補講第10回 「コミュニケーション能力と自己管理能力」
 

続いての質問は、仮想敵国さんです。

自分は人とコミュニケーションするのも苦手だし、自己管理も得意ではないので、ゲーム業界に入ろうと思います。絵はだめなのでライターになろうと思うのですが、どうすればよいでしょうか?


コミュニケーション不能者に資格なし

◆ゲーム制作こそ、コミュニケーションが最も必要
 厳しい言葉を言います。そういう人は、ゲーム業界に入って来ないでください。
 ゲーム制作というのは、完全な個人作業ではありません。グラフィッカーやプログラマー、シナリオライター、サウンドクリエイター、原画家さんといった大勢のスペシャリストさんたちと行う共同作業です。もちろん、原画家さんのように、職場も違っていて自分の部屋でひとり作業をする人たちもいます。けれども、プログラマーやグラフィッカー、シナリオライターは同室である方が多い。おまけに互いの分野はあまりにも専門的で、その上絡み合っています。
 そういう状況で、どうしてコミュニケーション能力がなくてもいいと言えるのでしょう。むしろ、反対です。それだけ分野の違う専門家が集まっていれば、なおさらコミュニケーションは必要です。それどころか、よいコミュニケーションなくしてよいゲームは成立しえません。コミュニケーションができないからクリエイターや自由業というように安易に考える人は、ただちにその甘ったれた考えを改めてください。

◆自己管理能力あってこその成功
 自己管理できない人も同様です。
 プログラマーやグラフィッカー、シナリオライターがいて、自分だけ不定期に遅れて仕事場にやってくる。それでは、連絡を取りたいときに連絡が取れません。それでうまくゲーム制作ができるのでしょうか?
 サラリーマンでも自己管理できない人はいます。程度の問題はありますが、自己管理できない人が成功できるほど、世の中は甘くありません。それに、逆に一見自由に見える世界の方が、自己管理能力を要求するのです。ソフトハウスに勤務しているよりもフリーでいる方が、より自己管理する能力が必要とされてしまうのです(フリーといえば聞こえはよいですが、毎月毎月サラリーが入ってくるわけではありません。だらだら生活して仕事しなかったツケは、「お金が入って来ない」という結果として返ってきてしまうのです)。
 クリエイターというといかにも自由な響きがしますが、いい仕事をしたいのなら、幻想を捨ててください。自分は自己管理能力がないからサラリーマンは向かない、などという貧弱な考えは、ただちに改めてください。

 

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