花季(宿情報・感想)

2004/10

南伊東駅から徒歩10分ほど、車だと都心から2時間半ほどで到着します。「料理旅館」と称するだけあって食事は大満足の宿でした。
<立地・雰囲気>
川沿いに建つ宿は一見普通の家。二部屋しかない宿なので看板も小さければ駐車場も民家と同じ雰囲気。入り口を入って声をかけても何の反応もない・・・3回目にしてやっと対応に出てくれました。雑誌にもよく登場するカウンターでお菓子とお茶をいただきます。
ほどなく部屋に。1階が食事室、2階・3階が1部屋ずつで、今回は3階の部屋です。エレベーターはないのでお年寄りには向きません。階段を上がっていく感じはマンションみたいでコーナーに花が活けられているのが救い?ドアを開けると3畳ほどのたたきがあって、10畳の和室と2畳の広縁に籐の椅子セット。隣にダブルボウルの洗面所と古代檜の浴槽がある風呂場。温泉だそうですが、循環式で24時間入れるとのこと。
部屋の窓を開けると・・・遠く山は望めますが対岸は街。信号機やら店舗の看板が見えて情緒はありません。
お風呂は一人サイズ。檜の浴槽は気持ちよいですが、窓の向うはフツーの家だし、効能豊かな温泉という感じもしない。ゆったりのんびり・・・は出来ない。大浴場はないので4人とかで泊まったらお風呂に入るだけで時間がかかりそうです。
<食事>
食事は6時からと決められています。食事室は2つあって、フローリングと和室。外から食事のみを利用する客が無ければ1部屋に1組で、夕朝ごとに入れ替わるシステムだとか。内容は写真を参照ください。特に変わった食材ではありませんが、一品ごとに変化のとんだ味付け。どれも美味しく、大満足!どちらかといえば女性向?若い男性には物足りないかもしれません。
部屋に戻ると布団が敷かれ・・・ているのはいいのですが、持ち物が動いてる・・・気を使ってくださっているのでしょうけど、時計を「アクセサリー入れ」に移してくれたり、シャワーキャップが重ねて片付いていたり・・・友人と「どっちが私の?」という状態。こんなに所有物が動いている宿は初めてで、個人的にはここまで立ち入られるとちょっと反感を持ってしまいます。
翌朝少し早く目が覚めたので窓から外を眺めていると・・野鳥の声が沢山聞こえて気持ちよい。眼下の川を見ていると「かわせみ」が水中のえさを見事についばんでいる姿が!美しい鳥が見れてちょっと感動。
朝食は8時半と決まっています。朝から豪華で美味しい。石鯛のカルパッチョまで付いている・・・と思ったら、食事の途中で現れた女将さん曰く「昨日出し忘れちゃって・・・でも昨日はお腹イッパイになったでしょう?」・・・ってオイオイ!そりゃ〜満腹でしたけどね・・・言わなくてもいいのにな。
<全体として>
10時と早めのチェックアウトです。平日税込みで一人27,300円。お料理は大満足ですが、全体から評価すると少々高い気がします。宿のエントランスや食事室はとてもいい雰囲気ですが、部屋のつくりや内装はあまりに普通。部屋の小物使いなどに女性経営らしく細やかな気配りも感じますが、「民宿」風のところもみえてしまう。せっかく二部屋しかないのだから、せめて朝食の時間くらいはお客の都合に合わせていただけるとか、食後にコーヒーサービスがあるとか・・・
「おばあちゃんの胡麻豆腐」の作り手、92歳の方を筆頭に、72歳の女将、そしてそのお嬢さんが料理人。女将はご自身の宿を愛していらっしゃるのでしょうけど、実は自慢話が多くてお客としては少々うんざり気味。テレビ「旅の香り」で放送以来、予約電話が殺到して大変な人気だそう。食事だけを目的にして旅をされる方には良いかもしれません。(2004/10)


「花季」に向かう途中、橋の上から見た宿の全景
右の2・3階が客室。
宿の入り口。旅館というより小料理屋みたいな感じ。 入り口入ってすぐにあるカウンター。こちらでチェックイン。お菓子もここでいただく。奥に明るく見えているのが食事室の1つ(和室タイプ) 到着時に出されるお茶と菓子。備前の茶器には・・緑茶ではなく変わった味のするものだった。
菓子皿は料理長さんが焼いたものとか。
部屋内部。西日が差し込んで少々暑かった。2畳の広縁は左に冷蔵庫とお茶のセット、右にたんすもあって、かなり窮屈。ちなみに冷蔵庫はコーラとウーロン茶とビール。すべてビン入り。 洗面所から風呂場を見る。バスキャップ・歯ブラシ・綿棒(使いにくい)男性用化粧品が揃っている。 夕食。黒米の湯葉かけ・サザエの焼き物・冬瓜の海老餡かけ・クリームチーズとホタテの白和え・イチジクの天ぷら。全部美味しい! マツタケと鱧の土瓶蒸し。ダシがいい味で、美味しいのなんの。
お凌ぎは蕎麦。オクラのすりおろしとアケビの天ぷらが載っている。そばつゆは少し甘め。蕎麦は今一つかな。女将曰く、作家物の器だそうで・・・。 石鯛と牛肉の焼き物にかぼちゃ・インゲン・人参・カブなどが添えられ、ミルク色のややこってりしたソースとバルサミコ風味のソースでいただく。洋風の一品。肉も魚も二口サイズなのでペロリ! サツマイモの冷クリームスープ。干しぶどう入り。上の葉っぱはかざり。おいものあっさりとした甘みがいい感じ。
「おばあちゃんの胡麻豆腐」の写真が撮れていなくてすいません。噂にたがわず絶品。もっちり感と甘辛い醤油だれもバッチリの相性。
卵ときくらげ入りのお餅(揚げてある?)にごぼうやシメジなどのきのこの餡かけ。もっちりとした食感と上品なダシの味がおいしい。
酢の物。ホタテ・キーウィ・葡萄に甘酢のジュレが載っている。この酢の物、目からうろこ!果物と海鮮を併せて酢の物にしてしまうなんて。想像以上に美味しいんですな。 海鮮グラタン。小さいながらも超クリーミィー。アッツアツのトロットロです。 むかごとクリの炊き込みご飯。少々おこげも入っていてこれまた美味しい。山芋入りの汁物。 デザート好きにはたまりません。右が小豆のアイスとバームクーヘン、自家製と思われる小豆アイスはさっぱりとしていてしつこくない甘さ。左は栗の渋皮煮とりんごのゼリー。どちらも超美味。りんごの風味が生きていて、すりおろしりんごをそのまま食べているような感じ。別腹ここにあり!
朝、部屋からの眺望。 朝食。カサゴの干物(すんごく美味しい)、飛竜頭やこんにゃくの煮物(唐辛子がえらく効いてる)、米茄子の胡麻田楽。 出し巻き卵・きんぴらゴボウ・山椒と鰹節のふりかけ・葉唐辛子の佃煮・湯葉豆腐(旨い!)・石鯛のカルパッチョ(本来なら前日の夕食分っす!) 生ハムと水菜・大根・トマトのサラダ。胡麻風味のドレッシングでいただく。右上は自家製ヨーグルト。イチジクのジャム?入り。


宿名 花季
住所 静岡県伊東市岡75番地32
電話 0557-38-2020
客室数 2
チェックアウト 10:00
食事場所 朝夕:食事処
その他 「おばあちゃんの胡麻豆腐」は通販販売あり
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