KAN自身も待望していた大ヒット作「1.愛は勝つ」を含む5枚目。しかし今まで彼の曲を聴いて |
きた者にとっても、彼自身にとっても一番彼らしくない楽曲である、と思う。「愛の素晴らしさ」を精 |
一杯表現している名曲なんだけど、なんかストレート過ぎて彼らしくないんだよなあ。メロディー |
は好きだけどね。「2.恋する二人の834km」は遠距離恋愛を歌ったポップチューン。距離には負 |
けない意思を感じる。「3.けやき通り〜」は4枚目の「フランスについた日」を連想させるイントロ |
からサビの部分で盛りあがるすべてが好きだなあ、この曲。恋の第3者的立場からの視点が |
いいなあ、新鮮で。「4.青春国道202」はアップテンポなナンバー。高校時代の思い出を思い返す |
構成がいい。そう、高校の時って大学生が妙に大人に見えたなあ(ちなみにボクは大学生に |
なったとたん、高校生以下なことばっかりやってたけど(笑))。「5.千歳」は文字通り北海道の |
千歳空港の「千歳」である。飴ではない(あたりめーだ(笑))。別れた彼女との再会シーンを描 |
いた悲しいバラード。「6.Happy Birthday」は高嶺の花の女の子をみんなで祝う、まさに「誕生日 |
おめでとう」ソング。メロディーも秀逸。「7.ぼくたちのEASTER」はサックスが印象的なロマンティ |
ックな一曲。ここいら2曲は彼の持つ「毒っ気」がない(笑)。そしてこのアルバムのハイライトに |
なるであろう「8.健全 安全 好青年」である。最初この曲好きじゃなかったんだけど、聴き続ける |
うちに彼のワナにはまってしまった(笑)。セリフ入りの歌ってあんまりいい印象受けないんだ |
けど、この曲は別の意味で受けた(笑)。こんな曲、他の人には作れないよ(笑)。「9.1989」は |
ビリージョエルの「イタリアン・レストラン」という曲の構成を模倣したパロディー曲。しかしその |
バラード性や物語性は完全に彼自身の個性となっている。「10.君が好き胸が痛い」はピアノ弾 |
き語りによるバラード曲。まあ言ってみれば自分が本当に伝えたいことを伝えられないでいる |
不器用な男の切ない心情といったところかな?とにかくこのアルバムでは「愛は勝つ」の印象が |
強いが、オリジナリティーが一気に開花したのもこのアルバムからである名盤なのであります。 |