『 巨乳学園 』



 男子はバスケットに脱いだ服を投げ込むと、名簿順に並んだ。D組の担任の水原先生は

身長の計測器のそばにいた。真紀先生はメジャーを持っていた。真紀先生が胸囲を計るら

しい。

 一番から計測が始まった。

 青木春光は、少し緊張した面持ちで真紀先生の前に立った。

 青木は身長が百八十センチほどある。真紀先生の頭は青木の胸あたりだった。

「ほんと、青木君は高いわね」

 そんなことを言いながら真紀先生はメジャーを回した。

 青木は首を伸ばして真紀先生の胸元を覗き込んだ。

 白衣は第二ボタンまで外れていた。

 その下から、色物のブラウスが見えていた。

 そのブラウスの胸は、こんもりとふくれあがっていた。

「八十七。なに見てるの、青木君」

「え、いえ、先生胸おっきいんだなと思いまして」

「わかりきったことを言わないの」

 真紀先生は手を振り上げた。青木は身をひねった。真紀先生は裸の背中にぴしゃりと平

手を打ち下ろした。

「いてえっ」

 青木が声をあげた。周りがげらげらと笑った。「あほなやつ」「青木ばかだせ」仲間が

口々にののしり、からかった。「うるせえ」青木は背中に赤い手形をつけたまま、水原先

生のほうに歩いていった。

 夢彦は一番後ろで待っていた。四月とはいえ、途中から転校してきた夢彦は名簿では最

後になっていた。

 夢彦はずっと真紀先生を見ていたが、真紀先生は夢彦のほうを全然見なかった。

 真面目な校医そのものだった。

 ふつうに見ていれば、とても自分といっしょにいるときに夢彦の太腿のあいだに手を伸

ばして誘惑したり、「だめよ」と甘い声をもらし喘ぎ悶えたりするとは想像できなかった。

彼女はあくまでも白衣を身にまとった神聖な教師の一人だった。

 次々と人が減っていって、やがて嶋田の順番になった。

「結構いい体格してるのね。筋肉質でかっこいいじゃない」

 真紀先生は嶋田の体を見てそう言った。

「勉強のほうもこれぐらい鍛えるといいんだけどねえ」

 真紀先生は皮肉を飛ばしながらメジャーを回した。

 そのとき、嶋田はすっと手を伸ばした。

 気づいたときには、両方の手が真紀先生の胸をつかんでいた。

 もみっ。

 嶋田は真紀先生の胸を揉みしだいた。

 そのとたん、真紀先生は嶋田の両頬を思い切りつねった。

「いってえええっ!」

 嶋田は思わず声をあげ、手を離した。

「なにすんだよ」

「嶋田君がばかなことをするからつねっただけよ」

「おれは先生の好きなことをしてやっただけだぜ。好きなんだろう、もみもみされるの」

「もう一度つねられたい?」

「いいぜ、しても。その代わり乳もみもみしてやるよ」

「背中向きなさい」

 真紀先生は厳しい声を発した。

「なんだよ」

「いいから背中を向きなさい」

「青木みたいに叩かれるのはいやだぜ」

「いいから向きなさい」

 嶋田は渋々従った。

「手をあげて」

 嶋田が手をあげると真紀先生はメジャーを回して目盛りを読み取った。

「九十二」

「先生よりでかいだろう」

「ビキニでもつけてみる?」

 周りの男がどっと笑った。

 身長を計っていた水原先生まで笑った。嶋田はおもしろくない顔をすると、ちっと舌を

うち鳴らして歩いていった。

(以下、つづく)


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