ソロ 25thアルバム

「季節の栖(ときのすみか)

Twenty Five Reasons

1999年6月23日発売

1. 素晴らしき夢 作詩 さだまさし/作曲 弾厚作     8. 空色の子守歌 作詩 さだまさし/作曲 山本直純
2. 空っぽの空席 作詩/作曲 財津和夫     9. 遠い海 作詩 さだまさし/作曲 来生たかお
3. JONAH 原詩/作曲 Paul Simon 日本語作詩 さだまさし     10.叛乱(クーデター) 作詩 さだまさし/作曲 服部克久
4. 歌紡ぎの小夜曲 作詩 さだまさし/作曲 南こうせつ     11.ムギ 作詩 来生えつこ/作曲 さだまさし
5. 星座(ほし)の名前 作詩 三波春夫/作曲 さだまさし     12.佐世保 作詩 藤田恵美/作曲 さだまさし
6. ふ 作詩 永六輔/作曲 さだまさし     13.桜月夜 作詩 谷村新司/作曲 さだまさし
7. なんということもなく 作詩/作曲 小椋佳     14.夢の夢 作詩/作曲 さだまさし
 
 ソロデビュー25枚目の区切りとして、様々なアーティストとのコラボレーションに挑んだ一枚。「1.素晴らしき夢」の作曲者はなんと加山雄三さん。さだ
さんの歌への出発点となった人との共演です。一度きりの人生だから素晴らしい夢を見よう・・・確かにそうだよな。「2.空っぽの空席」は財津さんによ
るもの。終わってしまった恋についてあれこれ思い浮かべる男心・・・わ、わかる!(笑)「3.JONAH」はかのポール・サイモンのカバー。詩は彼の創作
によるもの。毎日明日を信じて唄おう・・・生きるってこういうことなのかもしれないね。「4.夜紡ぎの小夜曲」はこうせつさんの曲に詩をつけたもの。片想
いのあの人に自分の心を歌にして届けたい・・・歌うことの出発点っていうのは、誰かに対する愛しさにあるような気がしますね。「5.星座の名前」はな
んと三波春夫さんの詩に彼が曲をつけたもの。切ないメロディーの中に”ふるさと”への郷愁が散りばめられた名曲です。「6.ふ」の作詩は永六輔さん。
一風変わったタイトルですが「しあわせふしあわせ」の「ふ」なんですよね。この曲聴いて「ふ」がつくかどうかは、自分の思い方ひとつなんだなって思い
ました。「7.なんということもなく」は、まさに”小椋佳の世界をさだまさしが唄う”といった趣のある一曲。ある喫茶店を背景に、実にさまざまな人間模様
が綴られた作品なのですけど、ボクは好きですね、こういうシリアスな歌が。「8.空色の子守歌」は作・編曲家・山本直純さんの作曲。空、海、風・・・考
えてみれば人間はいつもこれらの自然に包まれながら生きているんだな、だから生きていられるんだなって実感する美しい楽曲。「9.遠い海」はヒット
メーカー・来生たかおさん作曲。目の前に現れた”君”に僕は少年時代に憧れた女性の姿を重ねてしまった。でもそれが君には苦痛だったのかもね
・・・そんな終わってしまった愛への悲しい回顧録。「10.叛乱」は服部克久さん作曲。いつもこっちが折れて元の鞘に収まっていた私たちだけど、今度
ばかりはあなたが謝りに来てくれるまで帰らないわ!と意を決した女性の心情を綴ったボサノバ調の作品。「11.ムギ」は来生えつこさん作詩。学校に
馴染めず自殺してしまった少女に恋していた男の子の心情を歌った作品。悲しいはずの作品なのにさださんの優しいメロディーがその悲しさをそっと
和らげてる気がします。「12.佐世保」は「ル・クプル」の藤田恵美さん作詩。”ふるさと”は誰にとっても愛おしいものではない。人によっては思い出した
くない記憶を置いてきた場所でもあるんですね。でもそれでも”ふるさと”っていうのは自分にとって大事な場所だと思い続けたいですね。なんと小田和
正さんがコーラスで参加してます。「13.桜月夜」は谷村新司さん作詩。アグレッシブなタンゴを基調としたメロディーに切ない二人の恋物語を絡めた作
品。まさに”三都物語”の世界だ。そして最後は彼自らによる「14.夢の夢」。あなたとふたりでどこかの町で暮らしてる夢を見た・・・たとえそれが叶わぬ
夢でも、夢の夢だとしても、あなたに逢いたい・・・そんな想いが痛いほど伝わってくる咲かないまま散る恋を描いた名曲。25枚目を到達点とせず、あえ
てこういう冒険をアルバム一枚まるごと使ってやってしまう”さだまさし”というアーティスト。日本を代表する貴重で屈指のシンガーソングライターです。

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