71.「前世代のミュージシャンへ」
 「う〜ん、そうだな・・・音楽的な部分ではね、誰がどういう風に、街のセンチメン
タリズムとかを歌っても、僕が抱えている寂しさとはまったく同じではないな、と思
っていて、僕の歌の背景にいるのは、15歳のときに一緒に家出した10人の友だち
だったり・・・。でも、歌に出てくるみたいにカッコよくなんかないし、だからこそ僕は
歌いたいっていうか、僕が歌にする意味もそこにあるんだけど」
「GB」(1985/4月号) 19歳 04/05/28
 たとえ「あ、いいな」って思う音楽にめぐり逢ったとしても、自分の寂しさを同じよ
うに歌っている歌にはめぐり逢えなかったことが、彼の歌う意味を生み出す出発
点になっているんですね。考えてみりゃボクもそうなんですけど、たとえば歌を聴
いて「明日もがんばるぞ!」とか「張りきるぞ!」っていう思いにはなっても、「この
曲を聴いて寂しさが癒された」ってことはあまりないんですよね。その誰にもわか
らない部分を歌にしてゆくってことは、すごくプライベートなことではあるんだけど
彼にとっては歌を聴くよりも作ることで癒されていたのかもしれませんね。

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