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「ウオビット」

03/07/06
月刊少年マガジン(昭和51年11月号〜12月号)
 ある国のある農場の近くで、人食い狼による殺人事件が頻繁に起きていた。その事件は決まって満月の夜に起
きるという。その農場にやってきたロックベルト・トランシルバート伯爵は、それは狼ではなく人が変身した人狼(ウェ
アウルフ)の仕業だと忠告、銀の十字架をつぶして作った弾丸でなければ仕留められないといい、そこで人狼が出
現するのを待った。そして満月の夜・・・人狼は現れた。ロックベルトを執拗に殺そうとする人狼はやっとのことで倒
されたが、なんとその正体は農場主だったのだった!人狼は仕留められ解決したかに見えた事件だったが、実は
さらにおそるべき運命が彼らには待ち構えていたのだった・・・。自分の無意識のうちに変身してしまうというこのウ
ェアウルフに、現代病である「ガン」が重なって見えた。それはどうすることもできない悲しい結末に繋がる・・・。
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「うろこが崎」

03/05/21
プレイコミック(昭和44年6月10日号)
 アイデア取材のため、南紀州の小島へ旅行したある漫画家は、ある漁師町で「うろこが崎」という場所の奇妙な伝
説を聞くこととなる。そして丁度その頃、ある子供がその「うろこが崎」と呼ばれた場所にある穴に落ちてしまう。町
全体が大騒ぎになり、都会からマスコミがやってきて、てんやわんやになる。そして近くの科学薬品工場の社長であ
る星島氏がボーリング設備を貸し出し、救出に協力する。一方、さっき水揚げした魚の中にうろこがはげて白くなっ
て死んでいるものを発見したその漫画家は、そのマスコミを通じて全国に「原因は化学工場にある」と訴えた。魚の
評判が悪くなる!と漁師からも星島化学薬品工場からも批判を受けたその漫画家は島を後にするのだが・・・。何
が正しいのか?・・・それは救出された子供の身体の異変に答えが隠されているのだろう。
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「海の姉弟」

03/07/02
「ザ・クレーター」シリーズ 少年チャンピオン(昭和48年9月17日号)
 沖縄に素もぐりで貝を採るある姉弟がいた。ふたりは両親もなく仲良く暮らしていたが、町の人々からうしろ指をさ
されるような視線を浴びていた。弟はそれがなぜなのかわからず、その理由を知りたいと強く願っていた。そんな折
弟は家の隅っこから母親の日記を見つける。そしてそこには驚愕の事実が書かれていた。戦時中戦場となった沖
縄で彼の母親は海に入って死のうとした。そこでアメリカ兵に見つかるが、村に案内すれば一般人の命まではとら
ないという言葉を信じ案内した彼女は、そこでアメリカ兵の言葉が嘘だったことを知る。村は一斉に焼かれ、それに
驚いて飛び出してきた村人たちも全員殺されてしまったのだった。裏切り者とされた彼女にはさらに悲劇が・・・。「戦
争」「開発」と簡単に語られる2文字のこの言葉たちには、語りきれないほどの憎しみを感じてしまう一編です。

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