◆芸能人の学芸会 2000.5.29

 ゆうべ、久しぶりにドラマを見た。
『サラリーマン金太郎2』。
 本宮ひろ志原作の大ヒットコミックだ。映画にもなっているらしい。

 が。

 最近はまずいものが受けているらしい。あまりのレベルの低さ、不自然さ、芝居くささ、うそくささに呆れ返ってしまったよ。

 紋切り型の台詞。
 紋切り型の反応。
 紋切り型の演出。

 あのねえ。電話してていきなり驚いて立ち上がるはないだろう。そんなことする人、見たことないよ。立ち上がるには腰に力もいるし、立ち上がる準備もいるんだからさ。
 尻にたばこの火がつきましたとか、ムカデが動いていました、なんてことじゃないと、人間、座っている状態から立ち上がりません。
 電話中、驚いたときは上半身を突き出す――前かがみになるのが普通のパターンです。にもかかわらず「なんだって!」と高知東生が叫んで立ち上がったときには、もう腹を抱えて笑いましたよ。
 陳腐、陳腐。
 どうやったらあんなコミカルな演出、コミカルなシナリオが書けるんだろう。

 おまけに、穂坂の癖のある言い方。
 普通の人はあんな言い方しませんぜ。あの言い方を指示した人が誰だか知りませんが、なぜわざと抑揚つけるかな。それが演技だと思っていんのかね。厭味な抑揚って、実生活ではきわめてまれで不自然で、フィクションの中にしか存在しないうそだってことが、わかってないのかな。
 人間というものに対する観察眼があまりにもなさすぎる。意識が低すぎる。

 ドラマが決して資金的に恵まれていないことは聞いたことがある。それなりの事情はあるのだろう。でも、自分が問題にしているのは、それとは別のことだ。
 人間を描く意識の低さ。
 まるで高校の学芸会レベル。芸能人で芝居っぽいことをして役者気分にひたりましょう。お〜〜っ。
 そんな感じにしか見えない。高校時代も自主制作映画や演劇があったが、それとどこが次元が違うのか。TBS高校の文化祭。フジ高校の文化祭。ただプログラムが夜で、校舎で上映するのではなく、電波で流しているだけではないか。

 すべてのテレビドラマがつまらないわけじゃない。君塚良一氏の少年犯罪をテーマにしたドラマ『チーム』は、キャラクターがしっかり個性が立っていて、それぞれのキャラに対して人間的な統一性があった。
 でも。
 なかには、果てしなくレベルの低いものがある。チープな台詞、チープな演出。安っぽいドラマでやっていた言い回しや演出をそのまま使って出来上がったような、これまたチープなドラマ。
 不快感を感じるのは、自分だけなのだろうか。

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