あらや滔々庵 (宿情報・感想)

2006/01

北陸・加賀の山代温泉の中心地にある老舗旅館です。
<立地条件・宿の雰囲気>
東京から飛行機で1時間、小松空港から30分ほど、また大阪から特急で2時間半ほどの加賀温泉駅から10分ほど。温泉街の情緒には乏しい街並み。宿の入り口はこじんまりとした玄関ですが、中は落ち着いた全面畳張り。老舗の宿ながらフロントは小さなテーブル(?)があるだけで、調度品もアンティークでいい感じです。サービスの体勢はいわゆる「旅館」、仲居さんが1部屋に1人付いてチェックインからチェックアウトまでお世話してくれます。
街中にあるので眺望や自然を楽しむことはできませんが、思いのほか静かで落ち着けました。
<部屋の雰囲気>
リニューアルによってできた部屋付露天、畳のベッドルームと8畳の和室、4畳ほどの前室、シャワーブース。各部屋は入り口から振り分け式で入れるので使い勝手が良いです。照明は調光器つきで、襖の下部分に明かり取り用の隙間があったり細部に気配りされている感じ。建物は鉄筋の6階建てでしっかりしていることもあるのでしょうが、襖を開閉する時にその造りの良さに感動です。
宿泊した部屋は裏山に面していて、しかも2階ということもあって昼間でも暗いのが残念。天気も晴れているのかわからないくらい・・その分、静かで、また周囲の部屋の音は殆ど聞こえませんでした。
前室にはコルビジェの椅子が二脚。そこに座ってもテレビが見れるわけでもなく、「本でも読んで・・」ということなのか、飾りなのか・・・それでも「和」の世界に上手く「洋」のテイストが盛り込まれている感じ。
<お風呂>
大浴場は時間で男女入れ替わり。脱衣所の棚にカゴが置かれていますが、そのカゴの下には畳が敷かれ、なんだか細かすぎるくらいの気配り・・・。十分に用意されたタオルは、ただ山積ではなく1つずつ丸めて並べられています。その上30分ほどの利用時間の間に2回もタオル交換作業をしていました。
洗い場は五つほどですが、湯船がとても広くてさすがに源泉があるだけあって湯量は豊富です。明るさは無いのになぜか気持ちよい。露天は石風呂、こちらも塀に囲まれていますが、露天より内湯の方がなんとなく良かったです。
部屋露天は小さめですが深さがあって気持ちのよいヒノキ風呂。熱めですので、湯温を確認してから洋服を脱ぎましょう。もちろん源泉かけ流し。シャワーブースはガラス張りですが、足元にすのこが敷き詰められて冷たくなくてとてもよいです。女性用のアメニティは部屋にありません。シャワーキャップ・綿棒などは大浴場にあります。
<食事>
冬の北陸といえばやはり越前カニ。カニのシーズンはこれを目当てに来る方も。通常のコースとは別に「生蟹懐石」というコースがあり料金アップですが、試す価値あり。刺身から鍋まで蟹を堪能できます。係りの方が炭で蟹を焼いてくれますが絶品です。ただし部屋食なのでカニの臭いが部屋に充満しますよ。カニ鍋は私には少々甘いダシの味でした。
朝も部屋で。こちらは・・・まあ普通です。朝食後はコーヒーが出ます!しかもたっぷりの量で。
<その他のサービス>
夕食後は渡り廊下で行く有栖川山荘で、お酒かコーヒーがいただけます。少々お高いですが、しっとりとした雰囲気は是非お試しあれ。
それと湯上り処に小さいビールとシャンパン、水、みかんがありました。
<全体として>
通常のお料理でも露天付の部屋だと4万。カニコースで45000円。かなりのお値段ですが、古いものを守りつつ新しいものを取り入れようとする宿の姿勢や、ちょっとした気配りには感心します。送迎バスでお迎えにきてくれた宿の方はハンチング帽にマフラー姿でしゃれた巻きすだれに「あらや」の文字。他の旅館が旗なのと比べるとそれだけでも「おおっ!」と。送迎バスはワゴン車でしたが、乗り降り用に木の台を出してくれます。長い歴史に基づいたしっかりとした老舗旅館の心意気を十分に感じました。
(2006/01)


あらや入り口。こじんまりとした印象。
向かって左に宿の売店がある。
暗いですが・・・宿のフロントにあたる場所。チェックインは部屋で行うので、ここは呼び鈴があるだけ。でもなんとなくおしゃれかも。 露天風呂付和洋室の洋室部分。ベッドの基礎の部分が木製でその上に低反発マットレス、羽毛の敷布団、ベットパッドという重ね方。寝心地はとてもよかったです。枕は2種類。 同じく和洋室の和室。簡単な床の間ですが、掛け軸の絵はなんとなく歴史を感じる・・・。14インチくらいの液晶テレビを設置。
まどを開けると・・・すぐそこに土の山肌。ゆえに部屋は暗い。
部屋内の洗面所。ガラス張りの向うに、すのこの敷かれたシャワーブース。もう一つガラス張りで、その奥にヒノキの半露天風呂。シャワーブース内の椅子は高くて使いやすい。半露天にはお湯が常にあふれていますが開放感はありません。湯船に入りやすいように台が置かれています。 大浴場の湯上りどころ・・・といっても広い廊下なんですが、そこに置かれたビール。横にはワイングラスとシャンパン、水がありました。 夕食。前菜?大根のなます、こうばこがに(メス)など。 カニさし。花が開いたようになるのは新鮮な証拠とか。それと寒ぶり。
焼き蟹。これはほんの一部ですから。炭火で焼くのでとても香ばしく、係りの方が「レア」の状態で絶妙のタイミングで焼いてくれます。スタートは蟹味噌からでした。ともかく美味しい!ここまで着た甲斐があったというものです。 ゆで蟹(4人前です)。このあとかにすき。シメは雑炊。ちょ〜お腹イッパイです。 デザート。もちろん別腹。メロン、抹茶アイスに小豆、芋羊羹。芋羊羹があっさりとして美味しかったですね。 朝食。名物の温泉卵、ざる豆腐、カマスの干物(ちょっと冷めてた)、焚き合わせ(これはアツアツ)、マグロのこぶ締め、鰊の昆布巻き、そして牛乳。お粥と白飯の両方。そしてたっぷりのコーヒーです。


宿名 あらや滔々庵
住所 石川県加賀市山代温泉湯の曲輪
電話 0761-77-0010
客室数 20
チェックアウト 11:00
食事場所
その他
耳寄り


温泉宿楽