◆前回の復習〜キャラクターを決める5つの要素は?
前回の復習だ。キャラクターを決める5つの要素を言ってみろ。
――バスト、ウエスト、ヒップ。
バキッ!
──ぐうっ!
だれがスリーサイズを言えと言った! キャラクターの基本5要素だ!
――冗談だってば。タイプ、性格、名前、体格、服装でしょ?
その通りだ。
◆サブヒロインの配置はバランスよく
前回は、ヒロイン──メインヒロインを決めた。今回はサブヒロイン──他に攻略可能な女の子たちだ。
サブヒロインを作るとき、一番気をつけることは何かわかるか?
――バランスを考えること?
そうだ。美少女恋愛ゲームの場合、ユーザーのニーズを考えて、ボーイッシュ、タカビー、年下ロリー、お姉さんというふうにいろんなタイプの女の子を配するのが基本だな。内気な眼鏡ってのもいいぞ。ボーイッシュが2人いてあとタカビーが3人っていうのは、キャラクター・バランスが悪いな。
――でも、ボクチン、ロリー嫌い。
わがままを言うな! たとえおのれの性的趣味でなかったとしても、出さねばならぬのが仕事なのだ!
――うひぃっ! でも、全員眼鏡ばっかりってのもあったよ。
初めからそういうコンセプトならよい。だが、美少女恋愛ゲームで女の子が全員眼鏡だと、眼鏡っ子が嫌いなユーザーは買わないぞ。
――あ、そっか。
キャラクターはいろんなタイプをバランスよく配置すると、ユーザーが満足しやすくなる。
――でも、なんかステレオタイプっぽくない?
ビギナーがいきなり難しいことを狙うな。ビギナーはステレオタイプから始めていいのだ。まず、基本を書けることが前提だ。設定で立てたからといってシナリオが書けたわけではないのだぞ。
――ううん、そりゃそうだけど。
慣れて来たらパターンを崩せばいい。
自分も『バーチャルめもりある』を作っていた頃は、パターン通りだった。巫女さんは内気でおとなしい。図書館のお姉ちゃんは眼鏡かけてて引っ込み思案、男性恐怖症。あの頃は、美少女ゲーム業界に入ってまだ半年もたっていなかったからな。
『Fresh!』ではかなり意図的にパターンを崩しに行った。
巫女さんは、やっぱりおとなしいんだが、関西弁にして変化を持たせ、女教師のせせりにしても、普通ならお姉さんお姉さんになるところをかなり天然ボケかまして違う味わいにした。もちろん、そのまんまのキャラクターもいたけどな。
◆髪形や髪の長さ、服装も変えよう
――ふうん、いろいろあるんだあ。
ユーザーはバリエーションを楽しみたいのだ。
――そうか。じゃあ、サブヒロインを決めるときに、髪形も髪の長さも変えたほうがいいの?
なかなかいいことを言うな。ヒロインと同じ髪形、同じ髪の長さって子はいないほうがいいな。シルエットでわからなくなってしまう。絵の世界では、シルエットでキャラが判別できるようにした方がいいというそうだ。
――なるほど。じゃあ、胸の大きさも違ったほうがいい?
理想を言えばそうだな。巨乳や微乳をコンセプトで作っているのなら別だが。
――服装もいろんなのがあったほうがいいんだね。
そうだ。服装と女の子のタイプはつながってるからな。服装が同じってことは、制服以外にはありえない。
◆キャラ設定のための資料をそろえよう
――結構、資料が必要になってくるね。
もちろん!
自分の場合、ズボンからスカート、ブラウス、装身具まで色々カラーで載っている『スタイリング・ブック』(グラフィック社、2600円)だとか、白黒だがボリュームのある『新ファッションビジネス辞基礎用語典』(光琳社、3000円)を持っている。あと、髪形を決めるために『髪形クリップ』(小学館、900円)ってムックも結構そろえている。
ゲームの設定資料集も結構役に立つな。コンシューマーでも十分OKだぞ。
他には 『JJ』『CanCam』とかいった雑誌も参考になることが多い(その他の雑誌については自分で調べよ!)。
――『JJ』とか『CanCam』って女性向けの月刊誌だよね?
なんだ、恥ずかしいのか。
――だって、ボクチンうぶだもん。
バキィッ!
ガハハハ! なかなか面白いことを言うではないか!
――ぐはあ……本気で言ったのに……。
『JJ』『CanCam』はいいぞ。6〜7月号にかけては水着特集するからな。これがなかなか重宝なのだ。
――ビキニって思いつきそうで思いつかないもんね。
そうだ。だいたい企画というのは半年前を睨んで始まったりするから、夏のお話を書いているときは冬だったりするのだよ。しかし、その時期には水着のカタログがない。ネットでもなかなか見つけられない。仕方がないので前の年に買っておいたりするのだ。
──ふ〜ん。ボクチンなんかお店に入っちゃうけどな、ビキニ売ってるとこ。
おまえが?
──うん。あとは実地見聞。頬ずりしたり頭にかぶったり……。
おのれは変態か!
――え? そう? ぼく凄い?
凄くない!
◆メインヒロインを食わないようにしよう
もう一つだけ、サブヒロインを作るときに気をつけることがあるんだが、わかるか?
――全員でぶにする。
バキッ!
──げふっ!
そんなことを言うのはこの口か!
――ひがひまふ(違います)。
では、なんだ。
――ははひはへ〜ん(わかりませ〜ん)。
ヒロインを食わないようにすることだ。
――ヒロインって、前回決めたメインヒロイン?
その通り。美少女ゲームの場合、概してメインヒロインというのは立ちにくいのだ。
メインヒロインというポジション上、どうしても最大公約数的に作ってしまう。だから、どうしても当たり障りのない感じに仕上がってしまうんだ。
ところが、サブヒロインってのは、結構自由ができる。だから、個性が出て、すぐにキャラが立ってしまう。
――アクの強いキャラがいると食われちゃうんだ。
そうだ。
たとえば、『ほたる』の次女、翼。あれはアクの強いキャラクターだな。
――確かに強かった。すぐ殴るし。ひょっとしてYOUに似てない?
話をそらすな。サブキャラに翼のようなアクの強いキャラがいた場合、ヒロインも個性的なときはいいが、ヒロインがおとなしかったりインパクトが薄か
たりすると、瞬時に食われてしまう。
――ふむふむ。
だから、その意味でもバランスを考えるんだ。
サブヒロインを全部考えてから、メインヒロインも並べて考えてみるんだ。すると、あ、メインヒロイン食われてる! とかいうのがわかる。
――ふむふむ。
まあ、女の子が3人しか出てこないゲームなら、キャラの立ちすぎを考える必要はないがな。
――どうして?
全員しっかり立たせないと、立たなかった一人が確実に沈没するからだ。3人というのはそういう数なのだ。
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