◆女子高生とは誰なのか 2004.1.2
   

 たとえば、あるケイタイ小説が女子高生に人気だという。
 だが、その場合の「女子高生」とは誰なのか。どんな女子高生なのか。
 少し前なら、女子高生といえば共通のイメージがあった。森伸之の『女子高制服図鑑』が発刊されたのも、受け手である人たちの中に、女子高生という共通のイメージがあったからだ。だが、今は女子高生といっても唯一無二のイメージというのがない。「女子高生」とは、渋谷界隈で深夜遅くまで残り、もはや少女の名残を留めていない、ひたすら動物に近づいた子たちのことなのか。それとも、池袋界隈に見られる、文明と快楽にひたってしまった子たちなのか。それとも、元気で、でも若くて感情の振幅が激しくて、自分に自信がなくて、という以前から大人たちが口にする「女子高生」のことなのか。
 女子高生のイメージは、現在割れている。統一した女子高生というイメージは、もはや存在していまい。
 家族の話でいえば、今は標準的な家族というのを思い浮かべるのが難しい時代だという。20〜30年前なら、標準的な家族といえば、父がいて母がいて子が2人いて……、とだいたい概観を描きだすことができた。だが、今は4人家族の比率は下がり、標準的な家族を一枚絵として見せるのが難しい。
 女子高生にしても、同様だ。今は、女子高生というひとつのイメージはない。いろんな女子高生たち、いろんな女子高生群がいて、どのグループの女子高生かによってイメージが変わっている。女子高生とは、すでに幾つかに分裂したイメージ群でしかないのだ。

   

タイトル一覧に戻る
トップページに戻る