59

「双頭の蛇」

03/06/21
「ザ・クレーター」シリーズ 少年チャンピオン(昭和44年10月15日号)
 薬局の店主・キケロは、黒人の要人を次々と惨殺する白人ギャング組織「双頭の蛇」のボスだった。シカゴ警察
のバンキー警部から疑われていたキケロは、先日も黒人の土木労働組合の委員長・ギレットを殺したばかりだっ
た。実はキケロは黒人からさまざまなイジメを受けた過去があり、黒人が白人と同じように街で生活しているだけ
で憎しみがこみ上げてくるほどだったのだ。キケロにはアーティーという息子がおり、目に入れても痛くないほど可
愛がっていた。しかしギレットの息子で親友のリュウから「双頭の蛇の首領はお前のオヤジだ」と聞かされたアー
ティーは・・・。『ジョーを訪ねた男』でも取り上げられた人種問題。憎しみからは憎しみしか生まれないということを
痛切に思い知らされる一編。肌の色がどうであれ、同じ星の上に生きる同じ人間のはずなのに・・・。
33

「そこに穴があった」

03/05/23
プレイコミック(昭和44年8月10日号)
 大和田組の幹部を射殺したあるチンピラは、逃げ込んだ山の中で飛行機墜落事故で重症を負った操縦士の男
を助けた。そのことが世間の評判となり、ひょんなことから一躍英雄になってしまったチンピラに、大和田組の連
中もおいそれとは手出しができない。このすきに大和田組の復讐から逃れるために再び操縦士に会ったそのチ
ンピラは、誰にも見つからないように小型飛行機で他の国へ逃がしてもらおうとするのだが・・・。世論の力っての
はホントにすごいもんですね〜。またたく間のうちに有名人になったとしても、忘れられてゆくのもまたたく間(笑)。
それだけ人間の俗社会ってのは素早く動いているものなのかもしれませんね〜。ところがこのお話はそれでは収
まらず、チンピラには犯した罪相応の悲劇のラストが待っていることに・・・。心理的に怖いですね〜このお話は。

手塚ページへ   フェイバリット・コミックへ