◆クレームの技術 2001.5.09
   
 メーカーに対してクレームをつけるときの鉄則がある。
 攻撃的になってはいけない。
「あんたのせいや! どないしてくれるんや!」なんて罵るのは、もっての外。「あんたのところ、一体どうなってんの!」なんていきなり感情的になるのも御法度。
 決して攻撃的にならないこと。
 これがクレームをつけるときの鉄則だ。
 大学生の時に、自分も失敗したことがある。
 注文したのとは別のものを送りつけてきたので、徹頭徹尾攻撃口調の辛辣なはがきを送ったのだ。結果、電話は来たが、相手の対応はどこか冷やかでぎこちなく、なんだか自分が勇み足みたいですっきりしなかった。間違ったのは向こうやのに、なんで? と悶々としていたものだ。
 でも、今思えば、当然のことだったのだ。
 メーカーも、人である。
 クレームを受ける人は、間違いなく人だ。コンピューターが勝手に電話をかけてコンピューターがお客の応対をして問題を解決するわけではない。
 人である。 
 人が応対して問題を解決するのだ。そして、そこがミソなのだ。
 人には、感情というものがある。
 いくら自分たちに責任があっても、いきなり罵られたり攻撃されたのでは気分がいいはずがない。気分がよくないのに、心から対応してくれるだろうか。メーカーの義務として責任は果たすが、果たして誠意を尽くして対応してくれるかどうか。
 そのお客様のために何とかしてあげようとは、本心から思わないだろう。
 攻撃は攻撃を呼ぶ。
 いくら自分の立場が強いからといって、そこで傲慢になってはいけない。むしろ、謙虚になりたい。
 たとえば、楽しみにしていたんだけどこんなふうになってしまって残念だ、悲しい……などと、できるだけ落ち着いた口調で話す。決して攻撃性を出さず、落ち着いた口調で訴える。一方的に責めたてるのではなく、クレームを受けなければいけない相手のことも思いやる。
 その方が、相手には伝わるし、クレームを受けた相手も問題を解決しようという気になる。自分の場合で恐縮だが、アンケートはがきでも、凄く丁寧な口調で「〜が残念だった」なんて書かれると胸に響いた。次こそはしっかりしようという気になったものだ。
 自分の意見が反映されることを望むのであるならば、相手を思いやってクレームをつけること。
 決して声を荒らげたり強圧的になったりしないこと。
 落ち着いた声で、落ち着いた口調で、相手を思いやること。クレームをつける時には、それを忘れずにいたいものだ。
   

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