クスノキの樹の上で生まれてすぐに捨てられたモモンガの赤ん坊は、クスノキの気まぐれのおかげで生かされ |
た。「ムサ」と名づけられたそのモモンガは、強い者が勝つ!という自然界での生存競争の厳しさや、いなびか |
り(猟銃)で何でも殺す最大の宿敵「人間」と出会いながら成長していく。エピソードの間に挿入されている春夏 |
秋冬の描写が見事です。人間「キュウ」と「ムサ」の敵対しながらも、わかりあうシーンがなんとも言えない感情 |
を呼び起こしてくれます。ムサはキュウとは認め合った仲だからこそ、「キュウ」が自分の前に二度と現れない |
ことを悟り、力尽きてしまったのでしょう。クスノキと一緒に最期を迎えるムサ・・・このシーンに何度涙しそうにな |
ったことでしょう。動物には人間にはない死への潔さがある。そんなことを感じてしまうラストシーンですね。 |