70.「真心」
 「僕にとってみれば切実だったんです。そう思っていても、わりとみんな口にしな
いだろうし、僕なんか煙たがられていた・・・。でも僕自身や僕の友だちの気持ちを
救うのは、やっぱり愛だと思ったし、真心とかが人間を救ってゆくだろうし、何かを
変えてゆくんじゃないかと思ってる」
「GB」(1985/4月号) 19歳 04/05/27
 「サウンド面ばかりが目立つ音楽シーンの中で、あなたの音楽は詞をきっちり
言葉にして歌ってるね」という問いに対して。すごく素直な人なんだなっていう印象
があります。誰もが思うことでも、みんなそのあと「でもこれを自分が言ったら・・・」
と周りを気にしてしまいがち。でも彼はそれよりも自分が何をしたいのか、何を思
うのかってことを大切にしたかったんでしょうね。簡単なことのようではあるけれど
自分の言いたいことを言うっていうのは、かなりの覚悟がないとできないよなあ。
 
121.「Mama, Say Good-Bye」
 「”あなたを覚えてきた”というのは、あなたと暮らしてきたということを覚えてきた
と言い換えたんだけれども、生きていればまだ親子ゲンカや言い合うこともたくさ
んあったかもしれないし、わかり合えないところもたくさんあったかもしれない。だ
けど母親は自分とともに歩いてきた、という。僕はけっこう夜の街に出るのも好き
だったし、夜ひとりで体を鍛えることが好きだった。家から飛び出したかった気持
ちがすごくあった。だけど、夜の路上の片隅にはいつも自分の帰れる場所があ
った、母の生前には。今は・・・人間って結局ひとりなんだという気持ちが、強い」
「GB」(1992/7月号) 26歳 04/07/17
 『母親の死』のところでも触れたんですけど、やはり彼にとって母親の存在とい
うのはすごく大きなものだったんですよね。これは人間にとってすごく悲しくて切な
いことなんだけれど、その人の存在の大きさというのは、その人がいなくなってか
らでなければ本当にはわからないということ。そしてその人がいなくなってからが
人間としての本当の勝負なのかもしれない。だから親がいない人っていうのは、
それだけでボクにとってはすごく強い人なんだって思えるんですよ。それがいいか
悪いかではなくて、そういう支えなく生きてきた人っていうのは、ボクにとってすご
いって思えるんです。ボクもいつかはそんな立場に立たされるわけですが、その
時、彼のように「人間って結局ひとりなんだ」とはっきり思えるのだろうか・・・?

OZAKI's KEYWORD トップへ