◆自己防衛 99.11.9
「おれ、頭アホやねん」
「英語弱いから」
「漢字苦手やから」
よく聞く言葉だ。
言われるたびに「そんなことないよ」と周りは慰めることになるのだが、自分の弱点を口にした本人、ほんとうに自覚しているのだろうか。
英語弱いねん。
言うのはいい。でも、そう言うやつに限って英語の辞書を引かない。
弱いのなら、引くのが当たり前ではないのか?
漢字苦手やから。
言うのは大いに結構。でも、漢字が弱いくせに当てずっぽうで書く輩が多い。
本当に、自分の欠点認識してんのかね、と言いたくなる。
恐らく、していないのだろう。弱点を突かれるといやだから、自分のアイデンティティが弱まるから、他人に言われる前に「弱いねん」と先に言って防衛線を張っているだけなのだ。つまり、単なる自己防衛。弱いから克服しよう、なんて考えてはいない。
同じことが「もてへんねん」にも言える。
自分がもてないと言うのは構わない。が、もてないと言うのなら、もてるように努力しているのか。
ほとんどの人がNOだ。努力などしていない。もてないことが自分にとって傷だから、自分のアイデンティティを弱めるポイントだから、人に指摘される前に自分で口にして「傷つけないでね」と自己防衛しているだけなのだ。
英語が苦手、漢字が弱い、女にもてない――。弱点があるのはつらいことや。自分も数学苦手やったし、それで第一志望落っこちたから、ようわかる。中学高校大学ともてへんかったもんな。
けどな。
自分で傷をなめてどうすんねん。弱点やったら、傷やったら、治さへんでどうすんねん。精神の傷、精神の弱点は、放っておいても治るものやない。自己修復してくれる肉体とは違う。
弱点など口にしないこと。
口にするのなら、意識的に克服へと自分を駆り立てること。自己防衛するのではなく、積極的に弱点克服をすること。
そうせな、自分なんか成長せえへんよ。
弱いて言いたあなる気持ちはわかるけど、いつまでもそんな弱い自分でいたいわけ? なさけない自分でいたいわけ?
ちゃうやろ?
だったら強うなろうや。強いやつ、得意なやつに頭下げて、いろいろ聞いて、吸収して、強うなろうや。
自分ぐらい変えてみ。弱い弱いって、勝手に自分を決めつけるな。狭い可能性、狭い限界のなかに自分を閉じ込めるな。
自分で弱いと思うんやったら、自分の姿に引け目感じてるんやったら、さっさとくだらん自分から脱出しなさい。
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