横浜赤レンガ倉庫 2009年 夏
 
THE HAMADA ISLAND
浜田島
The Exhibitions Shogo Hamada by Teruhisa Tajima
 
 
2009年7月7日(火曜日)

 
 忘れもしません。あれは2004年8月21日。長渕剛さんの「桜島ライブ」。あれだけさんざんライブレポのたびに「行きたい!絶対行くぜ!」
と書いていたのに諸事情により断念せざるをえなかったあの時から約5年。「桜島に行けなかったのだから、せめて浜田島には行きたい」と
決意し(←「島」だけだろ合ってるの(笑))何人かの方からのおススメもあり、行ってきましたよ横浜は赤レンガ倉庫で行われた「浜田島」。
ここのところお天気がハッキリしませんでしたが、って今日も天気雨が降ったりおかしかったですが、この瞬間だけは晴れていました。心も(笑)。
 
 
 
 「浜田島」とは、フォトデザイナー・田島照久氏が1980年発表のアルバム『HOME BOUND』から今日にいたるまで手がけている、ここ4年もの間
まるで新作発表のない(←ここ余計(笑))浜田省吾さんの膨大なフォト作品の中からの発表済・未発表にかかわらず選りすぐりの作品を展示
した作品展です。田島さんは尾崎豊さんのデザイナーとしても有名。しかもガンダムなども手がけているという、興味深いデザイナーさんでもあります。
 
 
 
 まずは仕事を早めに切り上げ、会場に着いたのは7日の午後4時過ぎ。ここでまずお約束の第一声「は〜るばる来たぜは〜まだ〜じま〜♪」
・・・って職場から車で20分の距離だろうよ(笑)。横浜では今開港150周年記念という、市民にはあまり浸透していない開港祭が行われていて(笑)
なんだかシースルーの人力自転車みたいなタクシーみたいな、まあひとことで言えば「鳥人間コンテストのような手づくりっぽい車」が横行する中、
何とか赤レンガ倉庫に到着しました。「赤レンガ倉庫を目指すなら海へ向かえ」の古文書どおり進んだら簡単に着きましたよ(←何だそれ(笑))。
 
 
 まず赤レンガ倉庫というのは海のすぐそばにあった保税倉庫を改装し、外側から見れば倉庫、でも中はナウい今風のお店が入ってるショッピ
ングスポットとなっているところです。市民であるにもかかわらず、ここに来ると気後れします(笑)。赤レンガ倉庫に来ると2003年8月に行われた
長渕剛さんの野外ライブを思い出しますが、今日もまたあの場所にやぐらを組んでいました。きっと誰かが開港記念ライブでもやるのかな?
 
 
 そしてついに見つけました。「浜田島」の白い看板。というよりは箱(笑)。みなさんその前で記念撮影したり、上に乗ったり(←怒られるよ(笑))
落書きしたりやりたい放題・・・するわけねーだろ(←きちんと書けないのかね、君(笑))。いざ展示スペースのある1号館の2階へ昇ると、予想通り
いましたよ。It's so coolに決めたお兄ちゃん・・・いや係員さんが。葬式に参列するようなカッコで。まあイメージ的には黒なんだろうけど、なんかこう
まあ南の島に来たようなカッコも困るが(笑)もう少し係員さんのカッコってなんとかならないもんなのだろうか?・・・まあ仕事が終わって汗だくで
駐車場から歩いてきた作業着のまんまのオレには言われたくないでしょうが(←ああ、言われたくないね、大道具さんみたいなカッコの君には(笑))。
 
 
 
 作品についてはね・・・まあこんなもんだろうな、というのが率直な感想です。本当はもう少しアグレッシブなもの、というか、ある意味「遊園地」的な
ものを想像していたので、確かに浜田さんにはシックな印象が似合うのですが、できればもっと未発表、もしくは既出の作品に手を加えた遊び心を
感じるものが沢山観たかったな。もちろん、スペースが限られているのだからすべてがすべてってわけにはいかないだろうけど、空間のコンセプトから
赤レンガ倉庫以外では成し得ない、という感想は持ちませんでした。あらゆるイベントスペースでできると思いました。もちろん素人目でですけど。
 
 
 3つのテーマに分かれているということでしたけど、その境もよくわかりませんでしたね。展示順路の真ん中付近に映像スペースがあり、そこだけ
完全に座り込んでただ映像を見つめている方々がいました。オレもしばらくは立ち止まって観ていましたが、やっぱり浜田さんには空と道が似合うな
という印象を改めて強く持ちました。近年ではよく大自然の中とか、砂漠とか、車に乗ったりしてるフォトが多いんですが、中でも彼に一番似合うのは
工場や都会の風景だと今日初めて感じました。何て言うんだろう?工場や都会の中での閉塞感と言うか・・・やりきれない写真がすごく印象に残ります。
 
 
 たとえば工場や車社会って、CO2問題をはじめ人類を破滅に導いている要因のひとつじゃないですか。だけどその恩恵を受けて我々は生きている
わけで。それがなければ生きていけないところまで来ちゃってるわけじゃないですか。そのジレンマの中で何かに想いを向けている彼の肖像に一番
感銘というか、心を動かされた気がします。もちろんそれは田島さんのセンスと浜田省吾というアーティストのコラボレートの成せる業なんですけど。
ただ最近そういう問題に対して歌ってる作品が少ないことに淋しさも感じてしまいます。っていうか新作全然発表してないんですが(←言うなって(笑))。
それからロケットとか鉄塔とか、そういう無機質な背景と一緒に写ってる彼の写真も好きです。はかなげだけど強い「生命力」を感じるんですよね。
 
 
 さらにはトラック。夜の国道を突っ走るトラックだけで、浜田省吾なのです。オレの中では。本人が全然登場しなくても、その映像だけで浜田省吾という
アーティストを的確に表していると思う。今後、日本トラック協会のみなさんはぜひ彼を公式キャラクターにしてみては?(←絶対断られると思うけど(笑))
にしても田島さん、分身の術が好きですよね(笑)。尾崎さんの作品でもそうだけど、一枚に何人も登場させる作品も多いな。迫力あって好きだけど。
 
 
 
 やはり前々から思っていることですが、強いメッセージ性を放つアーティストって、やっぱりあんまり幸せになっちゃいけないってことなんでしょうね。
浜田さんにしても長渕さんにしても、最近はメッセージ性のものよりラブソングが目立つってことは、それはアーティストとしてある程度満たされているから
なんじゃないかな。それはもちろん喜ばしいことだし、それを彼らは望んでいたんだろうけど、ただオレに関して言えば路頭に迷って考え込んじゃうような
彼らの曲に惹かれたから今でも聴き続けているわけで。そういうジレンマがあるから最近の曲に対して昔のように素直に感情移入できない部分がある
ようにも思えます。もちろんアーティストだって歳をとるわけだから、その年齢で自分の考えが変わってくるだろうし、変わらない方が変なんだろうけど。
 
 
 後半の方に行くと、浜田さんの普通サイズの写真やロケハンメモ、さらには田島さんのもうひとつライフワークであるガンダムやパトレイバーなどの
アニメ作品の写真がちりばめられたテーブルがあったんですけど、ガンダムに出てくる「ホワイトベース」という戦艦の横に浜田省吾が立っているという
まず他では見かけられないコラボを見ることができてうれしくなりました(←ただ単に浜田さんの写真の横にホワイトベースの絵があっただけですが(笑))。
どうせならビームライフルと盾を持った浜田省吾、というコラボ作品もぜひ見てみたかっ・・・見たくないな(笑)。浜田さんのお腹からアムロがこんにちは
ってのも、なんか違う気がするし(←つーか絶対違うよ(笑))。ただ最終的に思ったのは・・・あんなにかっこいい56歳は見たことがありません(笑)。
 
 
 最後の展示スペースで、かの名盤『Promised Land 〜約束の地〜』のジャケットで登場した海に向かって口を開けているタンクが登場します。アルバム
ジャケットでは両手に腰をやりこちらを向いている、少し丈足らずの白いジャケットを着た(←腕まくってんだよ(笑))当時の浜田さんが写っていましたが、
ここではタンクに手をかけた今現在の浜田さんがどこかを見つめているという作品が最後に襲いかかって来ました。この作品の意図に思いを馳せるたび
「やっぱ行っといてよかった。ありがとう、オレに「とりあえず行っとけ」と言ってくれたみなさん!」と心の中で感謝とお詫びを繰り返し(←なぜ詫びも?(笑))
浜田島を後にしたのでございます。この最後の作品。言葉では何も言わないけど私たちに何かを訴えかけている浜田さんの心情にギュッとなりました。
 
 
 
 プチ情報といたしましては、浜田さんご本人は開催日の前日7月2日にいらっしゃったらしいです。係員のお兄ちゃんが数人のマダムに詰め寄られて
しぶしぶ答えてました(笑)。今にして思えば、このイベントが浜田さんご自身が中心となった発信ではなく、田島さん主導というのが少し残念なところです。
やはり浜田さんが中心となれば、なんかこのイベントに、もう少しストーリーのような流れができたんじゃないかと思います。もちろんこのイベントは
イベントで素晴らしいものだとは思うんですけど、なんかこう、一枚一枚の写真に繋がりがないというか何というか・・・生意気言ってすみません。ただ、
できればこれを赤レンガ倉庫のみと言わず、全国でやってほしいですよね。その時にはぜひ浜田さんも中心に加わってほしいなというのが願いです。
 
 
 
 あ、最後にすごく気になったことがあるんですが、グッズ売り場の店員の方。もうちょっとお客さんへの対応は考えた方がいいですよ。すごく事務的で
「欲しけりゃ売ってやるよ」って態度が満々に出てました。まあ入場料500円だからあんまり文句も言えないんですが(500円しかとれないからあんまり
気の利いたスタッフを用意できませんでした、ってオチでもないのでしょうが、地元ならともかく遠方から来たお客さんにあれは怒られると思うよ(笑))。
今日びの自動販売機の方がよっぽどましな対応するぜ・・・とまでは申しませんが(←申してる(笑))そこのところは商売人として素直にそう思いました。
 
 
 さてオレの「浜田島」は終わりました。次はどの島へ向かうかな?とりあえず「万年休日島」でも探すか(←今よりさらに怠け者になることうけあい(笑))。
 

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