第1回 「テーマだ、まずテーマだ!」
 

◆まず、各お話のテーマを!
 ──わ〜い、ゲーム作るぞお、シナリオ書くぞお、ヒロインは胸がでっかくて腰が太くて、頭が首に埋まっていて、お腹の脂肪で蝶々結びが出来て……
 ちょっと待った!
 ──何ぼん?
 個人的趣味は敢えて問わぬが、最初にすることは違うぞ。
 ──むむ?
テーマだ! まずテーマだ!
 何を書きたいのか、まずそれを明文化するのだ!
 ――え〜〜〜っ、でも、テーマってボクチンわかんな〜い!
 で〜〜〜い、なよなよするな!

◆もどきは作るな!
 たとえば恋愛ゲーム作ろうとしてるとする。で、おまえはなにを書きたいのだ。
 ――えへへへえ、『To Heart』みたいなやつ。
 ばっかも〜〜〜ん!
 ──うひぃ!
 「みたいなやつ」とはなんじゃ! もどきを作ってどうするんじゃ! 貴様、それでもクリエイターの端くれか!
 そんなのをテーマとは言わんのじゃ。そういうレベルの低いまねごとのことをなんというか知っておるか。
 ──同人?
 オナニーと言うのじゃ!
 ──ぐさ〜〜っ!
 ぐさっと来たのはおのれの志が低いからじゃ。

◆「自分ならこうする」という独自色を!
 よいか。
 まねをするなら、バレないぐらいうまくやれ。必ず「自分ならでは……」という独自色を加えろ
 オリンピックは参加することに意義がある。しか〜し! プロレベルの創造活動では、参加することに意義などな〜い!
 おもろいの、ええもん作ってなんぼじゃ! 贋作を作ることは、クリエイトではな〜〜〜い!

◆お話のテーマは具体的に! 「どんな子」と「どんなふうに」なるのか一言で明示せよ
 ――ちぇっ、わかったよう。じゃあ、テーマは恋愛。
 スカ! 一般命題を言ってどうする!
 ――じゃあ、ブス美との恋愛。
 そんな女、知らん! 名前を言うたところでわかるはずがなかろう! どんな子との恋愛なんだ、どんな子との! おれにもわかるようにもっと具体的に言え!
 ――じゃあ、生意気な不良少女との恋愛書きたい。
 おお、そうだ! その答え方はすばらしい! テーマとはそういうものだ!
 ――凄いデブとの恋愛ってのもオッケー?
 オッケーだ! 悪趣味だが、それがテーマというものだ。

◆どんなことでプレイヤーを楽しませるのか?

 できればテーマのなかに、「どんなことでプレイヤーを楽しませるのか」が入っていると、目指すものがはっきりしていい
 書くという作業は埋没することだからな。気がつくと、ついつい最初の目的を忘れてしまうのだよ。
 ――じゃあ、凄いデブとの恋愛ってのはオッケーなの?
 もう少し「どんなことで」が入るとなおベター、ベストだな。どんな恋愛なのだ。恋愛といってもいろいろあるぞ。
 ――中学生のときみたいな凄いウブなドキドキな話。『電影少女』みたいなの。
 デブとのうぶな恋愛? ぐはあ、ゲロが出る。が、はっきりしているからよしとしよう。ただし、「みたいなの」は言うな。
 ──うへえ。
 よし。一言でまとめてみろ。
 ――凄いデブとのドキドキうぶ恋愛。
 ぐれ〜〜〜〜〜〜と! すばらしい! 趣味は思い切り悪いがよくできた! さあ、次の講義に行くぞ!

 

 次回は「ゲームの規模を確認するのだ!」


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