『 巨乳学園 』



 雨だった。

 朝から雨が降っていた。

 だれもかれもが閉じ込められた昼休みの教室で、悦子は肘をついて窓の外を眺めていた。

 ふいに人の気配がして悦子は顔をあげた

 隆彦だった。

「ちょっと、話があるんだ」

 隆彦は無言で歩きだした。

 悦子はあとをついていった。

 隆彦が悦子を連れていったのは、理科第二実験室だった。

「昨日、あいつに電話かけたか?」

 悦子はうなずいた。

「ちゃんと言ったか?」

 悦子は首を振った。

「どうしてだよ」

「だって、つらいんだもん」

「じゃあ、このままあいつと付き合うのか?」

「でも」

「でももないよ。おれはおまえを信じていたんだぜ。おまえがあいつと別れないっていう

のなら、おれがあいつからおまえを奪い取ってやる」

「隆ちゃん」

「おれがあいつのところに行くよ。正面から会って言ってきてやる」

「やめて、隆ちゃん」

「だって、おまえがしないんだからしかたがないじゃないか」

「今度はちゃんと言うから」

「ほんとか?」

 悦子はこくりとうなずいた。

「いつ言うんだ」

「放課後」

 隆彦は悦子を睨むように見つめていたが、ふいに微笑んで悦子を抱きよせた。

「ごめんな、悦子。きついこと言って。でもおれ凄く不安なんだ。だれにも悦子を奪われ

たくないんだ」

「隆ちゃん」

 隆彦は悦子にキスした。

「すぐ済むよ。終わったらすぐおれのところに来いよ。待ってるから」

(以下、つづく)


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