昨日から3月に入りました。春の先がけとして「梅にうぐいす」とか「暑さ寒さも彼岸まで」と言うのはよく耳にしますが、「寒さ暑さもお水取り」とも言わないことはないそうです。
この奈良・東大寺二月堂の「お水取り」は「修二会(しゅにえ)」とも呼ばれる“行”の一つだそうです。ところがほんとうは、「修二会」のことを「お水取り」ともいう、と言ったほうがより適切な表現であるようです。
この「修二会」とは「僧侶たちが世の中の罪を一身に背負って、一般の人々に代わって苦行を引き受け実践し、二月堂のご本尊『十一面観音』に国家安泰を祈る祈願法要のこと」と言われています。期間は2月20日〜3月15日で、2月中は仕度期間であり、3月に入ってから本行となって、3月12日の夜中に行われるのが「お水取り」であるということです。
この「奈良のお水取り」は奈良というより関西全域に春の訪れを告げる行事になっていることは皆さんご承知の通りです。しかし、この「お水取り」のもともとの意味を知りますと、単に春を待つだけではなくて、1600年もの長きにわたって続いてきたこの宗教的行事に思いを致すことは、日本人としてのアイデンティティを失わないためにも、大事なことだと思います。 |