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「鉄の旋律」

03/05/15
増刊ヤングコミック(昭和49年6月25日号〜昭和50年1月7日号)
 日本留学に来ていたエディは、親友である壇(ダン)の妹・亜里沙と結婚した。兄である壇も妹の幸せを願い、
エディの人柄のよさも知っていたのでふたりを祝福した。だが実はエディの一族はマフィア一家で、エディの親は
巨大なマフィア組織のボスだったのだ。ある日、白昼のニューヨークで暗殺事件を目撃した壇はその正義感から
犯人の顔を警察に告白した。ところがその犯人がエディ一家の親類に当たる者だったことから、エディにもかば
ってもらえず、壇は制裁として両腕を吹き飛ばされたのだった。当然このことは亜里沙に知らされず、壇はその
憎しみの力でエディたちに復讐を誓うのだが・・・。話が明るいのは最初の2、3ページのみ。あとはとんでもなく黒
いお話なのですが、こんなやるせない話も好きなんですよね〜。本当に救いがないなあ、このラストは(苦笑)。
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「てんてけマーチ」

03/06/03
月刊少年ジャンプ(昭和52年9月号)
 一流のタイコ打ちの孫・三兵は、タイコの材料になったヒノキの精のためにも三兵を一流のタイコ打ちにしたい
祖父の思いをよそに、お国のために兵隊になりたいと思っていた。ところがの夢に出てきたヒノキの精にすすめら
れ、タイコをたたくことになった三兵は、徐々にうまくなっていき、またタイコをたたくことに自分の生きがいを見い出
してゆく。しかしそんな矢先、出征を知らせる赤紙が送られてきた三兵は泣く泣くヒノキタイコに別れを告げ、戦場
へと送り出されてゆくのだが、この時二度とタイコがたたけなくなるということに三兵は気づくはずもなく・・・。すべて
の夢を打ち砕いた戦争。しかし伝える魂までは砕けなかったというのがこの短編の見どころじゃないかなって思い
ます。ラストの、海を越えて異国の地で鳴り響く太鼓の音色が、いつまでも余韻を残します。
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「電話」

03/05/26
プレイコミック(昭和44年11月10日号)
 時は学園闘争の時代。校舎に立てこもっていた赤学派の委員長・大沢優は、ある夜寺山博子という女性からの
電話を受け、来週の日曜日にデートをする約束をした。ところがその日待ち合わせ場所にやってきたのは別人で
寺山博子という女性は一ヶ月以上前にデモの途中に車にはねられ死んだ、と聞く。からかわれたと思った大沢は
再び寺山という女の子からの電話を受ける。からかうな!と怒った大沢に対し、その女の子は行けなくなったから
友達に頼んだだけだ、私は生きてると言い張った。なので大沢は再びその彼女と約束し、会うことにするのだが
・・・。なんとも奇妙かつ怖さを感じるお話。最後まで読み終えた後に不思議な恐怖感が襲ってくるお話です。いっ
たい彼女はどこから・・・いやどの世界から電話をかけてきたのだろうか?それは誰にもわからない・・・。

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