115.「太陽の瞳(1)」

 「(12月)25日に初めて1曲だけできたんだけど、その曲は不思議と歌詞とメロデ
ィーが両方とも自然にできた。その曲をクリスマスの日、母親に”できたよ”って言
って聴いてもらった。それがデモテープの中では母親に聴いてもらった最後の曲
かな。で、その曲のリズム隊を録ったのが四十九日の日だった。だからその曲は
大切にしたいなって思ってる。”本当に誰も頼れなくなっちゃったな”っていう意味
で逆に、謙虚に生意気になってきたかな(笑)」
「GB」(1992/5月号) 26歳 04/07/11
 『LAST CHRISTMAS』と英題がつけられたこの曲は、”母親に聴かせることの
できた最後の新曲”として、彼の中でも意味深い一曲なのでしょうね。彼の母親
はこの4日後に亡くなってしまうんですが、この時の彼だったら、きっともっと人
と人との関係の大事さを理解できたんじゃないかなあって思うとすごく残念です。
この時に立場とかそんなことを抜きにして誰か彼の支えになってあげてる人がい
たら・・・もしかしたら彼の4ヶ月後の運命は変わっていたのかもしれませんね。
 

117.「太陽の瞳(2)」

 「クリスマス・ソングを作りたいという願望があった。クリスマスって過酷な宿命や
運命を背負った人が生まれてきた日であって、どんちゃん騒ぎしたり賑やかに遊
ぶ日じゃないって気がしてた。もちろん祝福するという意味はあるのかもしれない
けれど。それがこの歌を作るきっかけだった。日常的に生活している自分に対す
る煙たさ、やリ切れない気持ち・・・そしてそんな自分から自由になりたいという気
持ちで他人を見る。誰もが自由に他人のことを見て判断するだろう。そこにたった
ひとりの僕がいるんだけど、みんなが知っている僕と、そして僕も知らない僕もい
る。そのもうひとりの僕がもしかしたらあなたなのかもしれないっていう気持ちがあっ
て、それが僕を苦しめるのかなとも思う」
「GB」(1992/7月号) 26歳 04/07/13
 この国では「クリスマス」ってのはまるでお祭りでも来たかのような騒ぎが毎年
行われてるような気がしてるんですけど、彼の言うように確かに過酷な宿命や運
命を背負ったあの人が生まれた日なんですよね。だからもう少しイベント化せず
に、何かこう、もっといろんなことを深く考えるような日であっていいと思うんです
けどね。まあ毎年その頃は忙しすぎて眠すぎて、ボクも考えてはいられないんで
すけど(笑)。日常の中で自分にやるせなくなる時があります。なんでこう自分は
ダメなんだろうって。そんな時人は自分の持っていないものを持っている他人を
見て「ああ、もし自分があの人だったら・・・」って思うことで今のやるせない気持ち
をなんとなくごまかせるような気がする・・・でもその人と自分の間にあるギャップ
によって人はまたも苦しむ。それがこの曲のテーマになってるような気がします。
 

9.「高い場所」

 「単に飛び回るのが好きなんです。ジッとしていたくないんです。ま、バカと煙は
高いところにのぼりたがる、じゃないですか」
「パチ・パチ」(1984/9/5) 18歳 02/05/03
 彼のライブパフォーマンスのひとつに、やぐらの上に登って観客を煽る、という
のがある。そしてその後決まってそこから飛び降りるのですが、日比谷野音で
行われた反戦企画「アトミック・カフェ」では何と7mの照明イントレの上から飛び
降り、左足を骨折、それでも歌い続けたという逸話を持っている。若さからくるも
のなんだろうけど、彼は彼なりに、どうすれば観客を盛り上げることができるの
かを模索していたんだろうなあ。
 
142.「誰かのクラクション」
 「愛が現実を超えたところにあって、それによって救われるというような気持ちが
すごく強かったころに作った曲なんです。今でも愛が大切だという気持ち気持ち
はありますけど、そのころは漠然とした愛のイメージと、実際に自分にのしかかっ
てくる現実とのジレンマをすごく強く感じていて、それを形にしたのがこの曲なん
ですよね。背負えるはずもない誰かの悲鳴をも背負ってしまったりとか、自分と置
き換えてしまったりとか、そういうのが僕の生き方の中にずっとありましたね」
「ロッキング・オン」(1986/2月号) 20歳 06/05/29
 愛っていうのは現実社会で生きている以上、目に見えてくるものではないんで
すよね。なぜ”愛”という言葉が難しいかというと、やっぱり漠然としたイメージし
か浮かんでこないからなのかもしれません。それよりも”優しさ”とか”温かさ”と
かの方がよっぽどわかりやすいし、お目にかかりやすい気がします。この曲で
彼は人は今現存するものでは救われることはなくて、今ここにない新しい、いや
これから手にしようとするものが僕らを救ってくれるんじゃないかって考えていた
のかも。確かに矛盾やジレンマが曲調にも表れてる気がしますもんね(笑)。
 

127.「男女交際」

 「一度、5人の女性と同時につきあったことがありますね(笑)いや、体力が要
りましたね。年上の人に奢ってもらって、そこで浮いた予算を次の娘に回したり
して(笑)。ふられて1週間ぐらい部屋に閉じこもって酒飲んで寝てたってことも
ありましたね。外に出るのは近所の酒屋に酒を買いに行くだけ。店の人に『ま
た来てるわよ尾崎さんちの子、赤い顔して』とか言われて(笑)。(そういうときに
曲はできるのかな?との問いに)”街の風景”とかできましたね」
「ロッキング・オン」(1984/8月号) 18歳 06/05/14
 こりゃまたすごいですね!(笑)一度に5人と同時につきあうなんて、まずボク
にゃあ無理だ(←の前につきあってくれる人がいないだろ(笑))。余談ですが実
はボクの友人に一度に4人と同時につきあっていたヤツがいました。そいつ、
携帯電話4つも持ってたなあ(笑)。曲ができる瞬間っていうのは、自分の身に
何かが起きて、すごく動揺したり、すごく落ち込んだり、そんな時なのかもしれま
せんね。普段の心持ちのままじゃ感じられなかったことも、たとえばふられたこ
とによって、今までとは違った心の震えが生じるのかも。へえ、”街の風景”って
ふられて酒飲んだくれてた時にできた曲なんですねえ。って未成年だろ!(笑)

OZAKI's KEYWORD トップへ