鏡流夏の技合わせ当日――。 会場は人であふれかえっていた。 国内から訪れた有数の門徒たちが、お互いの顔ぶれをたしかめあい、これから始まる饗 宴に目を輝かせ、話を咲かせていた。 鏡流第四代家元、鏡月彦は技合わせの始まる四十分前、深いカーディナルレッドの国産 の最高級車アフロディアに乗って会場に現れた。執事の真田を伴ってその姿を見せると、 もの凄い人の集まりが祖父を取り囲み、声をかけた。それに月彦はやさしい笑顔で応えて いた。 夢彦にはあまり見せたことのない笑顔だった。 夢彦はみどりと並んで、少し離れて二人のあとを歩きながら、おもしろくなさそうな表 情を浮かべていた。 だが、そんな顔をしていたのもほんのわずかのことであった。 「若様だ!」 「若様だぞ!」 「若様がいらっしゃったぞ!」 そう声があがったと思うと夢彦はもの凄い数の人に取り囲まれていた。 無数の手が一斉に伸びた。 夢彦はだれだかわからないうちに手を握られ、身体に触れられた。 幾度とも知れず若様と呼ばれ、言葉をかけられた。 もの凄い歓迎ぶりだった。 だれもが夢彦を見たがっていた。 だれもが夢彦に話しかけたがっていた。 だれもが夢彦に触れたがっていた。 夢彦はその場の憧れの人であり、夢の人であった。 想像を絶する人込みにもまれ握手を求められながら、夢彦は、あの日祖父の問い掛けに に応じたことによって自分がもの凄い渦のなかに飛び込んだことを、わずかながら感じて いた。 汗だくになりながらも人にもまれてようやく夢彦は控室にたどり着いた。疲れというも のはあまり感じない年頃だったが、夢彦は疲れたと感じた。それは肉体的なものよりも精 神的なものだった。夢彦は、なにかで疲れを癒したいと思った。そのとき、静かにドアが 開いて女性が入ってきた。 KAGAMI―RYU SHIKIDO SUMMER FESTIVAL AUGUST IN 2115 と胸に大きくプリントしたシャツを着ている。 歳は二十歳すぎというところだ。 鏡流の門徒ではなく、スタッフらしい。 整った美人の顔だちで、その美貌に負けぬくらい、胸もふくよかにふくらんでいた。 ドアを閉めると、女はどうぞ、と差し出した。 ありがとうと言って夢彦は受け取った。 よく冷えた麦茶であった。 飲むと頭の芯まで響いた。 「大変ですね」 と女は話しかけてきた。 「お疲れになったでしょう。あまり大勢の人が押しかけてきたものですから」 「うん、少しね。でも、凄いね」 「みんな、若様に会いたがっているんです。若様はなんといっても希望の方ですから」 「ぼくが?」 「はい。長い間跡継ぎが決まらなかったものですから、ずっと不安がつづいていたんです。 この先、鏡流はどうなるだろうって。大お師匠様もきっと不安だったと思います。でも、 その不安を打ち消してくれたのが若様だったんです」 「ふうん。でも、ぼく、全然そんな自覚ないな。いまぼくの頭にあることって、夏休みは あと何日かなってことぐらいだもん」 Tシャツの女は思わず笑った。 「宿題のほうはもう済まされたんですか」 「うん」 「優秀なんですね」 「あとに残すのがいやなだけ。残すとうるさいでしょう」 「ええ」 「だから」 「でも、わたしなんかいつも最後の日になってからしていましたけど」 「小学校のときも」 「ええ」 「じゃあ、絵日記なんか適当にしてたわけ」 「はい。自分で勝手にこしらえたりして。あとで先生から、何日は何々ちゃんのところに 遊びに行ったって書いてあるけど、その日は何々ちゃんは田舎に帰っているよ、どういう ことなの、なんて言われたりして」 「焦らなかった?」 「もろ焦りました。思わず何々ちゃんがうそをついているんです、なんて言ったりしちゃ って」 二人は思わず笑った。 「今日は、舞比べに出られるんですよね」 「うん」 「舞比べって、一番あとですよね」 「そう聞いたけど」 「それじゃあ、あの、お願いがあるんですけど」 「お願い? なに?」 「もしよかったら、していただきたいんです」 夢彦はピンと来た。 女が部屋に入ってきたときからなんとなくそんな感じはしていたが、やはりそうだった のだ。 「だめですか?」 「いいよ」 「ほんとですか?」 女は大きな声をあげた。よっぽどうれしかったらしい。 「でも、その前に名前を教えてくれる?」 「はい、本田宏美っていいます」 「宏美さんか。宏美さんおっぱい大きそうだね」 宏美はくすっと笑った。 「若様って、おっぱいが好きなんですよね」 「そうだよ。大好きだよ」 夢彦はそう言って宏美の胸を揉んだ。 「ほら、やっぱりおっきい」 「服の上からでもわかるんですか」 「一応、家元の孫だから」 宏美はくすっと笑った。 「じゃあ、バストのサイズなんかもわかります?」 「ぼくは超能力者じゃないよ」 「でも、お孫さんなんでしょう」 「厳しいなあ」 宏美はまた笑った。 「サイズ当てたらなにをくれるの」 「わたしの知ってるすっごい胸のおっきな子紹介してあげます」 「俄然やる気が出てきた」 宏美はまた笑った。夢彦も笑った。 それから夢彦は真剣な顔をしてバストを揉みはじめた。 「わかります?」 「わからない」 「冗談でしょう?」 「冗談です。でも、ほんと」 「どっちなんですか」 「わからない」 宏美は笑った。 「ブラ取ってくれない?」 「その代わり二回してくれます?」 「いいよ」 宏美はよろこんでTシャツの裾をめくった。 きれいな肌だった。 白くて、しみがない。 グラビアに載ってもおかしくない子だ。 胸を覆っていた最後の白い鎧が外されると、夢彦はその思いをさらに強くすることとな った。 宏美の乳房は白く、美しかったのだ。 むっちりとしていて品があり、円錐形にふくらんで誇らかにつんと突き出していた。 「きれいなおっぱいだね」 宏美はうれしそうに瞳を輝かせた。 「それに、とってもおっきいし」 宏美は笑った。 だが、夢彦にゆっくりとやさしく乳房を撫でまわされているうちに、なぜだかわからな いが胸がぽっと熱くなって宏美は感じてきた。やがて指の力が増して乳房に食い込んでく ると、胸全体から肉汁のように快感がしみだしてきた。 宏美は決して胸の感じやすい子ではなかった。 彼女は自分の性感帯は背中だと思っていた。 事実、背骨に沿って背中を舐められると弱かった。 だが、乳房は、乳首は例外としてそれほど感じたことはなかった。さわられていやだと いうことはなかったが、あまり揉みまわされるのはいやだった。 だが、いままでに感じたことのない快感が、じゅうじゅうと乳房にこみ上げてきた。し かも、それは揉まれるほどに強くなりつつあった。 今日の自分は変だと宏美は思った。若様にしていただけるから、わたしが興奮している のだろうか。でも、それで感じないところが感じるとは思えない。ひょっとして、これが 若様の噂の力なのだろうか。 そう考えはじめたところで、夢彦の手が乳首をいじりまわしてきた。 ビクンと戦慄が走り、宏美は思わず、アンッと声をあげてしまった。 乳首をつままれただけでこんなに快感を覚えたのははじめてだった。 やっぱり若様は違うんだ、そう思った直後、また乳首をつままれた。 宏美はまた声をあげた。 もっと乳首をつまんでと思った瞬間、夢彦は双つとも乳首をつまんできた。 宏美は思い切り声をあげた。 いままで得たことのないほど、鮮烈な快感だった。 宏美は身体をそらせながら、もっともっとと胸のなかで切なく叫んだ。 夢彦はその声が聞こえているかのように、乳首を強くつまんできた。 宏美はたまらず激しく声をあげた。 自分のバストを当ててもらうことなど、どうでもよくなっていた。 頭のなかにあること、それはただひとつ、もっともっと気持ちよくなることだった。 宏美はもっとおっぱいをいじめて気持ちよくしてと心のなかで叫んでいた。 夢彦はそのとおりにした。 乳首にしゃぶりついたのである。 「ああ―――っ、あっ、ああ――っ」 宏美は激しく身悶えし、声をあげた。 夢彦は乳首をつまみながら、また乳首を吸った。 宏美は声をあげ、夢彦に乳房を押しつけた。 夢彦は激しく舌先を動かした。 宏美は身悶えし、叫んだ。 ぼうっと頭が白熱した。 ふいに手が濡れている花びらを撫でてきた。 宏美は腰をふるわせた。 胸のほうはまだ激しく乳首を吸われ、ころがされているのである。 「ああっ、あっ、ああ―――っ」 夢彦の指が動きはじめると、宏美はさらに激しく喘ぎはじめた。 乳房の谷間にうっすらと汗が浮かびはじめた。 もうそろそろだなと夢彦は思った。 夢彦は谷間に咲いた蕾に手を伸ばした。 くりっところがしたとたん、宏美は大きな声をあげた。 ビクンと身体がふるえた。 夢彦はさらに蕾をつまみふるわせた。 宏美は大きく声をあげ、つづけざまにのけぞったかと思うと、ビクンと大きくふるえ、 ぐったりとなった。