| 関が原の戦いから10年後の信州。浪人・天作天十郎は、釣りの最中に自分の弁当を武士の馬に踏みつけられ |
| 向かってきた武士を斬った。ぺちゃんこになってしまったにぎり飯を庄助沼に放りこんだその時、沼からなんと体長 |
| 9メートルはある怪物が姿をあらわしたのだった!にぎり飯がきっかけで仲良くなったその怪物を天作は「ぬし」と呼 |
| び、それから毎日天作は庄助沼ににぎり飯を持って「ぬし」に会いに行くのだった。ところがにぎり飯が待ちきれなく |
| なった「ぬし」はなんと天作の住んでいる長屋に出現し、それが元で天作は奉行所に捕らえられてしまう。ところが「 |
| ぬし」に興味を持った藩はなんとか「ぬし」を戦に持ち出せないかと画策し・・・。いつの世にも権力争いに巻き込ま |
| れる命。それは人も動物も同じかけがえのないもの。読み終えた後なぜか涙が出てきそうになってしまう一編。 |