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「大将軍 森へ行く」

03/07/09
月刊少年マガジン(昭和51年9月号)
 太平洋戦争の終わり頃、南方軍総司令部の名将と言われた雨月大将はベトナム上空で戦死した。・・・と言われて
いたが、実はジャングルの奥地で奇跡的に助かっていた。しかし歩けど歩けど人影らしきものは見当たらず、ついに
ノタレ死にしそうになった時彼はある村の少年と少女に助けられる。そのふたりしかいないその村は、かつて連合軍
に占領されようとした際、先祖代々の土地を渡すわけにはいかないと村人たちが抵抗し全員銃殺されてしまった悲
劇の村だったのだ。ふたりと関わってゆくうちにだんだん彼らのことが自分の子のように思えてきた雨月だったが。
戦争というのは人間の心を失わせる魔力を持っている。雨月はふたりと関わったことで人間の心を取り戻した。が、
その心をも戦争という2文字に踏みにじられてしまった気がする。悲しいラストに涙してしまう一編。
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「大暴走」

03/06/13
別冊少年マガジン(昭和44年9月号)
 ロボットが操作する原子力船・おさかべ丸の試乗に招かれていたニュースキャスター・火水木五郎(←つきなしごろ
う(笑))は、その前夜、「その船に自分も乗れるようにしてくれ」と執拗に迫ってくる男に出会う。その場をお茶で濁し
た五郎はその足でおさかべ丸の設計者・刑部博士の元へと向かう。実は刑部博士の娘・恵子は五郎の婚約者だっ
たが、恵子が交通事故で二目と見られない姿になってしまったという告白を受けた。そしておさかべ丸試運転の当
日、五郎は船内の招待客の中に昨日の男を見つける。船が航行してゆくなかで、五郎はこのロボット操縦のはずの
船になぜか懐かしさを感じるのだが・・・。やがてこの船は次々と船内の人間を襲い始める。そして衝撃の真実が五
郎に明かされるラストがすごく印象的なんです。二人はいったいどこまで行ったのだろうか・・・?
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「ダリとの再会」

03/07/05
週刊少年マガジン(昭和57年3月31日号)
 暴走族のリーダー・ウルフはそのメチャクチャなバイクの暴走で一般車両に迷惑をかけていた。そしてある交差点
にさしかかった時、赤信号であるにもかかわらず突っ込んだウルフはトラックと衝突した。・・・ウルフが目覚めた時、
彼は病院のベッド上にいた。彼は奇跡的に助かったが重傷を負い、後ろに乗っていた女の子は即死。病院には彼
の人望の薄さのせいか、メンバー誰ひとりとして面会には来なかった。どうしようもない彼の横暴さに手を焼いた病
院は、彼に看護婦ではなく、開発中の「D・A・R・1」通称「ダリ」と呼ばれる介護用ロボットがあてがった。ダリを嫌うウ
ルフだったが、しだいに今まで会った人間には感じたことのなかった温かさをダリに感じるようになり・・・。彼はきっ
と愛情に飢えていたんじゃないかって思います。ただその代償はあまりにも大きい。複雑な思いです・・・。

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