萱の家(宿情報・感想)

2002/10

関越自動車道、沼田ICから20分程のところにある宿の名前の通り萱葺き屋根の宿。
<部屋>
引き戸の玄関をガラガラと開けると、広〜い土間、一段たかくなったところにフロント、正面にいろりの和室。土間に足を踏み入れたと同時に、いぶされたような臭い・・・ちょっと苦手かも。広大な土間の割には小さな下駄箱に自ら靴を収め、チェックインの手続きをします。おじさん(ご亭主?)が「こちらです」と案内してくれた客室は2階。いぶされた板張りの床を踏みしめながら歩くと、不思議と落ち着きます。部屋は8畳の和室に広縁、洗面・トイレ。洗面所は取ってつけたようなユニット式のもので今一つ(コップもなし)、トイレは「厠」って感じの扉ですが、中は洋式でした。和室の隅に香炉があり、お香かと思いきや上には日本茶が乗っていて、近づくとお茶を焙煎しているようないい香りがします。
畳は床暖房入り!ほんのり温かい。名物「川場羊羹」でお茶をいただきます(もちろんセルフサービス)・・・チト甘い。
<風呂>
クローゼットに浴衣・羽織・バスタオル・手ぬぐい・歯磨きセット・足袋ソックスが入ってます。浴衣に着替えて早速お風呂へ。一番客だったのか電気が点いていない・・・大浴場は広い更衣室の端の方に籠棚があって洗面台が4つ。あとはドライヤーもティッシュもなーんにもありません。洗い場は、これまた広い一面板張りの真中に四角い木の湯船、7つほどのカラン・・・三面が窓(曇りガラスの二重窓)で高い天井なので開放感たっぷり。熱過ぎずぬる過ぎず、いい湯加減。ボディーソープはなくて不思議な色の固形石鹸とシャンプーリンスがあります。ここのお湯は婦人病に効くらしい・・・。24時間何時でも入れます。女性の方でドライヤー・バスキャップが必要な方は持参しましょう。露天風呂はありません。
<食事>
お待ちかねの夕食は6時から(決められてます)食堂で。分厚い一枚板のテーブルがロの字型に作られていて、宿泊客は距離はあるけど顔を向かい合わせにして食事する感じになります。一汁十一菜に梅酒の食前酒、玄米ご飯、フルーツ(この日はりんご)、お菓子(白玉に黄粉がのっている)。それはそれはお腹一杯!精進料理でもこれだけいただくとかなりのボリュームになるものです。胡麻豆腐、湯豆腐(ほんのり甘いお豆腐と湯葉入り)、里芋に枝豆を裏ごししたあんがのっているもの、かぼちゃと揚げた高野豆腐に野菜のあんかけ、アケビの味噌焼き(ちょっとえぐい!)などなど・・・。決して高価な食材ではありませんが、おいしい地の野菜に手間をかけて調理された料理はどれも美味。一日30品目ならぬ1食30品目という感じです。最後に出された日本茶もすごく美味しい。川場地ビールは1本600円なり。
テレビもないので皆さんやることが無いのか、23時頃にお風呂へ行こうと廊下を歩いたら、どの部屋も真っ暗でした。何せ6室しかないので大浴場は何時行っても空いてます。
朝食は8時から(8時半までに食堂へ行かないといけません)。かぼちゃ入り玄米粥を中心に納豆(大粒で豆の味がおいしい)、のり、小松菜の胡麻和え、ジャガイモとインゲンの煮物、きのこの味噌あんかけ・・・などこれまた朝からお腹一杯。そして囲炉裏の広間にコーヒーが用意されていて、自由にいただけるという嬉しいサービスつき。
<その他>
ご夫婦で営まれているようで、必要以上のサービスは望めません。それでも山・渓谷に囲まれた環境と昔ながらの萱葺きの家、そしておいしい精進料理と、身体の中から綺麗になれた気がします。平日も休前日も区別無い料金で15,000円です。ただし洋服も髪の毛も旅行バックもぜ〜んぶいぶされたように臭くなっちゃいますけどね。
宿の向かいは赤倉渓谷、少し足を伸ばせば吹割の滝があります。ICから宿に向かう途中に道の駅「田園プラザ川場」があり、広い芝生の敷き詰められたところに食事処(蕎麦処と洋食)、パン工房、地ビールコーナー、ミート工房(フランクフルトやベーコンなどを手作り)、地元の農家の方の販売コーナーなどが点在しているという、ちょっとおもしろい道の駅です。パンはなかなか美味しいのでおすすめです。(2002/10)


道路側から見た「萱の家」全景 杜若(かきつばた)の部屋の中 建物二階部分の渡り廊下。この下が玄関と土間、囲炉裏の間になる。写真正面の階段を上がったところに客室が並び、その奥の扉の向こうに大浴場がある。 客室からみた景色。眼下は道路になるが、さほど交通量がないので気にならない。
部屋に置かれている香炉。上のお皿にお茶があって、焙煎されたいい香りがする。 夕食「精進菜彩」。山くらげ・むかご・ゆりね・ざくろ・豆乳寒・稲穂 左:胡麻豆腐 
右上:煮物盛り合わせ(がんもどき・こんにゃく・椎茸・人参・わかめ) 
右下:ひたし豆(鞍かけ豆・おろし・とんぶり・大葉)
かぶらのくずあん仕立て(エリンギ・木耳・ズッキーニ・レンズ豆・湯葉)
手打ち蕎麦(辛味大根添え) しそふりかけ玄米ご飯(もちきび入り) 宿の向かいの道を入ると、赤倉渓谷へ。


宿名 萱の家
住所 群馬県利根郡川場村湯原2077-1
電話 0278-52-2220
客室数 6
チェックアウト 11:00
食事場所 朝夕とも食事処(というか食堂)
その他 朝食後にコーヒーサービスあり
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