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◆作り手としてのエゴを捨てる |
なべ君 | じゃダメダメ君にならないコツみたいのを(苦笑)。 |
鏡 | 別の意見と衝突した時に「おれが間違ってんのかな?」と一旦自分に向かって問いかける、自省することだよね。 自信が持てない時には、ユーザー代表の友人知人にも聞いてみる。それで自分がどうでもいいところにこだわっているかどうかを確かめる。 作り手としてのエゴを監視することだと思うよ。いい意味のエゴはいいけど、悪い意味のエゴを監視することね。 |
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なべ君 | その時に、冷静になれるか、って大切ですよね? その自省するときに。 |
鏡 | そう。凄く大切。衝突した瞬間は沸騰してもいいけど、その後で冷静になれることが大切。 | ||
なべ君 | 冷静ってのは、作り手の視点を離れて(捨てて)、ユーザーの視点に立てるかどうか。 |
鏡 | そうそう、そういうこと。捨てるという言葉、いいね。ほんと、捨てるってことだよ。 | ||
なべ君 | それが簡単に捨てられないところが苦しいところなんですが(苦笑)。 |
鏡 | 創作者として若い頃には、どうしても捨てきれないんだよ。なぜかというと、二度と同じものをつくれないと無意識に思っているから。 | ||
なべ君 | あるあるある(^^;;;;;;;; |
鏡 | いくらでもまたこんなレベルつくりなおしてやると思っている人、実際にそうできる人は、結構捨てる。できない人に限って捨てられない。 リテイクへの対応も同じだよ。実力のない人に限って渋る。原画も、シナリオもね。 |
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なべ君 | どう渋るんですか? |
鏡 | 「こうしてください」と言われると、実力のない人に限って全然直してこない、もしくは「こちらの方がいいと思うんです」と全然違うものを書いてくる。 書かないんじゃなくて、書けない。 そうして、理屈で武装する。だいたい言い訳を言うのは、弱い人の証拠だから。 |
なべ君 | そういう視点は初めて聞きます。面白い。 |
鏡 | 手より口の方が早くて達者なわけよ(笑)。 |
なべ君 | もっと言えば、自分でやってるような気がして怖い(自爆)。 |
鏡 | 書き手として若い頃は誰でも自爆する(笑)。 |
なべ君 | (爆笑) |
鏡 | おれもかつて自爆した(笑)。高校生の時の小説なんて、読めないというより爆笑ものよ。 |
なべ君 | いやー、3年とか前に書いたもの見て、顔から火が出そうになるようなもんですね(^^;; |
鏡 | そうね。自分の場合でも、1年前に書いたシナリオって、「若えなあ」って思うよ。 けど、逆にそう思えることが成長の証。 |
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なべ君 | いやほんとそう思います >そう思えることが成長の証 |
鏡 | ただ書き手として若い頃だと、眼高手低になっているだけ、批評家としての自分の目が先に肥えているだけ、ということがある。で、書き手、作り手としての自分は同じまま。 | ||
なべ君 | それは危険ですね(^^;;; |
鏡 | もの凄く危険。誰でも陥る罠。 |
◆鑑賞者としての目 |
なべ君 | 批評家としての目って、でも、役には立つものだと私なんかは思ってしまうんですけど、どう思いますか? |
鏡 | そんなことはない。 批評家としての目というか、ユーザーの目線でおもしろいかどうか判断できる目ってことなら、絶対必要だよ。鑑賞者としての目ね。 |
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なべ君 | ああ、そういう意味で。 |
鏡 | 要は、ユーザーの目線でつまんねえかおもしれえかを判定する目ということだから。 | ||
なべ君 | 最近思って何度も口にした言葉なんですけど、 「面白いものを面白いって分かることはすごく大切なこと」だって。 逆にいえば「つまらないものをつまらないって分かること」とも言えますけど。 |
鏡 | 少し違うかな。 | ||
なべ君 | その2つは一緒ではない? |
鏡 | 一緒ではないね。 つまらないものは結構わかりやすい。 けど、おもしろいものは、徹底的におもしろいものはすぐわかるけど、そうでないものは、つまらないものに比べればわかりやすいわけではない。 批判することは誰にでもできるけど、ほめることは誰にでもできることじゃない。 |
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なべ君 | 痛いお言葉です(^^;; |
鏡 | そして、作り手にとっては、「これつまんねえ!」と言える目線も必要だけど、「これおもしれえ! こうだからおもしれえんだよ」と言える視点の方が大切。 作り手はけなすことよりも、感動すること、おもしれえって言えることの方を大切にした方がいいと思う。 |
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なべ君 | 言われてみれば、すごく納得できる話ですね。 |
鏡 | 人の欠点にしても同じだからね。 |
なべ君 | つまらない点を研究して、つまらなくないようにしても、特に光るもの(面白い点)がなければ、特になんでもない。 |
◆コンセプトという原点回帰 |
なべ君 | これもまた最近考えたことで、「同じ(広義の)コストを払うならば、悪い点を直すことと、よい(と思う)点をより良くすること」どっちがベターか?(無論良い、悪いの程度にもよりますけど)。 |
鏡 | どちらがベターというのは、ゲームの話? シナリオの話? どちらのレベルの話? | ||
なべ君 | 完成品として、だからゲームとしてですね。 |
鏡 | 違う視点を導入する形になると思う。マイナスポイントを直すか、プラスポイントを伸ばすかというのとは違う視点ね。 | ||
なべ君 | どういう視点ですか? |
鏡 | ゲームの場合、コンセプトというのがある。 このゲームはこういうゲームで、こういうことを楽しんでもらいたいと思っている。そういうのをコンセプトと言うのよ。そのコンセプトの視点を導入するわけ。コンセプトに帰るというべきかな。 |
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なべ君 | 原点回帰ですね。 |
鏡 | そう。まさに原点回帰。 このゲームは何をやりたいんだ、ということを確認する。そして、それを果たして実現できているのか。実現する形でゲームが出来上がっているのか。 そういうところに帰るわけ。だいたい、ゲームが糞になるのはコンセプトを見失った時なのよ。 |
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なべ君 | なるほど(苦笑) |
鏡 | 開発期間って長いでしょ? だから、制作途中にコンセプトを見失っちゃうのよ。 |