~ミクロの世界~
「世界一極小の百人一首」
この極小百人一首の作品は、
昭和5年6月に描かれたもので、
薄和紙に、わずか1.9cm×1.9cm四方に百人の和歌と人物絵が彩色で描かれています。
肉眼ではほぼ見えない世界です。
現存されている最も極小の彩色百人一首は、この一枚が確認されております

ミクロの世界 極小百人一首(彩色絵画)「当館所蔵」
(保護の為、常設展示はしておりません)

肉眼で細字百人一首を描いている様子(当館所蔵資料)

神経細胞の動きで指先が震えるのを、出来る限り押さえて描く限界状態
(信じられない超人的神業である)(当館所蔵資料)
小倉百人一首には、
紫式部、小野小町、清少納言の和歌が含まれており、
三賢女(3人の賢い女性)と言われております。
百人一首の名選(抜粋)三賢女の和歌紹介
紫式部(現大河ドラマ)
源氏物語」の著者
紫式部 は藤原為時の娘で、式部の呼び名は為時の官名式部丞からきています。
初めは藤式部と称したのですが、のちに「源氏物語」の主人公・紫の上にちなんで紫式部と呼ばれたと言われています。
57番、紫式部の和歌
「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな」
この和歌は古い友だちにあてたもので、久しぶりの再会であったのに、ゆっくりと話す時間もなく過ぎてしまったという心残りを、
夜半の月にたとえて、美しく詠まれています。
小野小町
小野小町は絶世の美女として熱烈な恋の歌や短歌の名手としての評価が高く、
恋愛や自然の美しさを繊細な感情で表現した作品がある
9番 小野小町の和歌
「花の色は 移りにけりな いたづらに、わが身世にふる ながめせしまに」
(はなのいろは うつりにけりな いたづらに、わがみよにふる ながめせしまに)
花の色はおとろえてしまいました。私がこの世でむなしく過ごしている間に、というわけではないけれど、
降り続く長雨をぼんやりと見ながら物思いにふける間に。
清少納言
「枕草子」の著者
清少納言 は清原元輔の娘で、「清」は清原の姓を表わし、「少納言」は宮中での呼び名を表わしていますが、清少納言の身内には少納言だった人がいません。少納言という女房名が付けられたとも言われています
清少納言は小さい頃から父について和歌や漢文を学び、一条天皇の皇后 定子さまに仕えておりました。
62番 清少納言の和歌
「夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ」
(よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ)
夜がまだ明けないうちに、鶏の鳴き真似をして人をだまそうとしても、函谷関(かんこくかん)ならともかく、この逢坂(あうさか)の関は決して許しませんよ。(だまそうとしても、決して逢いませんよ)
「はかるとも」=だますという意味
「逢坂(あふさか)の関」=男女が夜に逢って過ごす「逢ふ」と意味を掛けた掛詞
ミクロの世界の百人一首と、百人一首から三賢女の和歌についての紹介
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