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「ドオベルマン」
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03/05/07 |
SFマガジン(昭和45年2月号) |
手塚を絵描きだと思って声をかけてきた外国人の絵描き・ドオベルマン。人の気持ちが読める能力を持っていた |
この男に、手塚は気味悪く思いながらも興味を持った。そして彼のアトリエで彼の作品を目の当たりにした手塚は |
・・・。彼の書く絵はデッサンから何からデタラメだった。でもその絵は一連のストーリーなっていてある惑星の誕生 |
から終末までを描いているようでもあった。ドオベルマンは頭の中に誰かから絵を書くように指示され、その通り自 |
分の命を削ってまでも書きつづけたのだった。そして彼が自分の命と引き換えに書き残したその惑星の最終章の |
絵とは・・・?ラーメン好きな奇妙な国人・ドオベルマンの死。その死と入れ替わりに地球に飛来する物体たち・・・ |
強烈なラストに震え上がられい!! |
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「時計仕掛けのりんご」
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03/07/11 |
週刊ポスト(昭和45年4月17日号〜5月8日号) |
南アルプスの東の、天竜川の近くにある稲武市は新興都市としてだんだんモダン化していった。そこに住む一会 |
社員・白川雄作はある朝、その街に異変が起こっていることに首を傾げていた。配られる新聞は1社だけ、ラジオも |
通じず、普段ならラッシュアワーでごったがえしてるはずの時間帯に車一台通っていない。会社へ出勤してみても、 |
欠勤する者が多く、しかも他の都市と結ばれているはずの幹線道路の県境のすべての道が事故により封鎖されて |
いた。何よりおかしいのは、なぜ自分以外の人間がこの異変をおかしいと思わないのか?ということ。雄作は独自 |
の調べを進めてゆくうちに、この街に大変なことが起こっていることに気づくのだが・・・。人間の狂気の恐ろしさを描 |
いた一編。もし実際にこのような事件が起こったとしたらその異変に気づけるだろうか?ご飯好きだからなあ(笑)。 |
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「溶けた男」
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03/06/17 |
「ザ・クレーター」シリーズ 少年チャンピオン(昭和44年9月10日号) |
R大学の研究員・佐藤栄作はアメリカ極東軍から極秘に頼まれたある研究をしていた。ある夜学校の誰もいない |
はずの教室から灯りが漏れているのを見つけた栄作は、そこで岡田四郎という学生に出会う。昼間学生運動で騒 |
然となる学校は、夜になるととても静かである意味不気味だ。次の夜、二度目に同じ教室で岡田に会った栄作は、 |
その教室に貼られている地図が戦前のものであることに気づく。気になった栄作は、彼のことを学生課で聞いてみ |
た。すると驚くことにそんな学生は存在しないというのだ。しかも岡田に会った教室に行ってみると、そんな教室は |
存在しないことがわかった。そして調べを進めていった栄作は、ついに岡田の正体を知ることに・・・。栄作は研究 |
中止を決意するが、やはり時代というものは皮肉にも繰り返されてしまうものなのだろうか?衝撃的なラストが! |
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「巴の面」
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03/06/23 |
「ザ・クレーター」シリーズ 少年チャンピオン(昭和45年1月7日号) |
大昔の長曽我部氏には双子の姉妹がいた。たぐいまれなる美しさと残忍さを併せ持つ妹の伏見姫と、すなおで |
やさしかったが、誰が見ても美しいとは言えない顔を持つ巴姫・・・ふたりはともに土佐の豪族の子・本條忠道を愛 |
し、ついに忠道がどちらかを嫁に選ぶ瞬間が来た!誰もが伏見姫を選ぶであろうと思っていたが、彼が選んだの |
はなんと巴姫の方だった!実は忠道はド近眼で結婚してからは巴姫の顔をあまり見なかったそうである。しかもそ |
の後なんと伏見姫の策略で巴姫は忠道に斬られてしまう。「これで忠道はわたしのもの」・・・と思ったその夜、斬ら |
れたはずの巴姫の面が伏見姫の顔にへばりつき・・・。モノの価値観っていうのは時代が流れてゆくに従って変わ |
ってゆくもの。結局人は多数決原理で美しいかどうかを決めてしまうヒジョーに単純な動物なのかもしれない。 |
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