『 巨乳学園 』



 シューズボックスを覗いた夢彦は、一通の封筒が入っているのに気づいた。

 真っ白な封筒で、よく見ると薄く銀色の粉が降ってある。周囲にも唐草模様の飾りが巡

らしてあって、見かけ以上に凝ったつくりをしていた。

 なんだろう、と夢彦は思った。

 ふと仲違いをしているゆり子の姿が思い浮かんだが、すぐにかき消えた。代わって弥生

の姿が現れた。

 弥生ちゃんかもしれないな、と夢彦は思った。あの子、恥ずかしがり屋だったからな。

でも、いくらなんでもこんなまわりくどいことをするかな。

 夢彦は人のいないところまで行くと、封筒を開けてみた。

 薄い紫色の便箋が現れた。

 なかには女の子の字でこう書き記してあった。



 放課後四時、女子レスリング部に来てください。二人だけの秘密のお話があります。

                               I・S



 I・S――。

 夢彦は胸のなかで頭文字を繰り返してみた。I・S、I・S……。知っている名前で、

そんなイニシャルの子がいたっけ。ゆいは違うし、ゆり子もそうじゃない。弥生ちゃんだ

って――弥生ちゃんならY・Uになるはずだ。それに、二人だけの秘密の話って、なんな

のだろう。まさか……。

 夢彦は首を振った。

 そんなことはあるまい。ひょっとすると、だれかのいたずらかもしれない。

 放課後になればいずれ答えはわかるだろう。そう思って夢彦は放っておくことにしたが、

授業中も、ずっとイニシャルのことは気になっていた。

 そして、約束の四時――。

 夢彦は少し早めに体育館に着いた。

 女子レスリング部の部室はバドミントン部や卓球部が使っている第二体育館の二階にあ

った。二階の一部にエアロビクスをするためのような部屋があって、そこが女子レスリン

グ部の練習場になっていた。

 夢彦はドアに手をかけた。

 広い部屋だった。

 畳にして四十畳ほどあった。

 その真ん中に、リングがあった。

 人はだれもいなかった。

 夢彦はゆっくりとリングに歩いていった。

 心臓がどきどきと鳴りだした。

 夢彦は犯罪者になったような気分になって、更衣室を覗き込んだ。

 ロッカーが目に入った。

 愛想のない色をしたロッカーだった。

 その前に、女の子がひとりいた。

 眼鏡の女の子だった。

 大人びた顔だちの子だった。

 前髪を額の真ん中で分けていて、左目の下に小さなほくろがあった。

 だが、夢彦が一番注意を引きつけられたのはそんなことではなかった。

 レオタードの胸の部分は、むっちりと大きくふくらみ、迫り出していたのだ。

 胸元にはY字の深い谷間が走っていた。

 女の子は髪の毛を丁寧に分けていたが、やがて背中を向いた。

 それでも、胸のふくらみは隠れなかった。

 少し斜めを向いているので、豊かな隆起が体の線から飛びだしていた。

 レオタードの食い込んだお尻もぷりぷりしていて、さわり心地がよさそうだった。

 夢彦はごくりと唾を呑み込んだ。

 後ろからあのボインにむしゃぶりつきたい。

 心のなかが強くそう思った。

 後ろから揉みしだきたい。

 レオタードの食い込んだあそこに指をすべりこませたい……。

 夢彦は想像のなかで背後に忍び寄り、レオタード越しに豊満なふくらみをつかんだ。太

腿のあいだに指をすべりこませた。髪が揺れ、眼鏡の女の子は声をはね上げた。夢彦は激

しく乳房を揉みしだき、くねくねと指を動かした。女の子が喘いだ。夢彦は指をさらに奥

へと進めた。なかの壁を撫でかき回した。女の子は声をあげ、腰を振った。夢彦はレオタ

ード越しにグリグリと乳首をつまみ、クリトリスを転がした。女の子は身をのけ反らし、

悶えた……。

「なにしてるの」

 凄味のある声が夢彦を一撃した。

 眼鏡の女の子が目の前に立っていた。

 レオタードの女の子だった。

 かたい面持ちをしていた。

「鏡君ね」

「え……」

「色道のお孫さんも、覗きをするのね」

 女はくすっと笑った。

 やさしい笑顔だった。

「ぼくを呼んだのは、君?」

「そうよ。わたしは、園田郁子」

 と女は自己紹介した。

「少し、二人きりで話がしたかったの」

「話って」

「ついてきて」

 園田という女はまっすぐリングに向かった。

 そして、ロープをつかむと、そのままリングに上がった。

「来て」

 夢彦もロープを越えてリングに上がった。

「話って、なんなの」

「大したことはないんだけど」

 と園田郁子は髪をすきながら言った。

「わたしと勝負してほしいの」

「勝負?」

「そう、レスリングの勝負」

「勝負といったって、レフリーもいないよ」

「自分で数えてくれていいわ。とにかく、わたしが勝ったら、わたしの願いを聞いて。そ

の代わり、あなたが勝ったら、あなたの言うことをなんでも聞くわ」

「そんな無茶苦茶な」

「もちろんハンデはつけるわ。わたしは関節技は使わないし、あなたはなにをしてもいい

わよ。なにかはあなたに任せるけど。準備はいい?」

 園田郁子は早くも身構えた。

 なんだかわけがわからないな、と夢彦は思った。

 思い込みが激しいのか、おかしいのか、どっちでもないのかもしれないが、とにかくや

るしかないらしい。

 夢彦は制服を脱いでリングの外に投げ飛ばした。

 女の口許が笑った。

 その直後、女は夢彦に飛びかかってきた。

 フライング・キックだった。

 胸のど真ん中にまともに受け、夢彦は吹っ飛んだ。

 頭がリングにぶつかった。

 夢彦は顔をしかめ、頭を押さえた。

 だが、そんなことをしている暇はなかった。

 女は宙を舞い、飛びかかってきた。

 ボディ・プレスだった。

 女の体が夢彦を押しつぶした。

 ごほっと、息にならない息を夢彦は吐きだした。

「これでわたしの勝ちよ」

 女は妖艶な笑みを浮かべた。

 夢彦の腕をつかみ、胸ごと伸しかかった。

 ボリュームのある乳房が顔に押しつけられた。

 女は胸をふるわせ、乳房をこすりつけた。

「一」

 カウントが始まった。

「二」

 夢彦は腕を動かそうとした。だが、女は意外に力があって動かない。

「さ……」

 女が最後のカウントを言おうとしたそのとき、夢彦は舌を伸ばし、胸元をえぐった。

「きゃっ」

 女は声をあげた。

 その瞬間、夢彦は女をはね飛ばした。

 夢彦はゆっくりと立ち上がった。

「カウントはまだだよな」

 夢彦は女を見つめながら言った。

「ええ。でも、攻撃はこれだけじゃないわよ」

 女の体が急に沈み込んだ。

 あっと思ったときには足がすっと伸びていた。

 足払いだった。

 夢彦はみごとに吹っ飛び、倒れた。

 その上に女が伸しかかった。

 またしてもボディ・プレスだった。

 女は前よりも激しく乳房をこすりつけてきた。

 だが、夢彦も準備していた。

 女が伸しかかるやいなや、抱き抱え、ヒップの割れ目に指をすべらせたのだ。

「アンッ」

 女が声をあげた。

 夢彦はさらに指を伸ばして割れ目に指を当てた。

 くちゅっ、くちゅっ。

 指をくねくねと動かした。

「アッ、アアンッ」

 女は思わず反り返った。

 ビクンと体がふるえた。

 夢彦はその機会を逃さなかった。

 女を引っ繰り返し、今度は自分が上に乗った。

「一」

 カウントダウンが始まった。

 女はブリッジで返そうとした。

 その寸前、 夢彦はレオタードのなかに指をすべりこませた。

 コリッ。

 クリトリスを指がつまんだ。

「アウウッ」

 女はびくっとふるえた。

「二」

 夢彦はクリトリスをくりくりとつまんだ。

 女は喘ぎながら夢彦の腕をつかみ、引き離しにかかった。

 夢彦は片手をヒップの割れ目に伸ばし、アヌスの付近をくすぐった。

「ハウウッ!」

 腰がぴくぴくんと動いた。

「三」

 夢彦の勝ちだった。

(以下、つづく)


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