オタクから遠く離れて
【読み】 おたくからとおくはなれて
わかる人にはわかるタイトル・パロディ。
東浩紀が在籍する東京大学の学長、蓮見重彦が10年ほど前に出した小説擁護論『小説から遠く離れて』を明らかに意識してつけたもの。
タイトルこそ似てはいるが、二人の文体は正反対。
乱暴なくらいばっさりと断言し、切りわけていく東浩紀に対して、果てし無く饒舌に言葉を並べていきながら迂回による接近を試みる蓮見重彦は、慣れない人間には盲ましに見える。
端的に言えば、直言と曲言。
卑猥な喩え方をすれば、乳房の裾から乳首に向かうとして、無駄なく直進直行するのが東浩紀。ぐるぐると大きな円を描きつつ、だんだん半径を狭めて乳首に接近していくのが蓮見重彦。
中年のいやらしさ、などと悪口を言ってはいけない。蓮見重彦の文体は、れっきとした戦略なのだ。
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