かよう亭(宿情報・感想)

2003/10

加賀・山中温泉の入り口にあります。温泉街は宿よりも少し上なり、浴衣で街を散歩という感じではありません。
<雰囲気>
山に向かってひっそりと佇む和風建築の宿です。玄関で靴を脱ぐと正面に「帳場」と書かれた格子窓、一段高くなったロビーにはジョージナカシマの椅子が配されています。全館畳敷きなのでスリッパは無し。でもその椅子に座る事も無く、係りの方にお部屋に案内されます。皆さん比較的若い方が多く、テキパキとしている・・・のはいいけど、お風呂場や非常出口の説明は無かったです。かよう亭は料理旅館ということからでしょうか、予約時に45,000円〜55,000円までのランクで選びますが、部屋タイプによっての差ではなく、料理によって決まるようです。チェックインしてから気が付いたのですが、9畳+3畳〜12畳+6畳くらいまで10室の部屋の大きさはまちまち。もちろん人数によって振り分けと思いますが、内風呂が付いていたり無かったり、設備面でもまちまちで、同じ金額か〜・・・・という感じです。二人で宿泊でしたから一番狭い部屋。3畳の部屋は薄暗くすでにコタツがセットされています。トイレはウォシュレット付きですがかなり小さい。広縁はゆったりとして窓からは一面に緑で気持ちよいですが、横の鉄扉を開けるといきなり避難用はしごにびっくり。浴衣は流石に良いもので足袋も靴下ではなく「足袋」でした。
この宿は部屋鍵が存在しないのです。部屋に貴重品BOXはありますが、鍵なしというのも、便利なような不便なような。しかもスリッパなしなので在室なのかもわかりにくい。そして仲居さんたちは部屋の扉を開け放しておく習慣のようで・・・。「プライベート性」は皆無です。もちろん部屋内から鍵は掛けられますけど。
<風呂>
さていざ大浴場に。山の傾斜を利用している建物なので地下1階がお風呂場、籐の脱衣籠棚にタオル類が積まれ、2段下がったところに洗面台(2つ)。脱衣所と洗い場が前面ガラス張りで仕切られていてお互いに丸見えです。洗い場はシャワー付きが3つ、なしが3つで(ちなみに男性用風呂は10個くらいのカランがあるらしく湯船も大きいそうな)石造りの湯船からはこれまた前面ガラス張りで緑がたっぷりと味わえます。桶と椅子が木曽ヒノキなのも気持ちよいです。お湯は無色無臭で人が入れば溢れ出る・・・って感じ。露天はありません。洗面台にはドライヤーとくるくるドライヤーまでありました。風呂上りは暑い・・・そしてこの日は10月なのに28度もあってますます暑い。部屋に戻ってあまりの暑さに冷房を入れようとしたら温風が・・・・でもって窓を開けると網戸が無いので虫が入ってくる。フロントに電話を入れるとなんと全館一斉に暖房に切り替えてしまったと(実はこのときに電話に出た方の対応が???でした・・・)。10月なのでそれは仕方ないことです・・・がしかし流れでる汗は止まらないし・・・お願いして扇風機を持ってきてもらいました。
<食事>
食事は通常部屋食ですが、今回は食事処でいただきました。仲居さんも汗をかきながらお世話してくださり、食べる方も汗をかきながら土瓶蒸し・・・。お食事は全体に美味しかったですが、思ったより量が多めで感動した料理っていうのはあまり無かったのです。お造りに添えられた「たまり醤油」以外に「納豆醤油」というのが面白かったです。納豆の香りがみょ〜に刺身にマッチしていました。
2年程前にバーラウンジだったところを改造し、昼はティールームに使えるようウッドデッキなども作った部屋があります。ハーブティーはサービスでいただけるようですが、食後にコーヒーをいただきに行きました。ほんのりとランプの灯りの中、ゆったりとした気分で過ごせます・・・が1杯600円はちょっとお高いような・・・・お味も今一つ。食事の際の飲み物も全体に少々高めでございます。
部屋に戻りくつろぐつもりが・・・カメムシの襲来にあい、5匹ほど捕まえたでしょうか・・・おまけに大きいクモまでお目見えでして・・・。異常な暑さで湧き出てきたのか、それでまたもや汗をかくことに。
朝食は8:30に食事処でお願いしておりました。8時にノックされ寝ぼけ眼で出ると「お茶と新聞をお持ちしました」と係りの方。そして8:20くらいに「お布団上げていいですか?」と別の係りの方。できることなら食事処に行っている間に布団を上げていただきたかったです。前評判のすごく高い朝食。「蓋を開けると湯気が立ち上る卵焼き」は確かにすごく美味しかった!甘くなくふんわりと。その他ハタハタの丸干しと厚揚げはその場で係りの方が火で炙り、熱々を出してくださったり、湯葉入りの湯豆腐、おかゆ、白飯も美味しくいただきました。食後のフルーツもたっぷり(コーヒーは無かったけど・・・)。
<その他>
チェックアウトの精算は部屋で行います。12時とゆっくりのチェックアウトですが、食後に部屋に戻るとポットも片付けられ、お茶もいただけませんでした。帰るときは生憎の雨。蛇の目傘で車まで見送ってくださり、雨の中、最後まで手を振ってくださいました。
・・・・がしかし、一人5万円の宿泊代を思うと少々不満も残ります。雑誌に掲載されている雰囲気と私が宿泊した部屋の雰囲気はかなり違いました。やや暗く、広縁のソファーは擦り切れ、テーブルセンターはシミがあり。サービスは昔ながらの「サービスの考え方」。人それぞれ受け取り方が違いますが、構われないサービスを求めている方には向かないタイプのお宿のように思いました。(2003/10)


かよう亭、宿泊した部屋「高瀬」。 到着時に部屋でいただくお菓子、栗蒸し羊羹。普通の蒸し羊羹よりもっちりとした感じが無い。猫の絵皿がかわいい。 お造り。牡丹海老、烏賊、など。右の小皿が「納豆醤油」納豆の苦手な人はパスですね。 焼き物。鯛・きのこ類など。
最後に出される雑炊。あっさりとして食べやすい。れんげがすごくかわいかったのです。この他に白飯とナスのお漬物。食後はメロン(多分本物のマスクメロン?)、美味しかったから・・・。 朝食:焼きたて卵。木の蓋を開けると湯気がふわりと立ち上る。口に入れると溶けるようになくなってしまう。 ハタハタと厚揚げ。係りの方が炭火で炙ってくれたものをいただく。 宿から徒歩2分くらいで鶴仙渓遊歩道に行ける。渓流沿いに歩けば「あやとり橋」「こおろぎ橋」と往復1時間ほどの散歩が楽しめる。帰りは温泉街を散歩してもいい。それなりにアップダウンがあるのと、石の上はすべるので浴衣に下駄ではちょっと無理ですけど。


宿名 かよう亭
住所 石川県江沼郡山中町東町1丁目ホの20
電話 0761-78-1410
客室数 10
チェックアウト 12:00
食事場所 基本的に部屋食
その他
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温泉宿楽