「熱反応です! 胸部に異常な熱反応です。もの凄い勢いで拡大しています」 助手の声に三人はサーモグラフィにかじりついた。 さきほどまでずっと青かった、いや、はじめの頃は色さえなかった胸部が、赤く色づい ている。しかも、赤色は急速に広がっていく。 「パチニ放射は」 「依然として手のひらから放出されています。シータ波も動きだしました」 「なにっ」 「ぐんぐんシータ波のレベルが上がっています」 「快感指数は」 「一五〇――いえ、いま一六〇を突破しました」 日向教授は呆然として驚愕の色を浮かべた。 「そんなばかな……まだクリトリスも乳首も刺激していないのに。胸部は性感度二十以下 のはずだ……」 日向教授は真田に驚愕の表情を向けた。 「どうやら君の推測が当たっているらしいな。たしかにパチニ放射が出ているらしい。だ が、それだけでこんなに凄まじい熱反応が起こるものなのか。わたしの実験ではあくまで もパチニ放射は性感の刺激にとって補助的なもので主軸ではないはずだ。少なくともパチ ニ放射だけではオーガズムは引き起こせない」 「べつのものが出ているのかもしれません」 「別のもの?」 「はい。恐らくプラーナ放射でしょう」 「プラーナ放射? 気功士が放つ気の放射のことか」 「はい。若様の手のひらの温度上昇が恐らく」 「その証拠だと」 「はい」 「たしかに気の放射には温度上昇が認められるのは知っているが、だが、まさか……」 モニター画面では夢彦が乳首の愛撫に移っているところだった。 激しくバストを揉みしだきながら夢彦はくりくりと乳首をつまんでいた。 オオッ、オオッと律子は喉の奥から獣のような声をあげていた。 「快感指数一七〇に達しました。もの凄い勢いで上昇しています」 助手の緊迫した叫びが沈黙を引き裂いた。 「一八〇――一九〇――一向に止まる気配がありません。このままでは確実に二〇〇を越 えます」 月彦老人は静かに顔をあげた。 「どうやら、答えは出たようだな」 その直後、モニター画面から絶頂を迎えた女の叫びが聞こえてきた。 快感曲線が凄まじい勢いではね上がった。 MAXのデジタル表示が激しく変化し、赤い光を発して止まった。 数値は二六五を示していた。