野の花(宿情報・感想)

2003/01

黒川温泉の老舗宿「いこい旅館」の姉妹宿。温泉街からは車で5分ほど、細い山道を登ったところにあります。どこが入り口なのかよくわからず車を止めて入ろうとしたら厨房。よく見ればゆるい下り坂の路面に装飾が施してあり、そこを進むと宿の入り口。ロビーに足を踏み入れると、小さなカウンター(これがフロント)に男性が一人・・・「いらっしゃいませ」と。あくまでカウンターから出ることはなく、他に荷物を持って出迎えてくれる人もなく・・・・そのカウンターでチェックインを済ませます。そこで係りの方が登場。荷物を持ってお部屋に案内してくれます。フロントや食事処のある母屋を出ると、中庭を囲むように6棟の離れがあり、あっという間にお部屋に到着。部屋は「朱花(はねず)」。引き戸の広々とした玄関に10畳(畳のサイズがミョ〜に小さい)、トイレ・洗面所・露天風呂付。係りの方がお茶を入れながら説明してくれます。
浴衣以外に作務衣、足首まである長いハンテン(これがあったかくていい!)、タビックス、身体を洗うタオル、中にビニールを貼ってある和風の布で出来た巾着、と至れり尽せりの備品ぞろい。コーヒーメーカーまである!洗面所は普通の洗面ボウル以外に浄水器のついた蛇口もついてます。
<風呂>
さっそく作務衣を着て大浴場へ。ところがその小ささにビックリ。脱衣籠が6つ、洗い場が2つしかない。ちょうどピークの時間だったのか、すでに4人入浴中で私の後に来た3人組さんは、籠も無くて立ち往生って感じ。湯船は6人くらい入れますが、洗い場を使う時間が長い女性にとってはなかなか厳しい。後ろで待っている人がいると思うと、洗髪も思わず遠慮して、そそくさと上がりました。外湯めぐりの方がそこに入ってこられたらもっと大変です。それとカランから出るお湯の温度が一定しないので、急に熱くなったり水のようになったり、その調節に四苦八苦。皆さん同じ思いだったようで適温を見つけるのに苦労してました。湯船は木製で丸いたる型、やや濁り湯で気持ちよかったんですけどね・・・。
露天は内湯とは別の場所なので、一度服を着て、また脱いで・・・露天は筑後川源流に向かって3段の湯舟が作られています。洗い場は無く、桶が3つあるだけ。一番最初にあるのは半分くらいまで屋根があって半露天風、一度湯舟から出て坂を下りて行くと2つ目の湯船。これは小さいけど温度がやや高め。一番下は完全な露天で身を乗り出せば渓流が望めますが、温度はかなりぬるいです。内湯と同じやや濁り湯で少し硫黄の臭いがしました。なかなかの開放感で満足。
<食事>
夕食は母屋の食事処で。人数に合わせて色々なタイプの部屋があるようで、私たちは掘りごたつでしたが、広めの椅子席やコタツ席などもあったようです。食前酒のサングリアに始まり、地の野菜や馬刺し、黒豚肩ロース煮、釜飯、締めはアイスクリームとイチゴ。どれも美味しくて大満足。
お部屋に戻り、しばらくすると夜食のお善哉(白玉入り)をお部屋に持ってきてくれます。ホンの一口サイズなので(言い訳)ぺろりとたいらげてしまいました。でもお味は今一だったです。
その後部屋の露天へ。部屋によって形やサイズが違うようですが、私の部屋は丸型で石造り、湯船の中にも一面に石が敷き詰めてありちょっと歩きにくい。木の塀で囲いがめぐらされていて開放感にはかなり欠けますが、入りたいときにザブンと湯に浸かれるのはやはり幸せ。
朝食は8時半からと決められています。前夜と同じ場所でいただく食事はこれまた美味しい。ジャージー牛乳、炭火の上であぶっていただく海苔(ただし、私の炭は消えてしまっていて、クレームをつけたけど取り替えてくれる様子はありませんでした)、野菜の煮付け、焼き魚、湯豆腐、テーブルの上にはツボに入った梅干と高菜漬け、とボリュームもたっぷりです。
これだけの設備と食事内容で平日20000円はかなりお得。内湯の設備をもう少し整えていただけたら言うことなしなんですけど。(2003/01)


「朱花(はねず)」室内。ファンヒーターが3台もある。暖かさは充分だが、乾燥しまくっていた。床の間のフリージアは花びらが茶色くなってしまっていた。 洗面台の横に浄水器が設置された蛇口がもう一つ、シンク底には竹が敷かれていた。バスタオル、フェイスタオル以外に部屋に洗面用のタオルも置いてあって親切。 洗面所から外に出るとこの露天風呂がある。露天といっても屋根付きで三方が塀に囲まれてる。時々お湯の出がドーっとよくなる。湯船の中は石がごろごろしてる。腰掛けや桶、シャンプーやボディソープは置かれているが、上がり湯はなし。湯船の中の湯をひたすら汲み上げる・・・ちょっと遠くてやりづらい。 中庭より各棟を望む。新緑や紅葉の季節はさぞかしいいだろうな。
夕食の馬刺し。やや甘めのとろみのある醤油でいただく。癖が無く美味しい。 茶碗蒸(右)と里芋海老巻き。あんかけが美味。 六白黒豚型ロース煮。これで二人分。とろけるほど柔らかいお肉に濃い目の味付けがよく合う。 釜飯(器がセイロになっていて蒸したご飯が入ってる)、かしわ汁
イチゴとアイスミルフィーユ。アイスクリームがさっぱりとした甘さで美味しい。 夜食の善哉。食べかけを撮ったのではなく、最初からこの量です。 朝食。これ以外に湯豆腐、ジャージー牛乳などもつく 野菜の煮物が大皿に盛られてくる。


宿名 野の花
住所 熊本県阿蘇郡南小国町奥黒川温泉
電話 0967-44-0595
客室数 6(全室離れ:専用露天風呂付)
チェックアウト 11:00
食事場所 朝夕とも:個室食事処
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