『 巨乳学園 』



 ゴールデン・ウィークの一週間――。

 朝九時からはじまって夜の十一時まで、休みを挟みながら夢彦は、みどりと二人の女の

助手を相手に高殿の性戯室で色道の修行に明け暮れた。

 みどりが教えたのは、座位、正常位、側位、騎乗位、後背位、立位の基本六体位だった。

みどりは夢彦と実際に抱き合い深く交わりながら、挿入の仕方から挿入してからの愛撫の

仕方、十時運動、回転運動、直進運動という三つのピストン運動の方法、膣奥や膣前壁、

膣後壁、Gスポットの突き方、膣の締め方、平衡感覚を利用した性感の高め方、そして、

子宮口への刺激方法、さらにはフィニッシュの仕方にいたるまで、様々な体位を使いなが

ら夢彦に教え込んだ。夢彦はみどりに教えられたことを助手と交わって復習しながら、体

で覚え込んでいった。

 みどりが教えたもうひとつのことは、性感帯の三点式愛撫だった。

 性感帯というのは、三つの性感帯を同時に愛撫するという愛撫の仕方だった。性感帯ひ

とつだけを単独で攻めるよりは、性感帯を三つ同時に攻めたほうが快感が高まり、相手を

オーガズムに導きやすくなるというのである。

 みどりは夢彦に自分の体をさわらせながら、手と舌で三点式愛撫を教え込んだ。そして

、助手の二人を愛撫させて、実践経験を積ませていった。

 夢彦がもっとも秀で、そしてまたもっとも月彦老人と真田の頭を悩ませたのは、乳房と

乳首への愛撫だった。

 みどりがはじめて夢彦とセックスしたときもそうだったが、夢彦が乳房を揉みだすと、

やがて胸のなかが疼きだし、強く揉みしだいてほしくてたまらなくなるのである。なぜだ

かわからないがいやおうがなしに胸のなかから性感が湧きだし、乳首へのわずかの刺激に

も反応してオーガズムを迎えてしまうのだった。

 みどりも夢彦の愛撫に何度もよがり声をあげ、一度は完全にオーガズムを感じてしまっ

た。助手の二人も同じような具合だったが、一人は一度夢彦に乳首と乳房への愛撫でいか

されてしまってからすっかり感じるようになってしまい、乳首と乳房への愛撫を受けると

すぐにまたオーガズムを迎えてしまうという始末だった。

「結局、わからずか」

 一階のビデオ・ルームで夢彦と助手のセックスを記録したフィルムを眺めながら、月彦

老人は言った。

 夢彦は最終日の最後の修行を終えて、すでに性戯室をあとにしていた。

「夢彦には、まったく驚かされっぱなしだったな」

「はい。胸部への愛撫だけで快感指数が二七〇というのは、いままでになかった記録でご

ざいます。それも、一度二七〇が出てからは、毎回二五〇の指数をはじき出すというのは、

並大抵のことではございません」

「たしかに聞いたことはない」

「はい。しかし、そのことは別にいたしましても、なかなか優秀なご成績でございました。

最後でしたが、みどり様との間で二九〇をお出しになったのは、まことにご立派です。

三〇〇に行かなかったのは少し残念でございましたが」

「結局、二重の意味でおまえの考えが立証されたということだな」

「恐れ入ります」

「しかし、夢彦がどう特殊なのか、わしにもよくわからん。なぜバストを愛撫したときだ

けあのような高い指数が出るのかということもな」

 画面では夢彦が助手の乳房を愛撫しているところだった。女は全身を反らせ胸を突き出

し、激しいよがり声をあげていた。

「ただ、温度と関係があることだけはたしかでございます」

「だが、手掛かりはそれだけか」

「はい。少のうございますが、ひょっとすると、十分なのかもしれません」

「どういうことだ。おまえはなにか心当たりがあるというのか」

「はい。気功というものを、大お師匠様はご存知でしょうか」

「中国に古来伝わっている神秘的な鍛練法だな」

「はい。中国には、気というエネルギー体のようなものがすべてのものを形成しており、

それが人間の体のなかにも命の根幹を成しているという考えがございます。気功というの

は、一言でいうならば、それを鍛え増強しようというものでございます。筋肉を鍛え武術

につなげようという外気功と内蔵を鍛え健康につなげようという内気功の二つの気功がご

ざいますが、どちらにいたしましても、気というものを増強しようという考えに変わりは

ございません。この頃では医療面への適用がいろいろ話題になって巷でも気功療法という

ものが流行っているようでございますが」

「わしも一度か二度治療してもらったことがあるが、それがなにか関係があるのか」

「はい。たしか、それも手のひらにかざされた部分が熱くなったはずでございます」

「たしかに熱い感じはしたが、まさか、夢彦が」

「単純につなげることはもちろんできません。若様がそのようなものに興味を覚えになっ

たということも聞いてはおりませんし、また、なぜバストというただひとつの局部にだけ

異常な温度上昇が見られるのかということも、説明がつきません。しかし、ヒントになる

ことだけはたしかでございます。詳しいこととなると、大がかりな器械が必要になるでし

ょうが」

 月彦老人は低くうなった。

「おまえには、大学に行ってもらわねばならぬかもしれんな」

(以下、つづく)


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