◆しゃんとする理由 2004.1.2
   

 以前、TBSが放映したテレビ番組によると、人間の脳は、脳幹、大脳辺縁系、大脳新皮質の3つの部分から成り立っているという。
 脳幹しかない魚の場合、エサらしきものが浮かんでいると口に咥え込み、そこで初めてエサでないと気づいて放り出す。
 大脳辺縁系まで備えている猫の場合、事前にエサかどうかを察知することができるばかりか、好き嫌いに応じてエサを選択することができる。
 大脳新皮質まで備えているチンパンジーの場合、エサを与えられると、今食べていいのかどうかを考えることも、また、今食べることを我慢することもできる。我慢させること、そしてそれをほめることによって大脳新皮質の発達が促進され、自分を律することができるようになるというのだ。
 そして、ここに恐らく躾(しつけ)が必要な理由がある。
 躾というのが基本的に我慢を強いるものだとすれば、幼少の頃に我慢を覚えさせられることで、子供は自分の律し方を覚えていくのだろう。それを「かわいそうだ」とか「自由を奪う」と都合のいい理屈をつけて放任すれば、歯止めの利かない子供、自分を律することのできない子を生み出してしまう。駅前や電車内で「地べたに座るな」と言うのも、それを我慢しないでいると、どんどん野放図に、だらしない方向に流れていって、自分を律することができない子供になってしまうからだ。自分を律することができない人間は、組織で自分を律することもできない。社会人として機能できない。なんでも好き放題やっていると、脳味噌としては人間ではなく、ただ好き嫌いだけで判断する猫と変わらない人間──人間というより動物に近い存在──になってしまうのではないのか。
 自分はフリーターをやるから、といっても、所詮組織の中でのフリーター。自分を律することができなければ、30、40と生きていくことはできない。いつまでたっても人間レベルではなく、猫レベルなのだ。

   

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