5thアルバム
「夜しか泳げない」

1990年2月21日発売

1. 調子はどうだい   7. 遊ぼうよ
2. 好きにやりなよ   8. 12号室
3. 夜しか泳げない   9. たのむからさ
4. 未練TARATARA   10.ごきげんさ
5. せかされる夜にあおられて   11.きれいだ
6. 不快指数85    
 
 あまりの泥酔のため、自分のレコーディングなのにスタジオから締め出されたという経緯を持つ作品(笑)。しかしこの『夜しか泳げない』
ってタイトル・・・すごく悲しい感じが伝わってきますね。ジャケットのSIONさんも、ドアから表をおそるおそるのぞいてるのが印象的。「1.調
子はどうだい」は、都会でも田舎でもどこで生きていこうとするにも大変だって歌ってる気がする。そんな大変な思いをしてる連中に向かっ
て「調子はどうだい?」って、なんか皮肉だね。「2.好きにやりなよ」は、デリカシーのない相手に対してもう何話しても意味ねえや、と半ばあ
きらめてしまった男の想いが歌われてる。やっぱりここでも皮肉(笑)。「3.夜しか泳げない」は”光だけが光じゃない”ってフレーズが印象的
な楽曲。つまり夜に太陽がなくたって、それに変わる希望の光ってのがあるんだろうな、きっと。「4.未練TARATARA」は逝ってしまった大
好きだった友人へのレクイエム。俺もそっちへ行きたい。でもまだこの世も捨てたもんじゃないと信じたいって気持ちが伝わってきます。「5.
せかされる夜にあおられて」は、まにあわせの本当をでっちあげないで、もっとホントの話をしてくれよっていう男の心情が綴られてる。なん
だか世間に対するグチが多いな、この盤は(笑)。「6.不快指数85」は熱帯夜に眠れない男の・・・やはりグチが(笑)。風がないと余計にい
らついてくるこの気持ち、わかります。「7.遊ぼうよ」は、あんたに会えてよかった。あんたを好きになれてよかった。でもあんたとは暮らした
くない。そんな暮らしに懲りてるから・・・そんな女性の気持ちを歌った一曲。「8.12号室」は彼の幼少時代の体験をモチーフに描かれた大
曲。涙するというよりも、そこには生半可ではない悲しみが広がっている。美しいピアノの旋律も悲しすぎる。救えないその悲しみをどう拾
えばいいんだろうか・・・。「9.たのむからさ」は、フラれた夜に限って飲みに誘ってくる女と、「しょうがねえなあ」と思いながらも毎回出かけて
いく男を歌った千鳥足なメロディー(笑)が印象的な歌。「10.ごきげんだ」はブルージーなピアノと跳ねるようなメロディーで、もうどうしようも
ないほど赤っ恥かいてるのに離れられないほどこの街が好きさ、と歌ったまさにごきげんな歌。「11.きれいだ」は、酔っ払って夜空を見たら
メチャクチャ星が綺麗だったんだよって体験を歌にしたバラード曲。まあこの盤はほとんどが酔いどれの歌で占められているんですが(笑)
すべての曲の裏側に悲しみが隠されてる気がします。そして”夜しか泳げない”魚たちの記録がここで歌われてる気がしますね・・・。

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