このアルバムは、ひとりの少年の成長を綴ったコンセプトアルバムとして位置付けられている2ndです。前作ではお |
互いの楽曲を歌いあうという曲もありましたが、このアルバムからは自分の曲を自分で歌うことによって、小田さんと |
鈴木さんの個性がはっきりわかれています。スキャットではじまる「1.プロローグ」にはじまり、「2.すきま風」は美しいコ |
ーラスワークが顕著な逸品。つづく「3.はたちの頃」は若き日の回想録。若い頃っていうのはホントに腹を割って話せた |
もんです。今はもう取り戻すことのできない瞬間を歌った曲。「4.日曜日のたいくつ」は二人の間のたいくつをそのまま |
日曜日に重ねた曲。「5.別れの情景(1)」「6.別れの情景(2)」は小田さんの真骨頂。風景を織りこみながら、まさに「別 |
れ」をテーマにした名曲たち。「7.新しい門出」は歩きなれた道を少し離れて、自分のまったく知らないところへ行ってみ |
ようという自立の歌。一方「8.あの角をまがれば」はそれでもなかなか知らない道へは行けないっていう曲。7曲目と8曲 |
目の対比がおもしろいですね。「9.若すぎて」はまるでふたりのコーラスワークの域を見せられる感のある楽曲。若さの |
中に恋の終わりの悲しみを置いてきてしまおうという歌。「10.のがすなチャンスを」は彼らなりのロックっぽさを強調した |
一曲。「11.首輪のない犬」は生きがいのなくした男に、生きがいを見つけようってメッセージを送る歌。涙が流せるうち |
はまだ大丈夫。ラスト「12.わが友よ」は、もう一度生まれ変ったとしても今の自分に生まれたい。そして君に逢いたいっ |
ていう、小田さんから鈴木さんに歌ってるんじゃないかなあって思いのするショートな一曲。徐々に完成度を増しつつあ |
るこのアルバムが、次の鉄壁の名盤『ワインの匂い』とつながってゆくのです・・・。 |