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「カタストロフ・イン・ザ・ダーク」

03/05/28
プレイコミック(昭和45年2月14日号)
 ラジオの人気DJ・田所満男は、運動不足解消のために歩いてラジオ局まで通っていた。ところがある日彼は通
う途中で道端のマンホールが少し開いていることに気がついた。人がその上を通れば危険だということはわかっ
ていたし、直そうと思えば直せた。だが寒かったからポケットから手を出すのをためらい、その場をやり過ごした。
その時、後ろの方から自分の名を呼ぶ声がして、後を振り返ると自分のファンだという女の子の姿がなんとその
マンホールに落ちたのを目撃してしまったのだ。このことに関わったら厄介なことになるかもしれない・・・彼の頭
の中で悪魔がささやき、なんと彼はその場を無視してラジオ局に向かってしまった。ところがこの後生放送中の
スタジオで次々に奇怪な現象が・・・。しかしラストでこの物語のすべてを覆すどんでん返しが待っているのだ。
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「カノン」

03/05/11
漫画アクション(昭和49年8月8日号)
 生まれ故郷・西の沢にクラス会のためにやってきた加納は、5年前に廃校になった母校の小学校で当時の校長
先生と会う。そして教室へと案内された加納は驚くべき光景を目にする。なんと自分以外はみんな小学生の当時
のままの姿だったのだ。そして憧れだった担任の西田先生も当時のまま・・・。しかし、西田先生もクラスの仲間も
いるはずのない存在だった。なぜなら彼らの小学校は卒業式後の空襲で加納を残してみな惨死していたからだっ
た・・・。都会の小学校で教頭の仕事に就きながらも、どこか生気の抜けたような加納は、生きたくても生きられな
かった同級生たちに叱咤激励されるのだが・・・。加納が回想する空襲のシーンは目を覆いたくなるほど凄まじい。
校舎が燃え尽きてゆくなかで、加納は生きるべき意味をつかむことができたのだろうか・・・。
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「紙の砦」

03/04/06
少年キング(昭和49年9月30日号)
 彼の自伝です。大寒鉄郎少年は戦時下の中においてもマンガを書いていた。そんな時ふとしたことで出会った
ダンサーを目指す少女・岡本京子と親しくなった鉄郎は、厳戒体制となった時点でもまだマンガへの情熱を捨てず
そして恋する京子とともに空襲で燃えさかる炎につつまれた街をさまよい続けるのだが・・・戦時下の学生たちの
生活がリアルに描かれています。教官の横暴さ、その時代の悲しみが伝わってくる一編。鉄郎の「だれのせいだ
よ、こんな戦争・・・」の一言が胸に突き刺さります。そしてダンサーを目指すにはあまりにも致命的な傷を負った
京子との再会・・・最後まで読んだ後でも何かつらいものが胸に込み上げてきます。戦争は勝ち負けじゃない。
人々から夢も希望も奪うだけ奪って、ただそれだけの悲惨なものです。多くの方々に読んでほしい作品ですね。

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