All About 
LET IT BE

完全翻訳に挑戦


曲の要素は、リズムとメロディの2つだと言われますが、歌にはもう1つ大切な要素があります。それは、「歌詞」です。レットイットビーの歌詞の日本語訳はたくさん出回っていますし、「もう知ってるよ」と思われる方もおられるとは思いますが、世間に出まわっている日本語訳の歌詞は、訳者が個性を出そうとするためか、もしくは、日本語にしても詩っぽくしようとするためか、どうも文法を無視しているものが多いです。この美しい曲の中で、ポールが本当に伝えたかったのはどういうことなのか、それを知るために、"Let it be"の歌詞の完全翻訳に挑戦します。

もし、「それは違うんじゃない?」「もっと良い訳があるよ」と言うのがあれば、ご遠慮なく下のリンクの掲示板にてご指摘ください。皆様のお力でより完璧に近い訳を目指したいと思います。



下の要領で記載します。「細かい話はいいから訳だけ見たい」と言う方は「2」へ進んでください。


1. 1行ごとに訳を検討。
2. 全体を通したベストの訳。





1. 1行ごとに訳を検討。

まず、方針です。
@1つの文章には、1つの主語と述語があるので、それらをはっきりさせる。
A修飾語は、何が、何を修飾しているのかをはっきりさせる。
B解釈によって複数の意味にとれる場合は、検討してベストの訳を見つける。
C「詩としての美しさ」より、「意味を完全にとらえること」に重点を置く

では、早速始めます。





主語は赤、述語は青で表示します。この文章では、Mother Maryが主語で、comesが述語です。

1まとめの部分を( )でくくって表します。この文章では、(When I find myself in times of trouble)と(Speaking words of wisdom Let it be)が1つのまとまりです。

@ では、まず、When I find myself in times of trouble から訳しましょう。

When は「〜の時」ということで、Mother Mary comes to me にかかります。

I find myself は、1つずつの単語で訳すと「自分自信を見つける」ということですが、一般的には「気がつけば〜だった」と訳されます。1つポイントなのは、find が過去形ではなく、現在形であるということです。ですので、過去の経験を歌った曲ではありません。

in times of trouble ですが、まず times of は普通に訳せば「〜の時」と言うことですが、timeにsがついて複数形になっています。「時代」と訳すことができ、「困難な時代の中で」と訳せます。もう1つ、times of は a lot of のように「多くの」という意味もあります。したがって「多くの困難の中で」とも訳せます。しかし、trouble が単数形なので、多くの困難(もしそうなら複数形になるはず)ではなく、「困難な時代の中で」の方が良いと考えられます。また、単に in time(s) of で、「〜の時に」と訳すこともできます。こちらでも良いと思いますが、次の行に hour (時代)が出てきますので、対になっていると考えて一応「時代」と訳しておきます。

全体を通しての訳は、「気がつけば困難な時代にいる時に」となります。

A 次にMother Mary comes to me で、この文章のメインの部分です。

まず、Mother Mary ですが、2つの説があります。1つは、「聖母マリア」、もう1つはポールの「母親のマリア」です。最近は「母親のマリア」の方を採用している訳が多いです。なぜならポールがインタビューで「僕の母親のことを歌った歌なんだ」と答えたらしく、「作った本人がそう言うならそうなんだろう」と言うことだと思います。しかし一般的には、ポールのインタビューを知っている人は少なく、この曲を聞いた人は「聖母マリア」のことだと思うのではないでしょうか。曲が作者の説明をぶら下げて存在している訳ではないので、「聖母マリア」の方が好ましいと考えられます。ポールのインタビューは、この曲が宗教(キリスト教)のことを歌った歌ですかという質問に対してなされたものであり、特定の宗教の歌ではないという言い訳としてあらかじめ考えられていたものではないかと思われます。恐らくポールも曲を聞いた人は全員「聖母マリア」を連想すると思っていた考えられます。アンソロジーのDVDの中(ボートに乗って焚き火をする辺り)で、ポールは1つの言葉で2つの意味がある言葉が好きで「Please please me」のような曲を作ったと言っていました(please には、「どうぞ」と言う意味と「喜ばす」という動詞の意味があり、「どうぞ私を喜ばせて」と言う意味です)。このMother Mary もそんな感じのポールのいたずらだったような気がします。そう言う意味では両方の意味があったのでしょうね。しかし、どちらか1つを選ぶのなら「聖母マリア」です。

もう1つ「Let it be」とMother Mary には関係があります。それは「Let it be」は聖書で、聖母マリアの言葉として書かれています。イギリス人が聖書をどの程度記憶しているのかは私には想像できませんが、聖書にちなんだ様々な映画や小説が作られていることと「Let it be」が受胎告知というキリスト教にとって重要なシーンで語られていることを考えると、少なからぬ人が、「Let it be」とMother Mary を関連づけて考えるのではないでしょうか。聖書のことに関しては、もう少し後で詳しく書きますが、このことからも「聖母マリア」の方が訳として良いと考えます。

以上より、Mother Mary comes to me は、「聖母マリアが私のところに来る」と訳せます。ここでもポイントなのが、comes が現在形ということです。従って、「やってきた」という過去の経験ではなく、どちらかと言うと「〜な時は(いつでも)、聖母マリアがやってくる」というような感じの意味になります。

B Speaking words of wisdom Let it be です。

まず、Speaking のS が大文字になっているので、別の文章のように見えますが、文法上、前の文章につながっていると考えられます。大文字なのは、「詩」として行を分けるためではないかと考えられます。 Speaking は現在分詞で「〜しながら」という意味になります。つまり「しゃべりながら」です。Speakによく似た言葉に、talk(話す) などがありますが、Speakは、Speak lark(おしゃべりヒバリ)と言うように、声に出して(どちらかというと)うるさくしゃべるという感じの意味です。「聖母マリアが(うるさく)おしゃべりしながら」と言うのはどうも納得いきませんが、これについても後で考えます。

words of wisdom は、「知恵の言葉」です。Let it be と words of wisdomの関係はイコールであると考えられます。つまり「知恵の言葉 すなわち Let it be としゃべりながら」と言うことです。ここでも Let が大文字ですが、前の文章に続いていると考えられます。もしくは聖母マリアがしゃべった言葉として "Let it be" という感じなのかもしれません。

さて、Let it be ですが、一般的には「なすがままに」とか「あるがままに」と訳されています。これについて考えてみたいと思います。

まず、let ですが使役動詞と言って「〜させる」という意味があります。例えば let him go「彼に行かせる」です。よく似た言葉に make があります。make も「〜させる」という意味がありますが、make は「相手の意思には関係無く〜させる」と言う意味で、例えば「お使いに行かせる」「試験を受けさせる」みたいな場合に使います。一方でlet は「相手がそうしたいと言うからそうさせてあげる」というような意味があり「承認する」ような感じです。let him go なら「彼が行きたいと言うので行かせてあげる」と言う感じです。これが make him go なら「彼がどう思っていようと行かせる」という感じになります。そして、Let it be には主語がありません。つまりこれは命令文です。従って「〜させてあげなさい」と言うような意味になります。

次に it です。「それ」ですが、残念ながら「それ」が指すものがそれまでの文中に見つかりません。あえて探すならtrouble かtimes of trouble です。times は「時代」という意味にとった場合であっても、形式的には複数形なので it(単数形)で表せるかどうか疑問です。troubleという可能性も捨てきれませんが、単に「困難な時代」と「時代」を修飾するだけの言葉に、こんな役目を負わせて良いのだろうか疑問です。むしろ一般的に「事態とか状況」とかそういうものを表しているのではないかと思います。

be は、「ある、存在する」です。つまりぎこちないですが、Let it be 全体を忠実に訳すと「それ(事態・状況)を存在させてあげなさい」ということになります。なんのこっちゃ!?

参考の為に、聖書の言葉とその訳を見てみましょう。

聖書のルカによる福音書1-38には、「Then Mary said, "Behold the maidservant of the Load! Let it be to me according to your word". =そこでマリヤが言った。「私は主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」とあります。



これは、マリア(=マリヤ)の前に天使が現れ、キリストを身ごもったことを告げる受胎告知のシーンで、その天使の言葉に対して言われたものです。maidservant は「はしため」と訳されていますが、(女の子の)お手伝いのことです。そして、Let it be は、「あなた(天使)の言葉に従って(according)、it(=キリストを身ごもること)があります(be)ように(let)」という意味です。

聖書の中のマリアの言葉では受胎告知と言う状況が判っているので、it が何を指すのか理解できます。それが困難な時代にいるポールに言われた言葉としては、どう考えればいいのか。あえて言葉を探すなら「そのままにしておきなさい」でしょうか。it が訳されていませんけど・・・。Let it be  という言葉は曲の中で何回も登場します。それぞれ状況が違うので、全てに共通するit の訳を見つけるのは無理があると思います。従って残念ですが、「そのままにしておきなさい」を採用します。その意味は「それを(今)あるようにさせてあげなさい」という意味です。

ちなみに、「なすがままに」と言うのは良い言葉ですが、自分の力を抜いて事態の進展に身を任せると言うような意味になってしまい、「それ」を「そうさせなさい」という命令文とは少し違うようなニュアンスになってしまいますので採用しません。

やっと1文が終りました。

ここまでの訳を総合すると「私が困難な時代の中にいる時には、聖母マリアが知恵の言葉「そのままにしておきなさい」としゃべりながら私のところにやってくる」です。



@And =そして

Ain my hour of darkness

hourですが一般的には「時間」と訳されます。他に「時代」という意味もあります。意味から言って「時代」の方が良いと考えます。おそらく、前の文章の「times(時代)」と対になっているのでしょうね。従って、全体としては「私の暗闇の時代の中で」となりShe is standing にかかっています。

BShe is standing

この文章のメインの部分です。「彼女は立っている」(現在進行形)です。「彼女」なもちろん「聖母マリア」です。ここでも過去形ではなく、現在(進行形)が使われています。歌っているポールの目の前に正に立っているのでしょうね。

Cright in front of me

right は justと同じ意味で「ちょうど」。 in front of me は、私の正面。両方で「私のちょうど正面に」。

CSpeaking words of wisdom Let it be

これも前と同じく、現在分詞で、前の文章(She is standing )を修飾しています。「知恵の言葉「そのままにしておきなさい」としゃべりながら」。

全体としては、「私の暗闇の時代の中で、彼女は、知恵の言葉「そのままにしておきなさい」としゃべりながら私の真正面に立っている」。ちなみに、文章が現在進行形ということは、ポールがまさに今「暗闇の時代の中にいる」ということを副次的に表していますね。ビートルズのマネージャーが死んで、財産管理のことでもめていましたからねぇ、この頃。正に暗闇の時代の中にいたポールが作り出した曲ということになります。



まず、 Let it be ×4回ですが、これは命令文です。さて、誰から誰に対する命令でしょうか。

@聖母マリア→ポール
Aポール→聖母マリア
Bポール→曲を聞いている人

Aは、ポールが聖母マリアに命令することがあるのか? と思われる方も多いと思いますが、英語には敬語が無いため、偉い人に対しても命令文です。「God, be with you」(神よあなたと共に)なんて、思いっきり神様に対する命令文です。

しかし、前の文章の続きから言って、@だと思われます。曲の最初のLet it beも2回目のLet it beも聖母マリアがポールに言う言葉です。曲を聴きなおすとこの部分は、聖母マリアが言うように(もしくはポールが聞こえるように)"Let it be"と歌っているように思えます。このLet it be ×4回も同様に聖母マリアがポールに言う言葉だと考えるのが筋です。

ここで思い出されるのが「Speaking(=おしゃべりしながら)」です。単に一言「Let it be」と言うだけでなく、何回も(歌うように)Let it be と聖母マリアが言う と言うことでしょう。ここで Speakingの意味がわかります。「おしゃべりする」と訳しましたが、このLet it be ×4回のように歌うように何度も言う(おしゃべりする)と言うことでしょう。つまり、聖母マリアがポールに言う言葉を「こう言う風に言うんだよ」とポールが復唱している言葉 ということになります。

次にWhisper words of wisdom Let it be です。Whisper はささやく。Speaking と同様に「ささやきながら」と訳される場合がありますが、これは明らかに間違えです。なぜならSpeaking は、ing がついた現在分詞、Whisperは、動詞の原型ですので、命令文です。

では、誰から誰に対する命令文でしょうか。

@聖母マリア→ポール
Aポール→聖母マリア
Bポール→曲を聞いている人

Aだと面白いですね。聖母マリアが声に出して(うるさく)おしゃべりするから「ささやきなさい」とポールがマリアに言う・・・なんて言うのは冗談です。実はこう言う風に訳してあるものもあります。「知恵ある言葉をささやくんだ なすがままに」と言うのはAと考えているのでしょう。Bかもしれません。Bもありえなくないです。でも流れから言って、@でしょう。つまりここまで全てが聖母マリアからポールに言われた言葉ということになります。

この部分の訳は、以下のようになります。

「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「知恵ある言葉「そのままにしておきなさい」をささやきなさい」



この部分も誤訳や文法を無視した訳が多いですね。

@And when the broken hearted people Living in the world agree

And=そして、

when 「〜の時」

the broken hearted people =壊れた心の人々。hearted は、「〜の心を持った」という形容詞です。heatbrokenと言う単語もあって「悲しみにうちひしがれた」という意味です。broken heart で失恋したと言う意味もあるため(確かHeatbroken Hotel というエルビスプレスリーの曲もあります)、失恋した人々と訳されることもありますが、失恋に限らず、一般的に「悲しみにうちひしがれた人々」で良いと思います。で、このpeople がwhen で始まる( )内の文章の主語です。

Living in the world はpeolpleにかかる修飾です(現在分詞)。「世界に住んでいる→人々」 と言う感じです。 living の原型liveには「住んでいる」以外に「生きている」という意味もあります。

agree 「合意する・同意する・賛成する」という意味で、peopleの述語です。何に合意するのか。書いていません。ちょっと文法的にはおかしいですが、「答えがあると同意する時」というような意味ではないかと推測します。

全体では、「この世に生きている悲しみにうちひしがれた人々が同意する時」という意味になります。

AThere will be an answer Let it be

will がありますので、未来形です。自分(I)が主語ではない場合には、「〜だろう」と訳します。ここでも、an answer = Let it be で、「Let it be という答えがあるだろう」ということになります。

通して訳すと、「この世に生きている悲しみにうちひしがれた人々が同意する時、「そのままにしておきなさい」という答えがあるだろう」と言うことになります。



ここも訳しにくい部分です。

@For though they may be parted

For をきっちり訳してある訳は見たことがないですね。「〜と言うのは、〜だから」という理由を表している言葉だと考えています。For は、For though they may be parted There is still a chance that they will see まで全てにかかっていると考えられます。

though も訳すのが難しいですね。「〜だけれども」で、これは though they may be parted までかかっていると考えられます。

be parted は受身。「彼らが分かれさせられる」で、may があるので、「かも知れない」。ここまでが though にかかかって「〜けれども」。

AThere is still a chance that they will see

that they will see のthat は、関係代名詞で、chance にかかっています。

see は「判る」という意味もあり、こう言う風に訳してあるものもありますが、すぐ前に parted(=分かれる)があるので、「会う」と訳すのが普通だと思います。

全体では、「まだ彼らが会うチャンスがあるであろう」ということになります。ここまでが For にかかります。

BThere will be an answer Let it be

これは、「5」のAと同じです。

全体では、「彼らは分かれさせられるかも知れないが、まだ彼らが会うチャンスがあるであろうから、「そのままにしておきなさい」という答えがあるだろう」と言うことになります。

この2番の部分、つまり「5」と「6」は、いったい何のことを言っているのでしょうか。ビートルズが解散した今では、「悲しみにうちひしがれたビートルズが同意したら、答えはあるだろう。ビートルズが解散してもまた会うチャンスはある」と言うような意味にとれますが、当時はビートルズは解散するつもりはなく(事実その後に「Abbey Road」を発表しています)、ビートルズのことを歌ったとは考えにくいです。もし、ビートルズのことを歌ったのだとしたら、先読みがすごいです(ポールはニュータイプか!?)。しかし、一般論(特に何ということはなく一般的な状況として書かれた)としては、「意味深」過ぎます。一般論に当時うまくいっていなかったビートルズの状況を重ねたのかもしれません。



@さて、このLet it be ×4回は、誰から誰に対する命令文でしょうか。2番では聖母マリアは登場してきていません。すると、Bポール→曲を聞いている人? と言う気もします。しかし、Let it be という言葉をきっかけに1番で歌われた聖母マリアの言葉がよみがえってくると言うような気がします。実際に1番と2番の旋律(メロディー)が同じなので、聖母マリアの言葉と考えるのが良いのではないかと思います。

A では、there will be an answer Let it be は? これまでの部分(「5」と「6」)はポールの言葉でしたが、ここでは、全体的に聖母マリアの言葉と言う気もします。つまり、聖母マリアの言葉は、「Let it be」、「Whisper words of wisdom」と 「there will be an answer」の3種類と言うことになります。



ここでも聖母マリアは出てきませんが、これも聖母マリアの言葉と考えられます。





繰り返しです。ちなみに間奏より後には「Let it be」の後で、1オクターブ上げて「eee」と長く伸ばしますが、これにどう言う意味があるのかは、よく判りません。単に雰囲気的なものでしょうか。





さて、3番の文章は、レコーディングの当日(1969.1.31)、ポールが考えたものです。それまでは違う歌詞や1番の歌詞を繰り返して歌われていました。

@And when the night is cloudy

これも、when (〜の時)に包まれた1かたまりです。「夜が曇っている時」。

AThere is still a light that shines on me

still は「まだ」

that shines on me のthat は、関係代名詞で、light にかかります。私は長い間この that を無視していました。この関係代名詞は省略ができて、なくても何も問題がないからです。歌うときにも無視していましたが、今回曲を聞いて、ポールがはっきりと that と歌っているのが印象的でした。3番の歌詞ができてから歌われたのは、take27(A)とtake27(B)の2テイクだけですが、いずれでもはっきりと歌われています。特にtke27(B)の方がはっきりと歌われています。take27(B)は、映画やプロモーションビデオに使用されています。NAKEDの「let it be」はこの2つのテイクをミックスして作られていますが、ここの部分はtake27(B)が使われていますので、是非聞き比べてみてください。

shines on me ですが、ポールのコンサートで上に手を上げているシーンがありますので、「上の方の光」という感じがしますが、on は above と違って「接している」上と言うことですので、「私の体の上(表面)を照らす光」ということになります。全体では、「まだ私を照らす光がある」です。

BShine until tomorrow Let it be

この部分は、これまでの部分とは切れて1つの文章です。主語がなく、動詞が原型なのでこれも命令文です。Shine until tomorrow は「明日まで輝け」と言うことになります。当然、「光」に対してなされた命令と言うことです。

その次の Let it be は何でしょうか。今までは、words とか answer とか、Let it be とイコールの言葉がありましたが、ここにはなく、突然 Let it be が出てきます。1番、2番では Let it be があるところですので、特に意味も無く、Let it be が入ってきたと考えるのが妥当ではないかと思います。

ここまでの訳は、「夜が曇っている時、まだ私を照らす光がある。明日まで輝け。「そのままにしておきなさい」」と言うことになります。「光」を、Let it be の it ととらえて、「光をそのままにしておきなさい」と言う風に訳しているものもありますが、そこまで考えられていたとは思えません。



@ I wake up to the sound of music

この部分ですが、私は1番(「2」)と同じように、when がついていると思ったのですが、歌詞カードにはなく、実際にポールもwhen とは歌っていません。ですので、次の文章の修飾ではありません。1つの独立した文章です。ですので、仕方なく、I wake up to the sound of music と Mother Mary comes to me Speaking words of wisdom Let it be は2つの文章とします。

wake up は「目覚める」で sound of music は、「音楽の音」ですが、to はどう言う意味でしょうか。「音楽に目覚める」、つまり、「音楽を知らなかったポールが音楽に目覚める」でしょうか、それとも「音楽を聴きながら目がさめる(起きる)」と言う意味でしょうか。これは難しいです。

ポイントは、「現在形」ということです。つまり、もし「音楽を聴きながら目がさめた(起きた)」と言うことであれば、「今日の朝」とか「昨日の朝」と言うことで過去形になっていると思います。そうなっていないと言うことは、「音楽に目覚める」という意味に解釈するのが良いのではないかと思います。

もう1点。sound of music と言えば、有名な映画があります。母親を亡くし、厳格な父親に育てられた音楽を知らない子供たちに修道女が音楽の楽しさを教える映画で、当然ポールも sound of music と言えばこの映画を思い出し、曲を聞く人も思い出すだろうと考えたはずです。こういうことからも、 wake up to は、「音楽(の良さ)に目覚める」という訳が良いかと思います。

ちなみに、sound は、1つ1つの音(例えば「ぶつかった音」とかも sound です)、music は、メロディ−がある音楽です。

全体の文章の訳としては、「私が音楽の音に目覚める」。残念ながら、「when」がないため、「〜時」ではありません(しかし、気分的には「〜時」でしょうね。

AMother Mary comes to me 

これは、そのままですね。私が昔持っていたシングルレコードの歌詞カードには、「Mother Mary close to me」(聖母マリアが近くにいる、もしくは、聖母マリアが(閉じて)行ってしまう)というのがありました。意味的には、「困っているときには現れて、・・・音楽に目覚めたら行ってしまう」 というのがストーリーがあって良いと思うのですが、残念ながら明らかに「comes」と歌っています。

BSpeaking words of wisdom Let it be

これも、前の繰り返しと同じです。現在分詞で、comesにかかります。







これらは繰り返しです。全て聖母マリアがポールにしゃべる言葉を聞こえるようにポールが歌っているということになります。




2. 全体を通したベストの訳。

 
歌詞
龍桂訳
前奏 前奏

When I find myself in times of trouble 
Mother Mary comes to me 
Speaking words of wisdom Let it be


私が困難な時代の中にいる時には、聖母マリアが知恵の言葉「そのままにしておきなさい」としゃべりながら私のところにやってくる。

And in my hour of darkness 
She is standing right in front of me 
Speaking words of wisdom Let it be


そして、私の暗闇の時代の中で、彼女は、知恵の言葉「そのままにしておきなさい」としゃべりながら私の真正面に立っている。
Let it be, let it be 
Let it be, let it be 
Whisper words of wisdom Let it be
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「知恵ある言葉「そのままにしておきなさい」をささやきなさい」

And when the broken hearted people 
Living in the world agree 
There will be an answer Let it be


そして、この世に生きている悲しみにうちひしがれた人々が同意する時、「そのままにしておきなさい」という答えがあるだろう。

For though they may be parted 
There is still a chance that they will see 
There will be an answer Let it be


彼らは分かれさせられるかも知れないが、まだ彼らが会うチャンスがあるであろうから、「そのままにしておきなさい」という答えがあるだろう。
Let it be, let it be 
Let it be, let it be (yeah),
there will be an answer Let it be
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「「そのままにしておきなさい」という答えがあるであろう」
Let it be, let it be 
Let it be, let it be 
Whisper words of wisdom Let it be
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「知恵ある言葉「そのままにしておきなさい」をささやきなさい」
間奏 間奏
10 Let it be, let it be 
Let it be, (yeah) let it be 
Whisper words of wisdom Let it be
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「知恵ある言葉「そのままにしておきなさい」をささやきなさい」
11
And when the night is cloudy 
There is still a light that shines on me 
Shine until tomorrow Let it be


そして、夜が曇っている時、まだ私を照らす光がある。
明日まで輝け。「そのままにしておきなさい」
12
I wake up to the sound of music 
Mother Mary comes to me 
Speaking words of wisdom Let it be


私が音楽の音に目覚める。
聖母マリアが知恵の言葉「そのままにしておきなさい」としゃべりながら私のところにやってくる。
13 Let it be, let it be 
Let it be (yeah), let it be 
(oh)There will be an answer Let it be
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「「そのままにしておきなさい」という答えがあるであろう」
14 (シングル・バージョンにはこの部分はありません)
Let it be, let it be 
Let it be (yeah), let it be 
(oh)There will be an answer Let it be
(シングル・バージョンにはこの部分はありません)
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「「そのままにしておきなさい」という答えがあるであろう」
15 Let it be, let it be 
Let it be (yeah), let it be 
Whisper words of wisdom Let it be
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「知恵ある言葉「そのままにしておきなさい」をささやきなさい」


映画「LET IT BE」やアンソロジーや「LET IT BE・・・NAKED」のプロモーションフィルムの中には、少し違った歌詞のものがあります。これは、アルバム・バージョンやシングル・バージョンがtake27(A) というテイクを元につくれらたのですが、映画やプロモーションフィルムは、その直後に録音されたtake27(B)が使われているためです(一部分はtake24が使われています)。take27(A)とtake27(B)の2つのテイクは続けて録音されていますが、ポールが少し歌詞を変えて歌っています。それまでのテイク(take20〜take26)の中でも(3番の歌詞がまだできていなくて違うということを除いても)歌詞が違う部分があり、この曲「let it be」に関しては、確固とした歌詞がなく、かなり行き当たりばったりだったように感じます。ちなみに sorrow は、そのすぐ前の歌詞で出てくる tomorrow と韻を踏んでいると思われますので、take27(B)を歌っている途中で、ポールがとっさに思いついて歌詞を変えたという可能性が高いです。

12-2
I wake up to the sound of music 
Mother Mary comes to me 
there will be no sorrow Let it be


私が音楽の音に目覚める。
聖母マリアが私のところにやってくる。
「悲しみはなくなるでしょう」
「そのままにしておきなさい」
13-2 Let it be, let it be (Yeah) 
Let it be, let it be 
there will be no sorrow Let it be 
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「そのままにしておきなさい」
「悲しみはなくなるでしょう」「そのままにしておきなさい」



最後に、

このページを作成するにあたって改めて、何度も曲を聴き返しました。オリジナルの録音は、アルバムバージョンやシングルバージョンより少しテンポが遅く、ポールが1つ1つの言葉をかみ締めながら歌っているようです。また、take20〜take27までいくつかのテイクがありますが(不完全なものもあります)、take27(A)と(B)は明らかにそれまでとは違って「本気モード」で歌っています。ポールが歌詞をひねり出し、かみ締めるように歌った「Let it be」の本当の意味に少しでも近づくことができたのであれば幸いです。

アルバム「LET IT BE」では、曲「Let it be」が流れた後、その神聖な雰囲気をぶち壊すために、「Maggie Mae」が流れるのだそうです(もっとも、この順番を決めたのはビートルズ自身ではないでしょうが)。私も、これに従いたいと思います。



「なすがままなら きゅうりはパパさ」 (天才バカボンのエンディングより)








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