第19回 エッチシーンの書き方PART3〜実践篇〜


 ――わ〜〜い。ネタならボクチンいっぱい持ってるよ。少……

 それ以上言うな。おまえは存在が発禁だ。

 ――しどい。慎ましく欲望に素直に生きているだけなのに。

 それが発禁なのだ!

◆最初にどんな絵にするのか考えて書こう

 ――さあ、続きを書くぞ。

 待て。
 
 ――ん? どうしたの?

 どんなエッチシーンにするか考えたか。

 ――書きながら考えたら駄目?

 駄目。だらだらと書いて、どこでエッチシーン切るんだよ。枚数制限あるんだぞ。

 ――うぐっ。

 シナリオを書くというのは、CGでストーリーを見せるってことなんだぞ。つまり、ヴィジュアルの創造だ。

 エッチシーンも同じだ。

 ――うぐぐぐぐ……。

 実際に文章と台詞でエッチシーンを書く前に、どんな絵にするのか考えるように。

◆まずはシチュエーション

 ――ううん。
 
 どうした。

 ――エロ絵が思い浮かばない。煩悩が足りないのかな。

 シチュエーションは考えたか?

 ――シチュエーション?

 どんなシチュエーションでエッチするかだ。

 たとえば、巨乳の金髪女がいただろう。そいつを、どういうシチュエーションでセックスさせれば一番エロいか、性的に萌えるかを考えるんだ。

 ――お嬢様っぽい部屋でベッドの上で……

 却下!

 全然萌えて来ぬ!

 ――シクシク。

 よいか。

 エロティシズムというのは、キャラクターとシチュエーションのコントラストなのだ。

 あるキャラをどんなシチュエーションに、どんな背景に置いてセックスさせたら一番萌えるか、エロいか、なのだ。

 ――ンフン……ボクチン、エロいン?

 脱ぐなあっ!

 バッキ〜〜〜〜〜っ!

 ――ぐはあ……父さんにも殴られたことないのに……

◆エッチシーンはゲームの広告塔!
 ――ううん……やっぱり構図が浮かばないな。適当でいいや、適当で。

 バキ〜〜〜ッ!

 ――ぐはあっ……! な、なにをするんだ、いきなりぃ!

 たわけ!

 エッチシーンをいい加減にするな〜〜っ!

 ――だって思いつかないんだもん。

 ばかも〜〜〜ん!

 ――うひぃ!

 エッチシーンというのは、一番エロゲー雑誌に載るのだぞ。それがすべてではないが、そのエッチCGを見て食指を動かされて買ってしまう人もいる。おれも、自分お気に入りのシチュエーションがあるゲームはチェックしちまうしな。
 
 ――うぐぐ……。
 
 エロゲーは、絵先行だ。

 つまり、ユーザーが最初に引きつけられるのは、ゲームの中身やシナリオや音楽よりも、絵の方だ。よっぽど凄いクリエーターでない限り、シナリオや音楽に注意が向くことは少ない。

 まず、絵ありきなのだ。

 だから、気合の入っていない構図や気合の入っていないエッチシーンを創出してはいけない。たとえ純愛だとしても、純愛で出来る範囲内で、最大限のエロを目指すのが理想だ。

 ――理想と現実はかなり食い違うのね。偉そうなことを言っておきながら、全然実践できていない気がするんですけど。

 グサ〜〜ッ!

 人には言っていけないことがある〜〜〜っ! バッキ〜〜〜〜ッ!

 ――ぎょわああ……理不尽……

◆ アングルにはこだわろう!
 おい、どんな絵にした。

 ――こんな感じ。全部正常位にした。真上からのアングル。

 ビリビリビリ〜〜〜ッ!
 
 ――ぎょわあっ! 何をするんだ!

 貴様、ふざけとるのか! 全部同じアングルがあるか!

 ――徹底して上からのアングルにこだわってみました。

 嘘つけ! ただの手抜きだ!

 ――でも、エロビデオも、どれもこれも似たりよったりのアングルだよ。

 あれは動いているからまだ何とかなるのだ!

 エロCGは静止画だぞ。静止画からアングルを奪ったら何が残る!

 ――ぐぐ……。

 同じアングルばかり揃えるな! 見ていて退屈するだろうが! もっとアングルに凝れ!

 ――シクシク。……出来たよ。

 よし。

 む?
 
 なんだこれは! 全部引いた絵ばかりではないか。

 ――全体を見せてあげようと思って。

 引いた絵ばかりにするな! 近接ショットも入れろ! 迫力がなくなるだろうが!

 ――うひぃ、怖いよお!

◆フェティシズムが命
 ――フェティシズムって、呪物崇拝?

 いや。

 エロへの愛、エロへのこだわりと言っておこう。乳好きなら、巨乳へのフェティシズム。尻好きなら、尻へのフェティシズム。

 つまり、体のあるパーツへのこだわりだ。

 それがないと、エッチシーンは萌えてこない。ただ漫然と裸を見せただけではうまくいかないと思う。

 ――自分の趣味は出していいの?

 ある程度ならな。自分専用のオナニー用品として作らないのならば、OKだ。

 ――じゃあ、ボクチンも、ぶよぶよの腹へ……

 やめ〜〜い!

◆エロマンガを参考に
 ――やっぱり案が出て来ないよお。どうしよう。
 
 エロマンガを見るというのも手だな。というか、それが一番手っとり早かったりする。

 ――おおう! 初めからそれにすればいいんじゃない!

 たわけ!

 順番が逆だ!

 まず最初に、ユーザーさんにどんなエッチシーンを、どんなシチュエーションを見せたいかだろう! エロマンガを参考にするのは、シチュエーションが決まってからだ!

 ――グスン。手抜きしたいのに……。

 するな! エロは厳しいのだ!

 次回は「字コンテの書き方」の予定です。
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