『 巨乳学園 』



 昼食を終えると、夢彦はD組の教室を飛びだした。

 ゆり子はずっと夢彦を無視しつづけていた。わざと夢彦のほうを向かないようにしてい

た。万が一視線が合ったとしても、すぐに首ごとそっぽを向くのだった。

 わからず屋めと、夢彦は胸のなかでつぶやいた。

 どうしてわかってくれないんだ。どうしてみんな同じように色道をそんな目で見るんだ

。どうしてただやらしいことだけとしか考えないんだ。どうしてそんなふうに変なレッテ

ルを張りつけて追い出すんだ。そんなことをしたってしかたがないのが、どうしてわから

ないんだ

 保健室は開いていた。

 ドアを開けると、奥から細々と声がもれてきた。

「あら、鏡君」

 真紀先生は一人がけのソファにすわって話をしていた。

 その向かい合わせに、女の子が数人掛けのソファにすわっていた。

 眼鏡をかけた女の子だった。

 肩にかからないほどに髪の毛を短く切りそろえていた。

 清潔な感じのする子だった。

 だが、その清潔な感じとは裏腹に、セーラー服の胸はきゅっとふくらんで、大きく飛び

だしていた。

「どうしたの、いったい。また怪我?」

 真紀先生は尋ねた。

「いえ、怪我じゃないんですが」

「なにか相談ごと?」

「ええ。でも、いいです」

「あら、いいのよ。ちょうど鏡君のことをしゃべっていたところなんだから。こっちにい

らっしゃい」

 真紀先生は夢彦に腰を下ろすように勧めた。

「鏡君は、弥生ちゃんに会ったことはないわよね」

 夢彦がすわると、真紀先生はすぐに話しかけた。

「ええ、ありません」

「じゃあ、紹介するわ。海野弥生ちゃん。鏡君と同じ三年生よ。B組なの。図書委員をし

ているの。とっても真面目でいい子なのよ」

 夢彦は弥生と紹介された女の子を見た。

「こんにちは」

 と女の子は控えめにお辞儀をした。

 美しく切りそろえた髪が揺れた。

 夢彦は、おとなしい子だなと思った。

 真紀先生は女の子に顔を向けて、

「もうわかってると思うけど、こちらが鏡夢彦君ね。弥生ちゃんみたいにおっぱいのおっ

きな子が好きなんですって」

「先生、からかわないでください」

 女の子はぱっと頬をうす赤く染めた。

「あら、からかっちゃいないわよ。ほんとなのよ。鏡君って、ボインの子が大好きなんだ

から。ねえ、鏡君」

 真紀先生は夢彦にウインクをしてみせた。

「おっぱいは好きでしょう?」

「え、ええ、まあ」

「じゃあ、弥生ちゃんのおっぱいはどうかしら」

「ど、どうって」

「気に入った?」

「き、気に入ったなんて、ちょっと先生、いきなりなに聞くんですか」

「質問に答えて。弥生ちゃんのおっぱいは気に入ったの?」

「そんなこと言われても、べつに見たわけじゃないし」

「そうだったわね。それじゃ、さわってみたら」

「さわってって……」

 夢彦はびっくりして真紀先生を見た。

「遠慮することはないのよ。べつにさわったって弥生ちゃんは怒らないわ。逆に、よろこ

んでくれると思うわよ。弥生ちゃんって、おっぱいが……」

「先生!」

「なあに」

「変なこと言わないでください」

「あら、まだ言ってないじゃない、おっぱいが凄く感じやすいなんて」

「先生っ!」

「まあ、大きな声。どうしたの、そんなに張り切って」

「わたし、帰ります」

「あら、帰っちゃうの。さっきはあれだけ会いたいって言ってたくせに」

「もうっ、先生は」

 弥生は真っ赤になった。真紀先生はけたけたと楽しそうに笑った。

「ほんと、純情な子はからかいがいがあるわ。でも、あまりいると邪魔になりそうだから

、ちょっと先生、席を外すわ。その間、二人でたっぷりと楽しんでいてちょうだい」

「楽しむって、先生」

 真紀先生は夢彦の耳に顔を近づけた。

「あんまり弥生ちゃんの胸さわっちゃだめよ」

 真紀先生はウインクすると、保健室を出ていった。

(以下、つづく)


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