この4枚目のアルバムから、フォーク・歌謡色の強かったサウンドからバンド編成のロックサウンドへと移り変わって |
ゆきます。「1.碑(いしぶみ)」の間奏のエレキギターが印象に残っている歌。正直者が裏道を歩かなければならない
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という矛盾への嘆きを歌ったスローな楽曲。なんといっても泣ける「2.二人歩記」は暖かいサウンドと、「この部屋を去 |
らなければならない」悲しさと喜びが同居する心境が見事に歌い上げられている詞がすばらしい。「4.さよなら列車」は |
清涼なすがすがしいメロディとは裏腹な別離への悲しみがすごく染みてきますね。彼独特の早口口調のサビ部分もバ |
シっと決まる、女性の心情がものの見事に刻まれた名曲。「5.道」は歌手としての自分、そして人間としての自分が本 |
当にしたいことと現実のギャップを静かに綴った楽曲。長渕剛の作品の中で唯一彼のヨーデルが聴ける珍品でもあり |
ます。92年の「JAPAN’92 LIVE at 東京ドーム」で即興で演奏された「豚−BUTA-」の元歌と思われるのが、この「6.賞 |
金めあての宝さがし」。思いっきりマスコミへのバッシングを歯に衣着せぬ詞をのせて歌われたこの曲は痛快極まりな |
いのです。が、彼はこの頃からもうマスコミと戦ってたのですね。「7.銀色の涙と煙草の煙」は、帰ってこない彼女を待つ |
男と、黄昏時から夜明けにかけての街の風景を描写したフォーク色の強い作品。この淋しさは彼にしか出せない独特 |
のものだと思います。「8.ほこりまみれのブルージーンズ」は当時の時代を感じさせる音作りだなあって印象をもつ曲。 |
目の前に広がるこの道を信じて熱い心で歩いていこうという彼の決心が垣間見える作品です。そしてラストの「9.Bye
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Bye 〜忘れてしまうしかない悲しみに〜」は彼の若き日のミュージシャンとしての半生を綴った10分を越える大曲。歌 |
いつづけてきた彼が、得たものと失った人の対比を切々と歌いきっている壮大なバラード曲なのです。 |