| 27 |
「ジョーを訪ねた男」
|
03/05/17 |
| プレイコミック(昭和43年9月25日号) |
| ベトナム戦争で黒人ジョー・ロビンズの上官だった白人のウイリー・オハラ大尉は黒人にひどく偏見を持っていた。 |
| 彼の一族は昔から黒人の奴隷を多く使っていたため、どうしても自分と黒人が同じ人間であるとは思えなかった。と |
| いうより、白人が黒人と同じ扱いをされるのがたまらなくいやで、自分に意見する部下のジョーに対してもやはり嫌 |
| 悪感を抱き、いつも自分の楯となって行動するように指示していた。そしてある時ふたりは爆発に巻き込まれ・・・。 |
| オハラ大尉が気づいたのは病院だった。自分と一緒に吹き飛ばされたジョーは即死だったが、ある事実を知らされ |
| オハラ大尉は驚愕する・・・。作者の「戦争」と「差別」に対する思い入れは相当である。でも人間には上も下もない |
| はず。今描いたら大問題になるであろう、この短編を多くの人に読んでほしい。ラストが強烈! |
|
| 50 |
「シャミー1000」
|
03/06/09 |
| 高1コース(昭和43年4月号〜9月号) |
| 三味・四村・六角の高校生3人組は、失踪した大金持ちの友人・五条を探しにある山奥に来た。3人はそこで焼か |
| れた建物の中に人の死骸を発見する。そしてそこに現れたのはネコを抱いた寡黙な少女だった。五条を知ってい |
| る風なその少女についていった3人はある者たちに捕らえられてしまう。実は少女が抱いていたネコこそが地球に |
| やってきた宇宙人で、人間の目から疑いを避けるためにネコになりすましていたのだった。文明のさらに進んだシャ |
| ミーと名乗るその宇宙人の星では地球とは逆に無機質でゆとりがなく、「愛」というものについて調査に来たのだと |
| 言う。3人の中のひとり、三味はそのネコに気に入られ、愛を教えるように強要されるのだが・・・。仲間を裏切った |
| シャミーは徐々に三味を愛してゆく。この作品がもっと普及したら今問題の「歪んだ愛情」は生まれないかも? |
|
| 26 |
「処刑は3時に終わった」
|
03/05/16 |
| プレイコミック(昭和43年6月号) |
| ある男が十字架に送られた・・・。ナチスのある収容所の所長レーバー中尉は、検閲にかこつけて収容したユダヤ |
| 人に好き勝手なことばかりをし、女であろうと子供であろうと容赦なく片っ端から死刑にしていたのだった。そしてユ |
| ダヤ人医師・フロッシュが開発した新薬の秘密を探ろうと彼を「眠らせない」という拷問にかけて問いつめていった。 |
| フロッシュ氏が開発したのは「時間延長剤」という、自分の周りの時間を超スローモーションにするというシロモノだっ |
| た。その秘密がフロッシュの頭に貼られているバンソウコウにあるとにらんだレーバー中尉は・・・。好き勝手やりた |
| い放題の悪魔のようなこの男。十字架にかけられたのは連合軍に収容所を鎮圧されたレーバーだったのだが・・・。 |
| 最後まで余裕だったレーバーが哀れな最期を遂げる。戦争とは悪魔を生む存在だ。 |
|
| 47 |
「白縫」
|
03/06/06 |
| 週刊少年ジャンプ(昭和46年4月26日号) |
| むかし沖中の海に「白縫(しらぬい)」という少女が住んでいた。彼女の恋人は漁師だったが、二度と帰らぬ人にな |
| ってしまう。何日も海辺で待った彼女は、やがてその漁師の魂が海の向こう一面に広がるのを見て、一羽の海鳥と |
| なり飛んでいった・・・。そんな伝説を持つ沖中の海はいまや埋立地にされ、むかしの面影さえ残ってはいなかった。 |
| 生まれ故郷であるその場所に帰郷した伸二少年はその埋立地で不思議な少女に出会う。そして伸二は兄に再会し |
| たが、兄はその思い出のある場所を埋め立て、空港建設や歓楽街、高級住宅街を設置しようとする中心人物とな |
| っていたのだった・・・。全編が不思議な雰囲気で流れてゆきます。あの不思議な少女の正体とは?そして文明の進 |
| 化と自然の隆盛の共存の難しさ。それがこの作品で語られているような気がしますね。 |
|
| 83 |
「白い幻影」
|
03/07/16 |
| 増刊ヤングコミック(昭和47年8月8日号) |
| ある客船が豪雨の中沈没した。救命ボートに乗っていたある少女は海に放り出された恋人である則夫を助けよう |
| と手を伸ばす。しかし次の瞬間、雷鳴と共に則夫の姿は海のどこかに消されてしまったのだった。彼女は悲しみに |
| 打ちひしがれていたが、そんな中、なんと則夫が彼女の目の前に出現したのだ。白いものを見るたびに彼女の前に |
| 出現する則夫。どうやら雷鳴のショックで彼が溺れる姿が彼女の網膜にくっきりと残ってしまったらしいのだ。それま |
| で恐怖に感じていた彼の姿にだんだん親しみを覚えてきた彼女は、やがて幻影である彼と一生を共にしようと決意 |
| する。若いままの彼に対して年をとってくる自分に悲しみを感じたある日、彼女のもとに訪問者が・・・。悲しいお話で |
| す。でもお互いのためだと思ってシラを切る彼女。それを読んだ瞬間、女性って強いなって思いました。 |
|