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「モモンガのムサ」

03/04/25
月刊少年ジャンプ(昭和46年11月号)
 クスノキの樹の上で生まれてすぐに捨てられたモモンガの赤ん坊は、クスノキの気まぐれのおかげで生かされ
た。「ムサ」と名づけられたそのモモンガは、強い者が勝つ!という自然界での生存競争の厳しさや、いなびか
り(猟銃)で何でも殺す最大の宿敵「人間」と出会いながら成長していく。エピソードの間に挿入されている春夏
秋冬の描写が見事です。人間「キュウ」と「ムサ」の敵対しながらも、わかりあうシーンがなんとも言えない感情
を呼び起こしてくれます。ムサはキュウとは認め合った仲だからこそ、「キュウ」が自分の前に二度と現れない
ことを悟り、力尽きてしまったのでしょう。クスノキと一緒に最期を迎えるムサ・・・このシーンに何度涙しそうにな
ったことでしょう。動物には人間にはない死への潔さがある。そんなことを感じてしまうラストシーンですね。
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「モンモン山が泣いてるよ」

03/06/02
月刊少年ジャンプ(昭和54年1月号)
 昭和11年、小学四年生のシゲルの学校では、ポプラ相撲が盛んだった。負けるとゴシューギとして文房具を取
られてしまうため、シゲルは紋紋山と呼ばれる山で強いポプラの柄を探していたその時、ヘビにとりつかれている
村上という青年に出会う。村上のくれたポプラは誰をも寄せつけないほどのものだった。しかしその村上という青
年は自らヘビ神にとりつかれていると公言している近所でも有名な変わり者で、シゲルの親も彼とは付き合うなと
いう始末。シゲルが中学に上がる頃、第2次世界大戦が悪化。村上青年も戦場に駆り出され、やがて帰らぬ人に
・・・。戦時中、山は戦争の資材となるためにそのほとんどの木々を刈られ、そして現代になった今では土地開発
のために刈られる。いったい山はいつまで痛い思いをしつづけなければならないのだろうか・・・。

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