21.「YES NO」
 「ボクが言いたいのって、ひとつの答えがあるとして、そのすべてに影響された
もののひとつの答えっていうか、それはいけないんだって言いながらも、でもそれ
は”いい”っていうものに影響された”いけない”ってこと。”NO”も”YES”に影響さ
れた”NO”だって言うことを言いたいんだと思う」
「パチ・パチ」(1985/6/9) 19歳 02/05/15
 ちょっと難解なことを彼はしゃべってるんだけど(笑)、例えば自分の主張は
それだけが孤高のものではなくって、すぐ隣りには自分とは反対の主張がある
ってことを言いたいんじゃないかな。彼は自問自答をするタイプだけど、Aという
主張は、それに反するBという主張がなければ成り立たない・・・こんな歳で何て
難しいことを言ってるんだ!(笑)ボクには無理っす(笑)。
 
36.「生き様」
 「あのコンサートがボクのすべてだと思う人もなかにはいるだろうけど、新しいもの
を出してくひとつの過程だから。結果的に半分以下しか伝わらなかったってことが
プロとしての自覚の中では間違いかもしれない。でも1個の人間が生きてくなかの
生き様としては、間違いでもなんでもないような気がする。ひとつひとつの歌の中
ですべてを読み取れる人はいないだろうし、ボクはすべてはわからないし・・・」
「パチ・パチ」(1986/1/9) 20歳 02/05/30
 彼の10代の集大成的コンサートである代々木オリンピックプールで行われたラ
イブにおいての彼の発言が”クサイ!”とか「命をはる!」は右翼だ!という批判
的な意見に対して、彼は答えている。彼はアーティストである前に一人の若者だ
から、こういう自分の思ったことをどのようにとられるかを考えながら発言してい
たとは思えないんですよね。でも今まで誰もがやってこなかったことをやったのだ
から、批判も出て当然だと思うし、逆にだからこそ、それが彼の魅力につながっ
ているとも思うんです。だってあんなにキッパリと「俺はお前らのために命をはる
!」なんて、普通の男には言えないもんね。
 
92.「生きようとする姿」
 「だんだん大人になってくると、何のために生きているのか?みたいなことが、ど
んどん不明瞭に、不明確になる。ワケがわからなくなってくる。だから子どもがたと
えばお腹がすいたら泣き出すとか、ストローを使えるようになったりとか、表面的な
ことだけど、人間が生きようとしている姿ってすごくシンプルで明確なモノなんだな
って思う。子どもは無邪気さと貪欲さの両方を持ってるって感じですよね。でも僕
の子どもはまだ1歳なんだけど、もう”人間なんだなあ”って感じる。だんだん自分
の手を離れていくような気がすると、ああ人間になってきたんだなあって」
「GB」(1990/12月号) 24歳 04/06/18
 人間が生きていくために成長するってことは、もしかしたらそう簡単に言葉にで
きたり、簡単に答えが出たりするもんじゃないのかもしれませんね。いや実は大
人になればなるほど、シンプルなものに経験やノウハウなどの肉をつけていって
難しくしているだけなのかもしれない。ことはそれほど難しいことじゃなくて、もっと
簡単なことなのかも・・・それにたどり着くまでに今まで生きてきた経験というもの
が邪魔をしてるのかも。・・・と、やっぱり簡単には言えないんですけどね(笑)。
 
137.「生贄」
 「だんだん変わっていかなきゃいけないとは思ってるんです。今まではとにかく
ガムシャラに自分の意見を頑なに通すこと、そういうことだけに集中してきました
が、今それを鵜呑みにする人間も増えてきてるでしょう。コンサートを見てると特
にそういう気がしますから」
「ロッキング・オン」(1985/5月号) 19歳 06/05/24
 作品やライブに彼のピュアな部分ばかりが目立ちすぎて、このままでは尾崎
豊はファンの生贄になってしまうんではないか?というインタビュアーからの危
惧に対する答えです。何度も言うけどホントに彼は冷静だよなあ、歳のわりに
(笑)。ただアーティストっていうのは、ある意味ファンの生贄にならざるをえない
部分もあるんですよね。リスナーが好きになった当時と、その後のスタンスが変
わってしまえば、離れてゆくファンも当然いる。そこのバランス感覚というのはと
ても難しいと思います。だってファンって、仕方なく好きになったり、義理で好き
になるんじゃなくて、自分の生来持っている”本能”で好きになるんだからね。
 
17.「1位」
 「1位になってそこにたどり着いたらもう何もしなくていいような幸せになれるかっ
ていうと、絶対にそんなことないじゃない?それに似たようなことだよね。ただ1位
になったということは、自分の考えていることが、もしかしたら正しかったんじゃな
いかって安心できるっていうことだけだと思います」
「パチ・パチ」(1985/6/9) 19歳 02/05/11
 彼の2ndアルバム『回帰線』は、先行シングル『卒業』のヒットを受け、チャート
誌で1位を記録した。これについて彼はこんな風に語ってる。10代で社会に出て
右も左もわからないまま、ただ自分が思ったことをそのまま書いてきた歌が聴
衆に受け入れられたことによって、彼は「あ!こんな風に感じるの、ボクだけじ
ゃないんだ!」って喜んだんだろうな。しかし、この頃のピュアな楽曲たちを越え
る楽曲が出来ず、後年曲作りに苦労する彼を誰が想像したであろうか?
 
42.「If(1)」
 「自分がレコードを出す人間にならないで暮らしていたらどうなるだろうと思うと・・・
たとえば、今やめてしまったら・・・とか考えることあるのね。ボクはいったいどういう
風に暮らしたらいいんだろって考えると、すごく途方に暮れてしまうことがある」
「パチ・パチ」(1986/1/9) 20歳 04/04/29
 これは誰にでも言えることなんじゃないかなあ。実際今している仕事でご飯を食
べてるわけなんだけど、実際に今してる仕事を明日からできなくなってしまったら
・・・と考えたら、やはり途方に暮れてしまうだろうなあ。人間の慣れってそうは簡
単に抜けるものではないし、いざ新しい仕事に就いたとしても、今までの慣習が身
体に染みついているからなかなか新しいことを覚えられそうにない・・・う〜む、こ
れはかなり重い話だ。
 
43.「If(2)」
 「大学生やってたかもしれないし・・・。でもやがてはひとつの答えをみつけてたと
思う。その答えっていうのは、一般常識みたいなものを理解する力のような気がす
る。だから最近、物事のひとつひとつの道理が、昔よりは見えてきたような気がして
ここはこうすればいいだろうって、そこらへんでふっきれてきたような気がする」
「パチ・パチ」(1986/1/9) 20歳 04/04/30
 もし歌手でなかったら・・・その問いに彼はこう答えています。確かに年をとる
につれ人間は今までできなかったことが、経験やノウハウを得てできるようにな
ることがあります。つまり星飛雄馬が大リーグボール養成ギブスを幼い頃から
つけていたから幼い頃に投げられなかった大リーグボールをプロ入り後に投げ
られるようになったっていう感じかな?(笑)だけど何かができるようになった時、
何かを失うってのもまた悲しい事実。たとえば常識に左右されずに見る「目」と
か、勝てっこなさそうな何か大きなものに立ち向かう「勇気」とか・・・こればかり
はもう本人自身が何とかするしかないんだよな。

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