◆WEB日記の問題 2004.1.2
   

 本来、日記というのは徹底して個人的なものだ。日記の読者というのは自分しかいない。そもそも、自分以外の他人から見られることを想定してはいない。原則的には、読み手は書き手ただ一人の世界なのである。
 だから、手書きで行なう個人の日記というのは、何の説明もなしに用語が飛び出し、事件が飛び出し、個人名が飛び出し、勝手に完結する。個人が個人のために書いて、個人が読むわけだから、取り止めのない考えをただ書きなぐったものであっても、論理的に破綻していても、一向に構わない。それはすべて、本来日記というものが、書き手だけが読むために書かれているからだ。
 だが、ネットという半公共の場ではどうか。
 ネットの日記は、書き手だけが読むためのものではない。書き手以外の者たちも読む。そういう場所では、手書きの日記と同じというわけにはいかないだろう。
 何の説明もなしに用語が飛び出し、勝手に論理が完結する。十分な説明もない。それでは、半公共という場を使ってものを書く理由が見つからない。近況や新刊の告知、あるいは自分が食べ歩いたものの紹介ということならば十分意味はあるし、自分はそういうものは好きだけれども、自分以外の人間に読まれることも自分の以外の人間に伝わることも意識せず書いた、プロの物書きの日記──ただ何をしただのどう考えただのしか書いていない、初心者的な日記──には、疑問を感じてしまう。プロの物書きが文字にする必要のないことを文字にしてどうするんだろうと、手書きの日記を18年間つづけている自分は糞真面目に考えてしまうのである。

   

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