◆受験数学とシナリオの関係 2000.3.30
受験数学は役に立たない。
勉強嫌いや評論家がよく口にする台詞だ。確かに、文系の人間が微分積分を計算して何に使うんだ、という気はする。しかし、ことがゲームのシナリオとなると、違う。受験数学が必要となってくるのだ。
なに?
シナリオを書くときに行列やるのか?
まさか。
シナリオに行列の計算が必要のはずがない。しかし、SLGやマルチシナリオを書くとなると、受験数学でよく使うテクニックが必要になるのだ。
すなわち、場合分けである。
場合分けというのは、微分や積分で面積を求めるときに、よく使う技術だ。
X座標がマイナスからプラスの領域にまたがっているとき、おまけにY座標もマイナスからプラスの領域をカバーしているとき、一気に計算しようとすると、マイナスとプラスが相殺されておかしなことになってしまう。
それで、X座標がマイナスのときと、X座標がプラスのときに分けて面積を計算するのだ。
ゲームのシナリオでも、この思考に近いことが行われる。
たとえば、SLGのメッセージ。
好感度によって、毎朝起こしにやってくるリリスの台詞が変わる場合。
F100(リリスの好感度)が5未満の場合
【 リリス 】「ご主人様朝ですぅ、起きるですぅ」
F100(リリスの好感度)が5以上の場合
【 リリス 】「ご主人様〜〜〜っ、朝ですぅ、起きないとおっぱいでむにむにするですぅ〜〜〜っ」
この場合、好感度が5以上か5未満かで、2つに台詞を場合分けしている。この場合分けが出来なければ、ゲームのシナリオなんて書けないと言っても過言ではない。
なぜって?
RPG。
SLG。
マルチシナリオ。
すべて、場合分けの思考が必要なのだ。でなければ、アイテムを持っているときと持っていないときの台詞の違いは、どうやって区別するのだ? フラグによる分岐は?
受験数学は役に立たない。
よく人はそう言う。けれども、受験数学で使う頭の働かし方、思考技術は、決して無用なものではない。少なくとも、ゲームのシナリオには、最低限必要なものなのだ。
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