなふたりが寄り添って、淋しがりやの |
ふたりが絵に色を塗る・・・他には何もないんだけど、なぜかかなしいんだよね。あ、だから”かなしいうた”なのか。「6.無縁坂」はさ |
ださんの初期の楽曲の中で最もボクの心に突き刺さる歌。人生に”運”というものがあるのだとしたら、あきらかに僕の母は運の悪 |
い人だろう・・・と歌われているけど、そんな母を見てこの曲のように心の優しい息子が育ったとしたなら、彼女の人生っていうのは |
すべて運が悪かったとは決して言えないだろう。とにかくこの曲は聴くたびにジーンと来ますねえ。「7.縁切寺」は人の心変わりがテ |
ーマになっている。あの時君は「あなたとの糸が切れたらもう生きてゆけない」と言った。でも君は今も同じ町で暮らし、君から別れ |
を告げられた僕はこうして今君との縁を切ろうとここへ来た・・・。「8.雲とらくがき」は前二曲の雰囲気を吹き飛ばすかのような明るい |
楽曲。なんだか同じアーティストが作ったとは思えないようなアルバムの流れです(笑)。「9.風と空」は吉田さん作。やはり大人の雰 |
囲気が漂っている。「10.笑顔同封」は、受け取った手紙からまるであなたの笑顔が見えるようだ・・・と歌ったポップな曲。懐かしい文 |
字をたどると、なんだかすごく感慨深くなってしまうよな、確かに。「11.フレディもしくは三教街」はフレディという男性に対する恋文に |
も似た手紙風の歌・・・と思いきや・・・。最後まで聴かなければこれが反戦歌であることがわからないという、さださんの作曲の才能 |
の深さを感じます。聴いた後の余韻がまた切ないこの歌でこのアルバムは幕を閉じます。このうち6曲は一晩のうちに書き上げてし |
まったという、そんな逸話を残しつつも、グレープ最後のオリジナルアルバムはこうして幕を閉じたのでありました・・・。 |